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婦人科部長の闘病記 Part17

原三信病院婦人科便り17

原三信病院 婦人科 片岡 惠子

どうもどうもどうも~片岡です。4月なのにまだ寒いのはなぜなんだ~

セクハラだのパワハラだの世間を騒がせていますね。

ちょっとハニートラップではないのかと個人的には思っていますが、ひっかかったエロ心もいただけない。仕掛けられても乗らなきゃいいわけで、しかも判断力が下がるようなご高齢でもなく、 現役の!ばりばりの!官僚さまさま!なのですから脇が甘い!!としか言いようがないです。 日頃からそういう発言や態度が多いのではないかとまで疑ってしまう。
「おっぱい触ってもいい?」許可がいるなら聞くな!いいわけないだろ一刀両断。

むかしむか~し、まだ「男女の力差にモノ言わせて性的で卑猥な言動・行動を執り行う、もしくは男性だ、女性だ、というたったそれだけのことで職務上の差別・区別をする」ことや 「上司である立場を利用して部下の職務において不条理な処理を行ったり、 人事権があることを臭わせ、職務以外での私的な指導・命令を行ったりする」ことへ 名前が付いてなかった頃。
「おまえは女医だから、手術を学ぶ必要はない」と言われたことがありました。

男性の同僚はみな、せっせと手術に入れてもらえているのに私だけ外回り(術野の外で介助する役割。主に看護師さんの仕事)のみする毎日。 急患が来ても呼ばれないこともあって、「女の子は早く帰りなさい」と言われる始末。 思いっきり、戦力外でした。

産婦人科で入局の挨拶するとき、ピンクのミニスカートをはいていたのが良くなかったのかもしれない、と本気で悩みました。研修医時代の2年間でその後の医師人生が決まる、と言われていたので、 これでいいのか、という焦燥感が半端ない。干されている長い長い時間を持てあまし、 辞書みたいな産婦人科の教科書を読破してしまうという、今思い出しても辛く悲しい時代でした。 枕みたいな大きな教科書です。

そう、当時の私は「手術を覚えるのに手術に入る」ことさえ、制限されていたのです。
手術に入りたいがゆえにせっせと周囲に働きかけるという、今だったら必要ない努力を 要求されていました。

アメリカの有名な麻酔科医師にバージニア・アプガーさんという方がいらっしゃいます。この方、産婦人科医師なら誰でも知っている、新生児の生直後の状態をスコア化した、アプガースコアの 生みの親なのですが、彼女が遺した言葉が、
「女性は男性の3倍働いて、ようやく人並みに扱われる」というもの。
おお~3倍。3倍ですよ。

この文章を目にしたとき、3倍は働けねーな。すげぇバージニア、と思ってしまったのですが、それと同時に
「私がもし偉くなったら、男性と同じだけ働いたら同じ評価が得られるようにしよう」
と心に誓いました。まだ全然偉くなっていないので、野望を達成できていませんが。

ただ、私たちの先輩や同僚が一つずつ課題をクリアしていって、今、1.5倍くらいかな?と思われるところまではなんとか来ました。保育園もベビーシッターもハウスキーパーも 充実しつつありますし、お金さえ出せば多少の時間が買えるところまでは到達しています。

なので、今の若い女性医師は、私の若いころよりちょっとだけ恵まれているかな。とは思います。まだまだですけど。例をあげると、「夫医師の留学についていく女性医師は多いが、 その逆はまれ」とか「子供がいる夫婦だと、夫ではなく妻がオンコールや当直をセーブしている」 とか「育休は女性しか取っていない、男性は取りづらい」とか。 個々の家庭環境もあるとは思うのですが、残念ながら女性医師の方が専門医の資格や 技術・手技の取得に男性医師以上の努力と研鑽が必要です。同等ではない。 本人のやる気の問題以上に環境が整ってないのを感じます。

環境、で思い出したのですが、以前、大学の同級生と話をしていて、自分の車を買う、買わないの話しになったとき
「男性(つまり夫)に軽自動車に乗りなさい、というのはかわいそうでね」
というのが引っかかりました。
私は当時、ワゴンRを愛車にしていたのですが、そのワゴンRを愛車にしているわたしは かわいそうではなくて、オットがワゴンRに乗っていたらかわいそうなのか・・・? と釈然としなかった。いや、運転技術が未熟だから小さい車を選びなさいということ ではなくて(現在の私はこれに当てはまりますが)単純に男性には軽自動車が かわいそうで、女性にはまあいいでしょうという考え方そのものにものすご~く 違和感が残りました。

医師として活躍している女性医師にもこういった考えが浸透しているとしたら、教育や周囲の環境って恐ろしいなと思うわけです。男性はこうあれかし、女性はこうあれかし、 という考え方を小さいときから叩きこまれているとしたら、なかなかどうして、 変われないはずです。つまり、「私の留学に夫を付いてこさせるのはかわいそう」 「夫に当直やオンコールをやめさせるのはかわいそう(いやむしろ嬉しいと思うがどうだろう)」 という考え方で女性が動いてしまっていたら、そりゃもう、打開策も何にもないです。 だって「それが当然」なんだから。

ぼちぼち、私たちも「男だから、女だから」をやめないといけないところに来ているのではないでしょうか。いいじゃん、オットがワゴンRで、ワタシがベンツでもさー。どっちもいい車ですよ。 値段の違いこそあれ。

最後にお知らせです。
1年ほど前から「最大120日まで連続投与できる、月経困難症の患者さんに保険で 出せる低用量ピル」が発売されていましたが、近々原三信病院にも入れることになりました。 内膜症ほどではないけど生理が辛いよ~という方向け。年に3~4回の生理なので、 お仕事や勉強・受験に最適です。興味のある方はぜひお問い合わせください。