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婦人科部長の闘病記 番外編⑥

原三信病院婦人科便り 番外編⑥ よくある質問へのお答え

原三信病院 婦人科 片岡 惠子

ワクチン接種が3月から始まるようです。
いろいろ新しいことずくめで詳細いまだ不明。
右往左往していますが、歴史の中にすっぽりとくるまっている感じもしてじっくり世の流れを見ておきたいなという、欲も出てきました五十路です。

さて、手術や症状に対する質問メールは個別にお返ししないことにしておりますが、よくあるご質問への答えをまとめておきたいと思います。

Q1 子宮摘出を考えています。卵巣、卵管を一緒に摘出することを勧められていますが、迷っています。

A1 ご決断おめでとうございます(礼)。
卵巣は、特に異常がない場合は摘出しないことをお勧めします。
卵巣癌の予防になるから一緒にとろうよ~、とか言うやつ医師は大抵男だろうなーとか思っていますがいかがでしょうか笑。その先生にご質問してみて下さい。

先生が前立腺肥大になったとして、睾丸一緒にとりますか?

答えがNoなら、卵巣も取らない方がいいに決まっている。
自分の身に置き換えて考えられないのは人間にありがち、ですけど男性医師は

卵巣を、自分の精巣と置き換えて考えよ

・・・と言いたい。よほどの事情がなければ一緒に摘出など、よもや考えまい。

ちなみに、卵管は摘出してやってもいいと思います。ホルモン出さないし、卵巣とは別に取れるし、本当かどうかまだ半信半疑だけど卵管に卵巣癌の元ができると言っている研究者もいて、子宮と卵管(卵巣は残す)を一緒に摘出するのが現在のトレンドです。これから変わるかもしれないし覆るかもしれない。でもこれが今のお勧め。

Q2 手術の時、卵巣は残した方がいいですか。

A2 年齢によります。まだ生理が毎月来ているようならいきなりは取らない方がいいでしょう。卵巣を二つとも取ってしまうと、3日くらいで閉経になります。
ジェットコースターみたいに更年期に突入し、結構症状としては重くでる傾向にあります。
そして、更年期症状ほど厄介なモノなし。
若い娘の生理痛と同じで、ほんとうにコントロールに苦労します。
ああでもない、こうでもない、と根気よく考えないといけなくなるので、基本、自前の卵巣は病気がない限りは手放さない方がベター。たまに更年期などたいしたことなかったわ!と言い放つおばちゃん、おばあちゃんいたりしますが、忘れているだけかもしれないことを十分考慮されたし。人間とは都合の悪い記憶は削除する傾向にありますので、全く経験者の意見は参考になりません。特にあなたのお母さん。
随分昔のことですよね、更年期(ちなみに出産も子育ても忘れていますよ)。

Q3 主治医にたいへんよくして頂きました。お礼をしたいのですが、何が喜ばれますか

A3 ・・・泣ける~
こういっていただくのが一番のお礼ですよ~
以前も書いたと思いますが、お手紙がいいと思う。それか年賀状。
インパクトのある手紙をください。それが最高に記憶に残ります。
今までもイロイロお礼を言っていただいたけれども、お菓子は食べちゃえばなくなるし、ストッキングもハンカチも激務の果てに忘れ去られること間違いなし。

時々ちり紙に現金を挟んでどうにかしてポケットにねじ込んでこようとするおばーちゃんがいるが、こちらもどうにかして送り返しますよ。
個人的な気持ちとして、この気遣いや苦労を現金化してなるものか、
というのがあります。お思いやりと感謝はプライスレス。笑顔ゼロ円。

だいたい、お金も商品券もあなたの感謝の気持ちを決して代弁はしない。
せいぜいうちの子のお肉になる程度。

以前、忍者の密書みたいな巻紙に毛筆でながながと書かれた感謝状をいただいたが、
大事にまだ持ってます。
ありがとう、Kさん、あなたのこと忘れないよ。いろいろ大変だったよね・・・

それからですね、病気が治ってこういういいことがありました、とか経過報告。
これもとっても嬉しい。
何がやりがいって、患者さんの社会復帰とその後の幸福です。
いいことした~って思えるじゃないですか。それが仕事だけどね。

間違っても天神で見かけても声をかけないように。
うっかり立ち読みもできやしない。
私のことは野鳥と思って下されたし(遠くから眺めるモノよ)。お願いします。

Q4 手術したいのですが、どうしたらいいですか。
手術した方がいいですか。どこの病院がいいでしょうか。

A4 割と日本の医療水準はどこも粒がそろっていて、どこの病院を受診してもたいていは正解にたどり着けるようになっています、大丈夫。
まずは最寄りの産婦人科クリニックを受診し、そこで相談してみるといいと思います。
その際に頼りになるのは、やはり口コミ。主婦の口コミは最強の情報源。
インターネットの情報よりも早く、新聞よりも偏りがないこと請け合い。
実際に手術をしたことがある人から話を聞くとより正確だと思います。
時々、どうしてこことここを受診したの???っていうくらい、運の悪い人がいるものですが、そういう人に限って、友達が少ないかなという印象。
同性の友達には日頃からそれなりの投資をし、誠意を見せておくこと。生きていく上で最低限のセーフティネットだと思う。私の経験上、真の女友達は元本割れしない。
そして、こういうとき、残念ながら夫も彼氏もお父さんもあまり役に立たないんだよな~。せいぜい分娩室の前でおろおろする程度。むしろ邪魔(あ、ひどい)。

Q5 先生に執刀をお願いしたいのですが。

A5 大門美智子と間違えてもらっては困るのですが、私はごく普通の医者です。
ベテランになってきはしましたが、ブラックジャックみたいに天才でもなければ美智子のようにフリーの天才外科医でもありません。

普通のことを普通にこなす、ごく普通の平均的な医者。それが私。

すごく褒めて頂いて、よいお医者さんのように言われるとこそばゆいと言うか、なんというか・・・居心地が悪いので

ご縁がございましたら。
もし良ければ。

と、お答えするようにしています。
もし一つだけ私に美点があるとしたら

できないことはできない

と、正直に言うことでしょうか。

患者さんで実験したり、挑戦したりをしない、というところでしょうか。

美智子は失敗しないので、と言い放ちますが
私は小心者なので、必ずきちんとできる手術しか請け負わないんです。
それくらいですよ。
そして、出来ないときはできる先生に繋げます。
日本全国、腕の良いお医者さんはたくさん、います。それこそ星の数ほど。
出会いと相性、これがほとんどの場合満足に繋がるので、あまり恐れず、あなたの目の前にいる主治医を信頼してあげて下さい(わあ、えらそう・・・)。

そして、私とたまたまご縁ができた方、よろしくお願い致します。
仲良くしてくださいね。