痛々しい姿となった1991年式のホンダNSX【写真:本人提供】
昨年9月に670万円で購入 「防ぎようのない事故で愛車が亡くなってしまうのはしんどいものがありました」
22歳で購入した大切な愛車を納車からわずか3か月で失ったらどのような気持ちになるだろうか。胸が張り裂けそうになる気持ちを抑えて、愛車の痛々しい姿を公開したのは、マサッキー(@arusu_NSX77)さんだ。昨年9月に670万円で手に入れた1991年式のホンダNSX ATが「防ぎようのない事故」で“廃車”に。それでも悲しみをこらえ、「いつかまたNSXに乗れるようにこれからも頑張りたい」とつぶやいた。オーナーの胸中を聞いた。
「ちなみにですが…NSXはこんな状態になってしまいました。
もう過去の事なので気持ちは前向きに切り替えてはいますが、納車から約3ヶ月後に防ぎようのない事故で愛車が亡くなってしまうのは中々にしんどいものがありました。いつかまたNSXに乗れるようにこれからも頑張りたいと思います」
昨年10月、ツイッターで納車を報告したばかりだった。
「ついにNSXが納車されました!!
幼稚園の頃からずっとレイブリックNSXとアイルトン・セナに憧れ、その影響からずっとNSXを手に入れるのが長年の夢でした
そしてついにその夢が叶いました!!!
一生忘れられない最高の一日になりました」
マサッキーさんはENCOUNTの取材に対しても、NSXへの熱い思いを語った。
「初めてその存在を知ったのは幼稚園生の頃にやっていたグランツーリスモ3というゲームでレイブリックNSXを使用したときでした。心の底からカッコイイと一目惚れしてしまいました。その後、NSXが本気で欲しいと思ったきっかけが、F1ドライバーのアイルトン・セナの存在でした。小学生の頃から大好きで、暇さえあればセナのレースを見て過ごしました。当時の私はNSXについて詳しく知りたくて、開発経緯など色々調べて情報を得ていました。そのときにNSXのテストドライバーとしてセナが実際に走行してる動画を見て、『自分の大好きなセナが大好きなNSXを運転している。しかも開発に携わってるなんて』と、その真実を知り、非常に感動しました」
音速の貴公子から受けた影響ははかり知れないほど大きかった。
「その後もセナとNSXについても調べたところ、セナ本人もNSXを所有していることが判明し、『セナと同じになりたい!!!』と本気で思い、それから今に至るまで『NSXが欲しい。いつか所有して自分で走るんだ』と、夢を見ていました。私にとってのNSXとは今までの人生を支えてくれて、そして目標のために頑張るということを教えてくれて、成長させてくれた存在であると感じています」
マサッキーさんにとってNSXはようやく手に入れた“人生の伴侶”。長年待ち焦がれた1台だった。
事故原因は高齢ドライバーの衝突 無残な姿を公開したワケ「たった一瞬の出来事で大切なものが亡くなることがある」
マサッキーさんが苦渋の思いで明かしたのは交差点での高齢者との接触事故だった。「住宅街の十字路にて、お互いに交差点に侵入しようとしたところ、相手の車が私の車の真横にぶつかってしまいました。お相手の方の年齢は75歳でした」。車体の前方、側面は激しくへこみ、フロントバンパーの一部が落下している。現在、車は保険会社に引き渡し、「廃車になる予定」としている。
事故に遭ってからまだ日が浅く、愛車を失ったショックも完全には癒えていない。事後処理にもモヤモヤが残る状態だ。
それでも、衝突の衝撃を物語る姿を投稿したのは、NSXを所有した責任と事故の教訓をフォロワーに伝えるためだった。
「これから新しい車の写真を少なからず投稿し続けることになると思いますし、そうなるとNSXはどうなったんだろうと心配して下さるフォロワーさんもいらっしゃるので、以前からツイッターで交流のある方に対して報告という意味でお伝えしました。ですが、予想以上に反響を呼んでいることに対して正直驚いてます」
勇気を出して現状を報告すると、さまざまな反応があった。「フォロワーさんの中にも個人的にDMで同じ境遇にあったことがあり、気持ちが分かるとお話してくださる方もいらっしゃり、励ましていただいたりしてとても救われています」と、ポジティブに捉えている。
NSXに乗るのはこれで最後ではないと誓う。これだけの事故を経験しながら、「いつかまたNSXに乗れるように」と、心に決めている。
「自分自身ではどうしようもなくて、防ぎようのない事故はたくさんあります。そのたった一瞬の出来事で大切なものが亡くなることがあるのだと、他の皆さんにもこの投稿を通して理解していただいて、自分自身が今大切にしている人や愛車などとの時間を大事に過ごしていってほしいなと思っています。私自身も今大切にしていることを大事に日々過ごしていきたいと改めて思うことができた良いキッカケでした」とマサッキーさんは前を向いた。ENCOUNT編集部