●靴磨き日本選手権大会、レポート!

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こんにちは。
靴磨きは好きなのですが、仕上がりはいまひとつという私です。
なので、1足につき年に1回は、シューシャイナーさんにお願いして磨いてもらってます。というわけで、靴磨き日本選手権大会見に行ってきましたー。
1月27日(土曜日)11時から開催。銀座に10時半入りして、見てきました(うー、眠いー)。
去年、ロンドンで行われた「ワールドチャンピオンシップオブシューシャイニング」で、Brift H(ブリフトアッシュ)代表長谷川さんが優勝された影響でしょう。かなりのお客さんで盛り上がってます。(詳細は↓三越さんのHPを見て下さい)

GINZA SHOE SHINE FESTA 2018

10時半の開店前から店頭にならんだおかげで、前から2番目の椅子席に座れる。まわりの方たちは、「おはようございます!」と挨拶しあってるので、同業の方々のよう。最近のアパレルさんは、短髪に眼鏡、ジャケパンスタイルが多いんですよね。まあ、そういう時代なんでしょう。

そんななか、30分待って、11時から伊勢丹三越の方と長谷川さんの挨拶から始まる。
(長谷川さん、43歳くらいのはずだが、わ、若い。そして靴が気になるー。詳細はわからず……)
「今日の大会で靴磨きを文化として定着させたい」と挨拶。激しく同感。
1長谷川さん
★長谷川さんの靴

まずは、ルール説明から、準決勝進出者は、12名。スポンサー推薦の方とBrift Hで予備予選が行われ、そこからの勝ち上がり組がいる。
うーん、メンバーから見ると、協賛の(株)R&D、(株)コロンブス、伊勢丹三越さんのにおいがするが(笑)、選手権といっても興行。純粋なスポーツのワールドカップというより、企業さんも一緒に戦う、F-1やインディ500みたいなカーレースにちかいんでしょうかね。まあ、誰が勝つかも興味ありますけど、技術や道具を見てみたい気持ちが強いです。
(混んでることもあり画像はうまく撮れず。詳細は、ニコニコ動画が中継していたので見てみてください)

【ルール】
・準決勝は各4名が、20分で磨き、仕上がりを競い合う。
・審査はブログ下部の7名が、①磨き具合(どれだけ光っているか)、②バランス(トゥとアッパー、ヒール全体のバランス)、③所作(パフォーマンス)。(最下部に紹介有)
・道具は、スポンサーさんのモゥブレイとブートブラックから選ぶ。布地のみ持参可。
・準決勝の靴は、スコッチグレインのやや濃いめのブラウン。アノネイ社( ANNONAY)
のこだわりのレザーだそうで、クリームがしみこみやすい。
・靴は、すでに乳化クリームが入った状態。なので、クリーニングはせず、ワックスとハイシャインを使用した磨きの勝負になる


まあ、以下画像と対応したレポートはかなり厳しいので(言い訳)、うんちくメインに紹介します(笑)。

【準決勝1回戦】写真左から
伊藤 渉(いとうわたる)←ミニット・アジア・パシフィック。東京でお仕事。
山地 惣介(やまじそうすけ)←Brift Hから。かなり若い。長谷川さんの実績から、プレッシャーありますよね。
小林 亜弥子(こばやしあやこ)←コロンブス。新宿伊勢丹のシューシャイン係。月1回くらい行ってるのだが、こんな娘いたかな?
須賀谷 甫(すがやはじめ)←ヒロカワ製靴。スコッチグレインを代表して負けられないよね。

今回の大会はすべてプロのシューシャイナーばかり。なので、基本動作はほとんど同じよう。まずは、ワックスで下地作りして、コートで仕上げ。ここで、アーティスト・パレットを使用している方もいた。

私は2列目の一番左側にいたので、残念ながら一番右側の人はみえず。残念。ただ、山地さんに着目。ワックスを手で入れていて、磨きは、コットンとブラシ両方を使っていた。

★1回戦I


布は、シーツ生地(固い)、Tシャツの生地(ちょっと緩く織られているそう)を使用している方がいた。原則、硬い生地のほうが磨きやすいよう。セーム革を仕上げに使う方もいた。

長谷川さんの解説だと、ワックスの「第1膜」で、銀面の凹凸をいかになくすかが鏡面磨きのポイントだそう。もうご存知の方ばかりだろうが、ワックスは水と一緒に潤滑させながらやらないと鏡面にはならない。ただ、つけすぎに注意で、コードヴァンにはなるべく付けない。しみやすいからだそう。
1回戦2


10分を下地作り、10分を仕上げに使うかんじだろうか。あっという間に20分が終わった。昨年の世界選手権のように、布地を長くつかって、左右に磨くスタイルの方はいない。あれは昔ながらのパフォーマンスなのかな。

・審査の結果、Brift Hの山地さんが決勝へ。面目躍如とというところでしょう。

【準決勝、2回戦】写真左から
三村 宙央(みむらみちお)←R&D。イルミナシャインという磨き方。鏡面を上部までもっていくらしい。
安部 春輝(あべはるき)←92-NINETYTWO-。広島からご参加
Steve Hung(スティーブ・ハン)←台湾OAKROOM。英語で答えていた
石見 豪(いしみごう)←THE WAY THINGS GO。大阪。すごい落ち着き。

2回戦は、三村さんと安部さんが目の前。とくに三村さんは、イルミナシャインという手法でいつも仕上げているので、今回もこれでいくとのこと。

ところで、ブラウンの靴に対し、どういうワックスを使うかも気になるところ。靴に近いブラウンとバーガンディを組み合わせて、アンティーク仕上げにする方も多かった。
この大会、全体の印象でいうと、審査には、トゥの光り具合がやはり影響しているよう。光具合+全体のバランスで評価しているのでしょう。やっぱり、ピカピカがわかりやすい。

2回戦3


ここで、THE WAY THINGS GOの石見さんが意外な行動に。磨きだけの大会のはずだが、クリーナーを使ってクリームを落とし始めた。「う、これはパフォーマンスなのか、戦略なのか」微妙な雰囲気。ご本人は、「汚れ落としからが最後まですべてが靴磨きなので」と言っていた。うーーん。すごいのかこの時点では不明。しかし、この微妙な雰囲気が最後には、驚きに変わる。

三村さんは、イルミナシャインの仕上げに入っている。息をフーフーかけながら、蒸気をかけているのだそう。このシャインの目的は、磨き上げを上部にまでもっていくことで、靴全体に視線が集まるような工夫らしい。うーん只者ではない。
2回戦2


これに対し、石見さんが落ち着いた感じで、仕上げに。他の人と明らかに違い、ヤギブラシでかなりはげしく磨きをかける。これが、極意なのだろうか。

・そして気になる審査は? なんと、石見さんが勝ち抜け。クリーニングから入って時間不足かと思いつつ、最後のヤギブラッシングが光沢を生んでいるよう。この落ち着きもすごし。
驚いてるのだろう。長谷川さんが、「普段はどういう靴を磨くことが多いのですか?」の質問。「ジョンロブが多いです。」どうやら、一定の顧客がいるよう。ジョンロブかー。かなり気を使いそうな客だなー。


【準決勝、3回戦】写真左から
林田 直樹(はやしだなおき)←eyewearshop北斗。北海道。
岡嶋 翔太(おかじましょうた)←銀座三越。シンプルな磨き。
杉村 祐太(すぎむらゆうた)←Y’s Shoeshine。静岡。
佐藤 我久(さとうがく)←靴磨きSTAND GAKUPLUS。名古屋駅。元気。若いなー。

最後の準決勝3回戦は、名古屋の佐藤さんが、気合を入りまくり。おしゃれにこだわる街名古屋。さぞやピカピカに。

林田さん、モルトブラウンという濃いめのワックスをチョイス。実際のところ、靴というのは、濃く仕上げたほうが光るのだそう。当然ながら、光るだけなら黒が一番なのだそう。

岡島さんは、ピンクのネル生地を使っていて、長谷川さんから突っ込まれていた(笑)(ちなみに長谷川さんは真紅のネル生地で有名)。「ピンクの生地は意味があるんですか?」の質問に、「長谷川さんを真似してるんですが、恥ずかしいので中間のピンクにしました」との答えに会場からは、クスクスと笑いが……。やっぱりこの業界では、長谷川さんが目標なんですかね。ホテルオークラの源さんの時代は遠い昔……。いや、話を戻しましょう。
3回戦1


岡島さんも、ダークブラウンを下地にひいてから、バーガンディでアンティークに仕上げるそう。ブラシは、ナイロンと馬を選択。「あまり、ぎらぎらさせないでキラッと光らせたい」。あとかかとはぶつけるのでしっかり磨く。

杉村さんは、コバに黒を入れて、アッパーを際立たせるとのこと。ダンディなしゃべりでたんたんと磨いているようす。かなりの強者か。杉村さんのやりかたは、「ゆっくり磨くのが僕のやり方。ギラっとさせず、最後の仕上げは、透明な純度が高いものを使う」とのこと。このレベルまでくると溶材までじっくり吟味している。すごい。


佐藤さんは、ベースを作ってから、ハイシャインコートとアーティストパレットで仕上げるとのこと。アーティストパレットは、油性で溶剤が多くなめらかに仕上がるとのこと。

回戦2


・そしてそして、審査は? やっぱりトゥの輝きで杉村さんが優勝。うーん、ギラっとはしていないが、かなりの光りっぷり。

だいたい2時間で準決勝終了。3名の決勝進出者は、気合の山地惣介さん、経験の石見豪さん、こだわりの杉村祐太さんに決定。

そしてそして、15時から決勝開始。

その結果は?なのですが、

実は、私は某所で打ち合わせがあり、ここで退席なのでした……。残念。

15時45分ころでしたか、休み時間に「ニコニコ動画」で知った優勝者は、

石見豪さん、でした。おめでとうございます。さすがベテラン。

優勝した石見さん


靴は、銀座の伊勢丹三越に展示してあるとのこと。(石見さんはおそらく左下)


12回靴

決勝が見られないのは残念でしたが、これだけのシューシャイナーが一同に会するのはめったにない機会。席も最高で、じっくり靴の世界を堪能した1日でした。
長い、文章で失礼しましたー。

【アドバイザー】
長谷川 裕也(はせがわゆうや)←Brift H(ブリフトアッシュ)代表。「ワールドチャンピオンシップオブシューシャイニング」優勝。長谷川さん、おそらく43歳くらいなのに、わ、若い……。しゃべりも結構面白い。まあ、接客業の方という感じでした。
【審査員】
松戸 啓明(まつどひろあき) ←コロンブス社の方。『ブートブラック』僕も使ってます
羽田野 晶斗(はたのまさと)←R&D社の方。『モゥブレイ』僕も使ってます
飯野 高広 (いいの たかひろ)←本を出されてる
菅原 幸裕 (すがわらゆきひろ) ←『LAST』の編集長こんな人だったのか
廣川 雅一(ひろかわ まさかず)←スコッチグレインブランド、広川製靴代表取締役
丸山 尚弓(まるやま なおみ)←キレイな方なのですが、ハンさんの通訳されてました。才女。
大野 靖弘(おおのやすひろ) ←銀座三越紳士靴バイヤー。なるほど以外と落ち着いた雰囲気。

モウブレイ
ブートブラック




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