01
入社後は、4月と5月の2カ月間研修をおこない、6月1日に配属でした。
研修で印象に残ってることを教えてください
- 江口
- ほぼすべての部署の先輩方からお話を聞けたことです。皆さん個性的で、視点や考え方もそれぞれ違っていて。内定から入社までの8カ月、光文社のすべての雑誌を毎号受け取っていたのですが、「あの雑誌はこの方たちが作っているのか!」と〝答え合わせ〟できたのは印象的でした。
- 玉榮
- 編集長に展示会に連れて行ってもらったときのこと。求められている判断は早めに決断することを心がけていると、移動などのちょっとした隙間時間にも仕事をこなす編集長の姿を見ることができました。配属されて半年がたち、頭のメモリーがパンクしそうな時に、あの時のことを思い出しては「まだできる!」と自分に言い聞かせています。
- 佐藤
- 印刷所や広告代理店の方の研修も受けました。社外の方と関わることで、違う角度から会社のことを見ることができたのを覚えています。
- 江口
- 社長のお話から研修がスタートして、また最後にはご報告に行くスタイルにも、年次や役職を超えた距離の近さを感じました。
- 佐藤
- あとは、自己紹介パンフレット作成。自分たち新人を先輩たちに紹介するパンフレットを作るのが、光文社の研修の伝統です。自分たちで構成やデザインも企画し、プロのカメラマンに撮影をお願いして、印刷所に入稿する。いいものを作りたいと思うほど、こだわりすぎてしまい、急な方向転換をして険悪になったりもしました(笑)。熱く意見をぶつけ合いながらまとめる、仕事とはこういうことかと身に染みました。
- 江口
- 新入社員としての自分たちをどう見せるのか? 選択と決断の連続で、配属前から編集の訓練をしているようでした。「初校はお試しで」と安易に進めていたら、普段は温厚な先輩に「多くの人を巻き込んだ仕事で、それはいけない」と諭されたのを思い出します。編集者になった今からすると、冷や汗ものです。
- 玉榮
- この仕事は、本当に多くの人に協力してもらって成り立っているなと実感しています。
- 佐藤
- 振り返ると、入社式はガチガチに緊張していたのを覚えています。同期の2人は達観しているように見えて。自分のことでいっぱいになりながら研修を重ねるなかで、先輩たちが「誠実に仕事をすることが大切」と話していました。当たり前のことですが、「まずは、特別なことではなく、目の前の仕事を精いっぱい頑張ればいいんだ」と思えるようになりました。
「仕事は工夫次第で楽しみ方が変わる」という言葉も響いてます。
- 玉榮
- たくさんの先輩が「これを伝えたい!」という思いで話してくれるなかで感じたのは、人によって戦い方が違うということ。「人たらしのコミュ力」や「真摯にじっくり向き合う姿勢」「効率的な調整力」とか、それぞれの仕事人生のなかで自分の特性を生かして見つけてきたのだなと。いろいろな個性があっていいんだと安心しました。
02
配属されて半年がたち、いまの仕事で嬉しかったことを教えてください
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- 江口
- やっぱり、会いたい人に会えることは嬉しいです。編集者の特権、醍醐味だと思います。高校生の頃から愛読していたブログがあるのですが、それが本当にいい文章で……。編集者になった暁には、ぜひ一緒にお仕事をしたいと思っていました。配属後すぐに、それはもう長い長いメッセージを送りました。その後お会いできて、企画もご快諾いただけて、ちょっと前に構成案を頂戴したところです。もうずっとワクワクしています。
会えるか会えないか、本当に自分の企画次第です。月例で企画会議があるのですが、企画力では先輩方に敵いません。新人は新人なりに「この人の書くものがおもしろい!」「もっと読まれてほしい!」と、熱量で勝負しています。皆さんと同じテーブルに並ぶのは、プレッシャーいっぱいです(笑)。
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- 玉榮
- 『STORY』が大切にしている部分の理解がまだまだ足りず、企画がはずれてしまうことが多々あります。そんななかで、自分の出した企画のアンケートの反響があったり、PV数が伸びるとテンションが上がります。タイトルひとつをとっても、先輩に手を加えてもらうとPV数が伸びて、実力差を見せつけられてますが。
『STORY』を含め光文社の雑誌は「悩みありき」が企画の出発点だなと感じています。たとえば、冬はスカートとパンプスの隙間が気になるよねとか。先輩たちの目のつけどころは、しっかり地に足がついていて、読者に響く企画を出すべく日々勉強中です。
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- 佐藤
- 雑誌販売部の仕事のひとつは、各雑誌の部数を決めることです。取次と部数を交渉するには、その根拠を説明して、納得してもらう必要があります。雑誌の増売期や予測の仕方もわからないところから始まり、先輩や取次、いろいろな方に「この付録の時はどういう売れ方をしたのですか」とか、てんやわんやしながら聞きまくっています。
何万部単位という数字を動かせるのは怖い半面、編集者が熱量をこめて作ったものを市場に落とし込んでいけることは嬉しいし楽しいです。Twitterでもらえる感想も全部読みます。教えてもらっている先輩も、雑誌に対する熱量が半端ない。「売り伸ばしたいからこうしましょう」と編集部に掛け合ったり。そして、私のモチベーションをすごく上げてくれます。
03
就活生の皆さんに贈るメッセージ
- 玉榮
- 具体的なアドバイスとしては、私の場合、付箋紙に自分を構成している単語を書いて(たとえば「好きな本」とか)、そのなかで語れるものをノートに貼っていました。それを面接前にパラパラ眺めて臨んでましたね。
あとは、周りのことを気にしすぎないことが大切だと思う。評価を気にしていい子になると、プレッシャーや怒られちゃうかなとか不安な気持ちが先行して本質的なことができなくなってしまう。媚びずに自分を出したときほど、ちゃんと人に伝わる。ピュアに素直に物事を伝えてください。
- 江口
- 自戒をこめて……必要以上に視野を狭めないほうがいいと思います。自分は何が好きで、何を「おもしろい」と感じるのか。当然、そういった譲れない部分は守りつつ、そこに固執しすぎない。業界にせよ、あるいは志望部署にせよ、幅広く首を突っ込んでみるのがいいです。編集者は、世の中で何が「おもしろい」とされているのか、そこに目配せしつつ形に落とし込むのが仕事だと思います。好奇心に振り回されるくらいの人が、たぶん強いです。
- 佐藤
- 就活中はそれぞれの経験のもとにたくさんの人がアドバイスをしてくれる。すべてが合っているとわかりつつ、どれを信じていいのかわからなくなる。とにかく不安な就活ですが、不安があったら、その都度つぶしていって、自分が納得してから面接に行く。そうやって整えられたら、あとは楽しんじゃったほうがいい。心の準備ができたら、楽しむだけです。
- 江口
- みんな経験も感性も違うわけだし、どの解も間違っていないと思う。光文社は300人300色。〝熱量〟を持ってチャレンジすることが大切です。
光文社新入社員note:https://note.com/shinnyu_kob2020/
光文社新書note「新入社員は新書の新人」:https://shinsho.kobunsha.com/m/ma4034bdf6f24