先日ツイートしたらビックリするほど反響があって、マジで何かの罠かと思ったが、3/24の佐藤友則「本屋で待つ」(夏葉社)トークに来て欲しいのでもう少し呟くことにする。本書を読むと店長含めスタッフが一気に辞めるということになり佐藤さんが修行先から呼び戻される場面がある。彼が店長に就任すると
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会話
父親が息子を店長にしたいからスタッフのクビを切ったという噂が流れた。よくある話かもしれない。私の場合は父が亡くなる10日前くらいに入社した。百貨店の書籍売場だったが、まずは百貨店の仕組み、ルールがよくわからない。1年の修行では出版業界のこともよくわからなかったのでパニックになり、
恥ずかしながら担当部長、次長の名前も覚えられなかった。25歳の私には荷が重すぎた。そんな中、私は日々大量の返品をしていた。佐藤さんは過剰在庫を適正化するために返品をしていたようだが、私の場合は少し事情が違った。延勘という制度がある。通常は仕入れると月末締翌月末払だが、延勘は支払が
3ヶ月後~半年後となる。延勘は出版社がフェアをやって欲しい場合などに設定される。フェアなのである程度の期間陳列される。そして仕入額が大きくなるので、すぐに請求されると書店は資金繰りが大変になる。延勘だと遅れて請求されるので、フェアで売れ残った商品を返品して入帳されるタイミングと
マッチし、結果として請求はフェアで売れた分だけということになり、書店の負担にはならない。簡単にいうとこれがまともな延勘の使い方だ。しかし私の店は違った。この制度を悪用して、売る気もないのに延勘商品を仕入れ、せっせと即返品していた。最初私は何もわからず「返品がやたら多いなあ」と
感じていただけだったが、仕組みがわかり、これって永遠に続けないといけないやん!と気付いた。しかしそうしないと回らない資金繰りの悪い会社だった。すぐに修行していた書店の教育担当の方に連絡すると自宅で話を聞いて下さった。「中川くん、それはすぐに辞めなさい。しばらくは資金繰りがしんどい
状況が続くけど、それに耐えたら楽になるから」とアドバイスいただいた。翌日父の右腕だと言われていた方に伝えたが、話が通じない。しかも会社が粉飾決算していたことも判明した。嘘なんてつき通せるもんではないと思った私は、専務になってもらっていた父の友人に、銀行と取次に全て正直に話したいと
伝えた。専務は賛成して下さったが、右腕は「そんなことしたら銀行も取次も取引してくれなくなり何もかも終わってしまう」と反対した。私は専務と二人で銀行と取次に頭を下げた。おそらく銀行は全て見抜いていた。「右腕の人には何度かいろいろお話しましたが、よくわかっておられないようで、、、」
ということで事なきを得た。取次は結構厳しかった。毎月定額の返済…確か50万円…を求められた。そうしないと取引しないとのことだった。条件は呑むしかなかったが、延勘を止めたのと返済のダブルパンチで自分の報酬はしばらくまともに取れなかった。父の死後ずっと心配していた母は毎日のように
「会社はどう?」「売上は?」と聞く。私は本当にヘトヘトで全く精神的余裕がなく「黙れ!」と悪態をついていた。母に悪いとは思ったが口が勝手に動くし、なんなら殴ってやろうと思っていた。殴れるわけはないので、壁を蹴っていた。その後弟に譲った家にはずっと壁に穴があいていた。家庭って簡単に
崩壊するもんなんやなあ、と感じた。なんとか崩壊はしなかったけれど、、、。そうこうするうちに右腕は辞め、他に二人去った。5人の社員のうち3人が辞めた。私は会社を潰したくない、もう少し本屋らしくしたいと考えていただけだが、無知でぼんぼんのアホ息子が会社を引っ掻き回していると百貨店は
思っていただろう。なんとかやってこれたのは髙島屋さんとパイプの太かった専務のおかげだ。拝読すると佐藤さんも体調不良になったが、いたって健康だった私も突如右脚が動かなくなった。すぐに父が通っていた鍼の先生のところへ行った。服を脱いで上半身裸になった瞬間に「わあ~、この子もお父さんと
一緒や!十二指腸が悪いわ!」と言われた。十二指腸!?「神経使い過ぎや」よくわからなかったが、しばらくして人間ドックに行くと「十二指腸が変形しています」と言われた。元には戻らないそうだが、鍼灸医って触らんと見ただけでわかるんやね。凄え~。本当にいい人にめぐり会えたのと運がよかった
ので、なんとか黒字になった。すると売場が4階から地下に降りるという話があり、私は人も羨むような場所で書店をすることになる。梅田の紀伊國屋さんのような立地だ。かつてスタンダードブックストアは「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。」というキャッチフレーズだったが、その場所ではなん
と言われようとベストセラーしかおかなかった
回転しない本を置く余裕がなかった。そこは現在丸善さんになっていて、横にスタバがある。アメリカで幾つもカフェ併設の実例を見ていた私は、かつて髙島屋さんにカフェを併設した方がいいとお伝えしたが「こいつ何言うとんねん」て感じで相手にして
もらえなかった。信用がないって辛いです。おそらくお前じゃなくて他の本屋ならもっといい本屋ができるはずと髙島屋さんにはずっと思われていた気がする。百貨店ではずっと信用がなかったなあ~
「本屋で待つ」に話を戻すと、信用ということでは店長になった佐藤さんはコツコツと地道に地元客の信用
を得て、評判の悪かった店をピカピカの店にしていったのでした。地元にこんな本屋があるといいよね!なんでも相談に乗ってくれる本屋。ひとの居場所。私は天王寺に移転して地元の信用を得るのは並大抵ではないと痛感している。佐藤さんは私にはできなかったことを軽々とやってのける。
トークでは真摯に学びます。みなさんも楽しみながら何かを掴みに来て下さいね。きっと楽しいイベントになりますので!
【EVENT】3/24(金)19:30 『本屋で待つ』(夏葉社)刊行記念、佐藤友則x中川和彦トーク
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