第5話 初めての夜

 フラストレーションを抱えたままの夕食中。


「おばさん、今日は泊まってもいい?」


 テーブルの隣に座る兎姫は突然、そう言って話を切り出した。


「え? もちろんいいけど……どうかしたの?」

「うん、お兄ちゃんにね、お勉強見てもらおうと思って」


 当然ながら、そんな話をした覚えはない。


「そう。わかったわ。じゃああの子には私から伝えておくわね」

「私からも、お母さんに連絡しておくね」


 そういうことで、急遽決まった兎姫のお泊まり。


「(やったね。お兄ちゃん)」

「(ッ!? 兎姫……!?)」


 小声のやりとり。

 テーブルの下から、兎姫の手が伸びてくる。


「(練習、しようね)」


 その手はあからさまに、俺の股間を撫でていた……。



 夕食を終えてお風呂に入ると、兎姫はさっそく俺の部屋にやってきた。


「えへへ。お泊まり、嬉しいな」


 そう言って微笑む兎姫は、俺が貸した大きなTシャツを着ていた。ダボダボで萌え袖みたいになっていて可愛らしい。同時に風呂上がりの火照りと濡れた銀髪が色っぽさも演出していた。


 そして何より、シャツの下はもしかして……履いてない……?


「うん、履いてないよ。さっきびちゃびちゃになっちゃったからね」

「お、おう……」


 思考を読まれたことに加えて予想通りの真実に面喰らう。

 どうやら俺は相当、兎姫の姿を食い入るように見つめていたらしい。


 居た堪れなくなって、視線を外す。


 兎姫はベッドに座ったのか、ボフッと柔らかい音が響いた。


「ねぇねぇお兄ちゃん、こっち見て……?」


「え……?」


 兎姫はTシャツを大胆に捲り上げていた。発言通りに、そこに下着は存在しない。白い肌が明け透けもなく晒されている。


 小さな口には、とある物が咥えられていた。


「おまえ、そんなのどこで……」

「必要になるかと思って、コンビニで買っちゃった……♡」


 それは見紛う筈がない避妊具——コンドームだった。


 いわゆるゴムを用意しているということの意味、そして肌を露出させたあまりにもエロいポーズが妄想を掻き立てる。緊張から手が震えて、喉がカラカラに渇いた。


「お兄ちゃん、恋人練習、しよ」

「練習……?」

「うん、えっち♡」

「いや、それは…………」

「えっちしないと恋人練習にならないよ? お兄ちゃん、練習してくれるって言ったよね?」


 マジかよ……。最初からそこまで含めた練習だった? 最近の中学生を舐めていた? 

 いや、だけど……俺もまた、兎姫に対して情欲を抱いたその瞬間からずっと、心のどこかでこの展開を期待してしまっていた。


「で、でもリビングに母さんいるし……さすがに今は、な?」

「おばさん滅多に来ないよね? 声を抑えれば大丈夫だよ」

「それは、そうかもしれないけど……」


 理性のストッパーが最後の砦のように立ちはだかる。


「お兄ちゃん、私ね、夕方からずっと……えっちな気分が治らないの……」


 情欲を煽るように兎姫は言う。


「お風呂でも洗ったけど……ずっと濡れててね……? ほら、今もまた、お兄ちゃんとのえっち考えて、びちゃびちゃで……せつないよぉ…………んんっ♡」


 見せつけるように股を開いた兎姫は、指でそこをなぞる。ぬちゃっといやらしい音が響く。身体がぴくりと気持ちよさそうに震えた。

 

「私のこと、もっと、よくして……? お兄ちゃん……お願い……」


「…………っ!!」


 この誘惑に抗える男が、はたしているだろうか?


 立ち上がって、ベッドに迫る。

 

「本当にいいんだな?」

「うん。いいよ……お兄ちゃん、きて……♡」


 そう囁いた彼女を俺は——どうしようもなく、めちゃくちゃにしてやりたくなって……。


「おっ、お兄ちゃんのッ、入っ、て……♡♡♡」


 この夜。カノジョを寝取られた俺と、いとこの美少女天使は、一線を超えた————。

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