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原三信病院婦人科便り Part51
原三信病院婦人科便り Part51更年期障害③
原三信病院 婦人科 片岡 惠子
明けましておめでとうございます。
・・・前回の日付をみると、11月。
忙しかったのか忙しくなかったのか、もはや思い出せない自分が怖い。
2021年もコロナとともにありましたね。
寅年ですってよ、みなさん。
オミクロンと聞いて、「・・・新しい掃除機?」とか思った自分が懐かしい。
それはサイクロン。クロンしか合ってない。
マスクがどうの、ワクチンがどうのとこんなに長引くなんて、2020年はじめの頃は思いもしなかったけれど、マスクにもマスクかぶれにも、悲しいかな、慣れてきました。ちなみに私はマスクが嫌い。何が嫌いって、マスクの裏にファンデーションが付くのが嫌いで、コロナ前はマスクつけない派だった。
顔が見えないと患者さんも困るだろうし。
・・・いや、顔で診療をするわけじゃないが、なんとなく。
しかし、今、マスクをしていないと患者さんたちも看護師さんたちも当惑するだろう。
よって、空気を読みに読む、よい子の私はマスクを付けている。
付けているが、付けなくていい世界が早く来るといいなあ・・・なんて思っています今日この頃。
さて、今回は更年期の治療の内容について。
おおまかに飲み薬、貼り薬、ジェルとある。
更年期治療の目的は「枯渇した女性ホルモンを足していく」ことなので、どれも女性ホルモン製剤です。
ただし、女性ホルモン=エストロゲンだけを飲んだり貼ったり塗ったりする場合、子宮を温存している人は、子宮体がんやその類縁疾患を併発しちゃうことがあるので、その予防のために黄体ホルモンを一緒に飲んだり貼ったりしないといけません。
昔、更年期治療は女性ホルモンだけだ!とそれだけ処方、注射しちゃう先生がいたが、そこから軒並み、子宮内膜が厚くなって、がんの恐れがあるご婦人が紹介されてきた、なんてホラーな話もありましたが、現在ではそんな命がけの更年期治療をする勇者はいなくなりました。更年期治療に命を賭けさせてどうすんの、とか思うが、それは人それぞれ信念があるよね。
日常外来診療で、患者さんにどのお薬がお勧めですか、とか聞かれますけど、どれでもいいです。好きな方で。
ちょっと前までは飲む薬しかなかったもんで、飲み薬をもらっている患者さんが多いと思われますが、貼り薬は皮膚から吸収され、肝臓で代謝(薬を効き目のある形へ変換)しなくていいので、肝臓の数値に自信がない人は貼り薬がお勧め。
貼り薬の中でも女性ホルモンと黄体ホルモンが1枚に含まれている、優秀なやつがあり(メノエイドコンビパッチ)、週2回の貼り替えで良いため、なかなか使い勝手は良い。福岡市だと、週2回燃えるゴミの日なので、ゴミの日に合わせて貼り替えてねと言えば、主婦の皆様は絶対に忘れないし。ただし、こういった合剤(女性ホルモンと黄体ホルモンが合わさっている薬)は傾向として慣れるまで不正出血が多い。女性ホルモンと黄体ホルモンを別々に処方の方が割と不正出血のトラブルがないため、外来でのクレームは少ないようです。
ちなみにジェルもあるが、黄体ホルモンを別に服用しなくちゃならない上、アルコールが含まれているため、お酒に弱い人は酔っ払いがち。私は酒に強そうに見えて、消毒用のアルコールでも酔ってしまうほどの下戸であるため、ジェルは選択していません。
飲み薬は毎日飲むから忘れない、とか言っている人もいれば、貼り薬は1日おきだから楽、という人もいて、そりゃもう、皆さんいろいろなので、そのいろいろに対応しています。
要は症状が取れればよいので、ほてりや汗、不眠、頭痛、肩こり、めまい、いらいらが消えるんだったらどれでも選べば良いと思います。特にいらいらは、夫婦円満のため消えた方がいい。丸まった汚れた靴下が玄関に落ちていても、拾って洗濯かごに、ぽーいとできる方が喧嘩はしない。
後は乳癌検診を必ず毎年受けていただき、子宮を持っている方はついでに婦人科検診も毎年受けつつ、快適な更年期ライフを満喫してもらえれば。健康でいないと女性を取り巻くセクハラパワハラモラハラハラハラに対応できないと思われ、そういう意味では更年期治療はすごーく大事と個人的には思います。