福岡市地下鉄七隈線延伸の効果は 沿線でマンション建設ラッシュ
盛り上がっているのは、博多や天神の中心部だけではありません。福岡市地下鉄七隈線延伸の効果は、福岡市南西部の沿線の街にも広がっています。
博多駅から14分のところにある、福岡市地下鉄七隈線の別府駅(福岡市城南区)です。駅のすぐ近くの寿司店『江戸銀』は、昭和38年創業の人気店です。ここでも延伸に期待する声が聞かれました。
■江戸銀・冨田一仁代表
「博多駅につながるということは、(福岡)空港からのお客さんを案内しやすい。うちは昔から遠くからのお客さん、大阪や東京のお客さんが寄ってくれるが、地下鉄が延伸になったら(帰りは)列車や飛行機に乗り遅れることなくスムーズに案内できるかなと。」
そしていま、街には“ある変化”が起きています。
■松原記者
「この駅周辺では、あちらにもこちらにも新しいマンションが次々と建てられています。」
別府駅周辺は、マンションの建設ラッシュを迎えていました。
駅から徒歩6分、ことし8月下旬に完成予定の大型マンション『マークネクスト鳥飼』です。販売価格は、71平方メートルの3LDKで5000万円台前半と都心部並みです。
■三菱地所レジデンス・三ヶ嶋真さん
「一番大きな部屋で88平方メートル台の3LDK。こちらは8700万円台でした。一番高いお部屋も完売です。(Q.完売なんですか?)完売でございます。」
去年11月に販売を開始しましたが、137戸のうちすでに7割が契約済みだといいます。
■三ヶ嶋さん
「想定の計画より倍ほどの進捗をしているので、非常に好評と言えると思います。延伸前ということもありますし、利便性の向上、資産性の維持・向上も期待してマンションを検討していると思います。」
七隈線の延伸で、沿線の土地の価値は上がっています。
3月22日に発表されたことし1月時点の『地価公示』では、七隈線沿線は軒並み上昇し、別府駅のある福岡市城南区は去年に比べ6.5パーセント上がっています。分譲だけではなく、賃貸の相場も変化しています。
三好不動産によりますと、別府駅周辺の家賃はここ数年で高いところで一戸建ては5万円、マンションは6万円ほど上昇しているといいます。14階建ての新築の賃貸マンション『アクシオン別府駅プレミアム』は、3LDKで16万7000~18万7000円と、家賃もプレミアムです。
それでも、別府駅周辺の相場は福岡市地下鉄空港線の西新駅や藤崎駅周辺よりも2万~3万円ほど安く、注目が集まっているといいます。
専門家は延伸によって、住宅需要が七隈線全体へと波及していくと見込んでいます。
■九州経済調査協会・渡辺隼矢研究員
「福岡が天神と博多という2大都市を中心に発展していったので、七隈線の延伸で2つの都市にアクセスできるということは、沿線の魅力は増していくのではと見ています。今後はさらに先、七隈や茶山・金山というところも割安感、アクセスのよさから住宅需要の向上は期待したい。」
延伸の効果が期待されていますが、実際に利用はどれだけ増えるのか調べました。福岡市地下鉄の空港線・箱崎線・七隈線をあわせた1日あたりの乗客数の推移を見てみますと、延伸後となる来年度は40万9000人と予想されていて、今年度より2万人増えるものの、“コロナ禍”前の2019年度には届かない見込みです。福岡市交通局によりますと、在宅勤務が浸透したことや、海外を含む県外からの利用者が完全に戻ってきていないためだということです。
交通局は今後、沿線の観光スポットと連動した周遊切符を作ったり、七隈線の橋本駅を“日本で最も西にある地下鉄の駅”としてアピールしたりして、利用客の拡大を図りたいとしています。