英国のウラン弾決定が大問題になった理由

2023年3月27日この世界

Why Britain’s Uranium Ammo Decision a Big Deal
Posted by INTERNATIONALIST 360° on MARCH 24, 2023
Scott Ritter

劣化ウラン弾

スコット・リッター

英国国防省は、ウクライナに納入されるチャレンジャー2戦車用の対戦車弾薬に劣化ウランを含むものを送付すると発表した。

英国国防省によると、劣化ウラン(DU)は「標準的な部品であり、核兵器とは関係ない」とし「英国陸軍は何十年も徹甲弾にDUを使ってきた」と声明を発表した。さらに同省は「英国王立協会などの団体の科学者による独立した調査では、劣化ウラン弾の使用による個人の健康や環境への影響は低い可能性が高いと評価されている」と述べ「ロシアはこれを知っている」と表明している。

ウクライナ紛争にウラン由来の兵器を持ち込むことに反対してきたロシアは、それに対して厳しい言葉で非難と警告を発した。
プーチン大統領は「西側諸国がすでに核兵器を使用し始めていることを考えると、ロシアはそれなりの対応をしなければならないだろう」と述べた。ロシアのショイグ国防大臣も同様に、イギリスの行動のおかげで、ロシアと西側の間の潜在的な"核衝突"の前に残されたステップは少なくなったと指摘した。

戦場で使用される劣化ウラン弾の毒性については、まだ議論の余地がある。
1999年、NATOはコソボへの軍事介入(KFOR=1999年6月に、国連統治下のコソボに入ったNATO主導の"平和"維持軍)の一環として、約3万発の劣化ウラン弾をコソボで発射した。KFORのスポークスマンであるアレクサンダー・ウィリング中佐によると「NATOがコソボ紛争で劣化ウラン弾を使用しても、継続的な健康リスクは発生せず、したがって我々の側ではそれ以上の対応は必要なかった」と書いている。

KFOR/NATOの立場は、国際原子力機関(IAEA)が実施した評価によって裏付けられており、以下のように結論付けられている。
「劣化ウランによる地表の検出可能で広範囲な汚染はなかった。つまり、広範囲に及ぶ汚染は、岩石や土壌に含まれる天然のウラン濃度と検出・区別できないほど低レベルで存在するということである。対応する放射性物質や毒性物質のリスクは重要ではなく、存在しないことさえある」

しかし、KFOR/NATO/IAEAの報告は、コソボにおける血液悪性腫瘍(HM)の増加に関して国立衛生研究所が発表した劣化ウラン被曝と関連すると思われる研究結果と矛盾するものだった。この報告書は、劣化ウラン弾の使用が多かった地域で「HMの発生率が10万人あたり3.19人(82%)増加した」と述べている。

「これらの調査結果にもかかわらず」、報告書はこう結論付けている。
「この研究はさらなる調査を必要とし、戦争中の劣化ウランの使用とコソボにおけるHMの発症率の上昇との間の因果関係の存在について決定的な発見を導くものではない」

米国がイラクで行った劣化ウラン弾の使用についても、同じことは言えない。日本のNGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、劣化ウラン弾を使用した米軍による激しい戦闘の舞台となったファルージャ市の民間人への影響について、独自の分析を行った。
HRNの報告書によると「先天性出生異常の異常な状況」が「性質と量の両方において」検出された。報告書は、戦闘による環境中の劣化ウラン弾の存在が「観察された先天性異常の割合に重要な役割を果たしている可能性がある」と結論付けている。

米軍自身も劣化ウラン弾の被曝による健康被害の可能性を指摘している。しかし、劣化ウラン弾はほとんどの場合、安全であるという。米軍衛生局は「発射されたとき、あるいは火災や爆発で"クックオフ(弾薬がまわりの環境の熱によって発火し、暴発や爆発を起こすこと)“後、露出した劣化ウラン棒は、体外にある限り、極めて低い放射線の脅威となる」と指摘している。
「金属片や塵のような粒子を介して体内に取り込まれた劣化ウランは、その量が多ければ隊員に長期的な健康被害を与える可能性がある。しかし、体内に残る量は、吸入または摂取した量、粒子の大きさ、体液に溶ける能力など、多くの要因に依存する」

劣化ウラン弾の毒性に関する懸念から、国防総省は、米国がウクライナに劣化ウラン弾を提供しないことを発表した。

欧米のメディアは、自国の対戦車弾に劣化ウランを使用することに対して、ロシアをどこか偽善的なアプローチで描こうとする動きもある。ソ連軍は実際に、ある種の対戦車弾に劣化ウランの貫通型爆弾を使用していたが、ロシア軍はこれらの兵器を在庫から取り除くことを実践しており、2000年代初頭に達成された。しかし、一部のメディアは、新型戦車T-90に搭載された新型スビネツ-2(3BM-60)弾が劣化ウラン弾を使用しているとの見解を発表している。

これは明らかに虚偽の主張である。
オンライン分析サービスのRybarによると「スビネツ-2はタングステン合金のコアを持ち、4Zh96オゾンT装薬と合わせて、2kmで固体鋼を約700mm(27in)直角に貫通させることができる。この弾丸は740mmの長さがあるため、新型のT-90A、T-90M、T72B3、T80BVM戦車にのみ使用することができる」

ロシアが兵器としての劣化ウラン弾の使用について原則的な立場をとっていることは、英国によるウクライナへの劣化ウラン弾の導入に関するロシアの姿勢が、単なる政治ショーではなく、国家安全保障上の現実であり、そのような行動の結果に対するロシアの警告を真摯に受け止めるべきことを強調している。

スコット・リッター – 劣化ウラン弾に関する2分間のトピック
元米海兵隊情報将校で元国連首席武器査察官のスコット・リッターがRPIヒューストン会議に登場、バイデン政権のウクライナ政策を痛烈に批判する。(翻訳は下)

英国政府はウクライナに劣化ウラン弾を送ることを決定した。これは、すでに軍に提供しているチャレンジャー2戦車に付随する支援の一環だ。
ロシアは、劣化ウラン弾をウクライナの作戦に持ち込むことはエスカレートであり、このまま放置すれば核兵器の使用も視野に入れかねないという見解を明確に示しているためだ。
なぜ、ロシアはこのようなことを気にするのだろうか?
一方、ウラン製の対戦車砲は非常に効果的な戦車キラーであり、ソ連は自国の戦車弾薬にウラン貫通棒を使用するために使用していた。しかし、ロシアはNATOやアメリカ、イギリスとは異なり、劣化ウランが自国の兵士だけでなく、戦場で生活することになる民間人に与える影響を評価した。
戦争が終結した後、この点についてはいくつかの経験がある。
コソボ紛争では、NATOはコソボでの短期間の紛争で3万発以上の劣化ウラン弾を発射した。NATOやイギリスなどは、このような影響はほとんどなかったと述べている。
しかし、国立衛生研究所が発表した研究によると、劣化ウランを原因とする白血病の症例が実際に増加したことが判明している。だが、もしあなたが結果の原因を認めないのであれば、イラクに行けばいい。
イラクでは、米国がキャンプで大量の劣化ウランを使用したため、汚染が広がり、何千人もの子供が奇形児として生まれ、がんは増加傾向にある。
しかし、米国は、自分たちも劣化ウラン弾を使用しているため、自分たちのやったことに責任を持ちたくないという理由で、これを隠蔽している。
ロシアがどのような反応を示すか、それはわからない。しかし、これはまた奇妙なことであり、ウクライナを支持するNATO、米国、英国による無責任な挑発的エスカレーションの動きである。

──おわり

劣化ウラン弾(※説明文、左から右へ)
・チャレンジャー戦車やエイブラムス戦車から発射される砲弾には、約4kgの劣化ウランが含まれている
・劣化ウラン弾は装甲車を貫通する際に破断する
・ウランコアの小片は可燃性であり、二次爆発を引き起こす
ソース:アメリカ陸軍、GlobalSecurity.org

劣化ウラン弾が危険だといっても、実際の被害を知らなければイメージさえできないと思います。
約20年前、アメリカが嘘の理由をでっちあげ、イラクという国そのものを破壊した時、劣化ウラン弾が使われました。その痛ましい記録はネット上でいくつも見ることができます。
●「湾岸戦争の子どもたち IRAQ1998-2002 / 森住 卓
●「イラク レポート

事実を知ると「英国陸軍は何十年も徹甲弾に劣化ウラン弾を使ってきた」というイギリスの厚顔無恥がリアルに理解できると思います。

しかし、今回の記事にもあるように

英国国防省によると、劣化ウラン(DU)は「標準的な部品であり、核兵器とは関係ない」とし「英国陸軍は何十年も徹甲弾にDUを使ってきた」と声明を発表した。さらに同省は「英国王立協会などの団体の科学者による独立した調査では、劣化ウラン弾の使用による個人の健康や環境への影響は低い可能性が高いと評価されている」

上記のように文書化されているのも事実です。ですから、テレビに出てくるような「専門家」などが、このような文書を引用して「劣化ウラン弾は危険ではない」と主張したとしても、彼らにとっては「事実」なわけです。形の上では文書化された根拠もあります。

この世界ではウクライナのゼレンスキーが「事実」です。西側のロシア非難が「事実」です。ワクチン接種が「事実」です。コオロギが「事実」です。それを彼らの宣伝装置であるメディアが強大な広報装置で信じ込ませます。ですから、劣化ウラン弾の被害、ワクチンの被害などについて現実に起きた事実をぶつけても、残念なことにかき消されてしまいます。

だからといって、絶望しているわけではありません。
今、フランスやイスラエルで起きている何百万という民衆の抗議は日本では報道さえされません。なぜですか? 報道する余裕すらないのです。こんな騒ぎを見せるわけにいかないのです。真似られてしまうと困りますから。

いずれ、ワクチン被害は隠せなくなるでしょう。ウクライナの敗北も決定的になるでしょう。西側諸国とそれ以外の国での、これまでの世界秩序を壊す新しいうねりも隠せなくなるでしょう。嘘はバレます。もはや嘘をごり押しして信じ込ませた勢力には抑え込む力はありません。ロシアを制裁すると言って息巻いていた方が崩れ始めています。金融も崩壊しそうです。もう彼らには力は無いのです。だから必死です。溺れる者は藁をもつかむ、です。善人ぶった悪魔的支配の終焉です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
@kiyo18383090