第6話 告白
ことが終わってベッドに座り込むと、頭が急速に冷静さを取り戻していくのを感じた。
隣の兎姫はチカラなく寝転んでいる。
ベッドも、兎姫自身も、様々な体液でベトベトになってしまっていた。
「ごめん兎姫……痛くなかったか……?」
完全にやりすぎてしまった。
————いいよ……お兄ちゃん、きて……♡
その誘惑で俺の理性は焼き切れた。
そして欲望のままに何回も何回も……。
「……大丈夫だよ、お兄ちゃん。むしろ、ね……」
言いながら兎姫はゆらっとカラダを持ち上げると、抱きついてきた。
「え……?」
次の瞬間、疲れ果てた身体は兎姫の小さなチカラにも抗えずに押し倒されていた。
「兎姫、なにを……」
兎姫は脚を開いて、俺の上へと覆い被さる。
にっこりと微笑んだ彼女は、未だ熱に浮かされているかのように艶っぽい。
「お兄ちゃん♡」
スッと伸びてきた指に股間が撫でられる。途端にもう限界だと思っていたそこに熱が溜まっていくのを感じた。
「私、もっとしたいな……」
「へ? な、何言って……」
「私ね、初めてなのに、すごく……よくてね、こんなの……初めてで……」
「と、兎姫……」
その言葉は、俺にとって数ヶ月前のトラウマを刺激するものだった。
——ごめん、上手くなくて……。
——い、いいんだよ。お互い初めてだったんだし、これからきっと良くなるよ。
きっとそこから、彼女との歯車が狂ってしまった……。
だけど兎姫は初めての行為を終えてなお、うっとりと微笑んで、堪らなくエロ可愛く迫ってくる。
それはまるで、あの頃を塗りつぶし、上書きしていくかのように……。
「こんなにきもちいこと……もう終わりなんて、もったいないよ♡」
そして、攻守が——逆転する。
「あっあっ、やっ、なにこれ……っ、さっきより、もっとすごいぃぃいい……♡ ♡」
性に目覚めた兎姫が力尽きたのは、数時間後のことだった。
・
・
・
それからというもの、兎姫は毎日のように泊まり込むようになった。
「お兄ちゃん、今日も、しよ?」
放課後に会うなり彼女はそう言って、貪欲に性を求める。夕食で一時中断するも、夜になったらまた身体を重ねる。
「えっち、きもちいい♡」
そんな日々が、1日、2日、3日……
「もっと、もっと、しよう? お兄ちゃん♡」
1週間、2週間、3週間……
「あっ、またわたひ、へんになりゅ、へんになっちゃううううぅうううう♡♡♡」
1ヶ月が経った。
今日もまた兎姫とお互いに精根尽き果てるまでエッチして、ベッドに隣り合って寝転がる。
「今日もきもちよかったね、お兄ちゃん」
「あ、ああ……そうだな……」
最近、俺はふと、思い始めていた。
もしかして兎姫は当初の目的を忘れているのではないだろうか?
こんなふうにただ性欲を発散するだけの日々を過ごすのは、違うのではないだろうか?
1ヶ月も経てば多少の余裕も出てくる。
俺は話をすることにした。
「なぁ、兎姫……この恋人練習はいったいいつまで続くんだ? 1ヶ月も経ったし、そろそろ———」
「ぷぅ」
「————痛ッ!?」
脇腹をつねられた。
兎姫は拗ねたように頬を膨らませる。
「どぉして、そんなこと、言うの……?」
「いや、だって、兎姫の目的は恋人を作ることだろ? そのためにまずは俺と練習して、男子への苦手意識を減らしたいって……」
その点なら、もう十分なように思う。いや、十分どころか、エロ可愛すぎてヤバい。
「……そっか。そういう話、だったよね」
兎姫は思い出したように呟く。
「やっぱ忘れてたのか……」
「ううん違うよ。もう必要なくなっただけ」
「必要なくなった?」
「うん」
銀色の髪を揺らして頷く。
それから兎姫はなんでもないことのように、すらすらと話し始めた。
「実は私ね、この前ね、告白されたんだ」
「え? へ、へぇ? 誰から?」
平静を装いながらも、心が怯えるように揺れるのを感じる。
「クラスメイトの男の子」
「ク、クラスメイトか。よかったな。兎姫を好きになるなんて、そいつ見る目あるよ」
自分が何を言っているのかわからない。
「うん、私も、その子のこと結構いいなって思ってた。イジワルじゃないし、優しくて、教室でも話しかけてくれて、いい人だなって。この人なら付き合ってもいいんじゃないかなって」
「そ……か、じゃあ……」
俺の役目は、もう終わるということだ。
この1ヶ月、正直なところ、救われたのは俺の方だった。
兎姫のおかげで俺は、過去を引きずることなく前へ進めるような気がする。
従妹の美少女天使様には感謝しかない。
少し寂しくなるが、これでいいはずだ。
兎姫はまた以前のように、ただのいとこで、妹に戻るのだ————と、思ったのに。
「だからね、断っちゃった」
あっけらかんと告げられた。
「は……ぁ……!?」
「あなたとお付き合いはできませんって、ちゃんと言ったよ」
「え、は? なんで? どうして? ええ……?」
「そんなの、決まってるよ」
「決まって……?」
「うん。だってね、私ね、」
兎姫はさも当然と言わんばかりに、破顔する。
「お兄ちゃんのことが好きだって、カラダで理解させられちゃったからね……♡」
この瞬間、心を巣喰っていた最後の暗雲が晴れていくのを感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます