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婦人科部長の闘病記 Part10

原三信病院婦人科便り10

原三信病院 婦人科 片岡 惠子

季節はあっという間に秋。もしくは冬。

前回どんなこと書きましたっけと婦人科便りの9を開けてみたら、なんと「暑い」と書いているではないですか!(驚愕)季節の移ろいについていけない私。
実は、かの有名な細木数子氏によれば、私は12年に一度の大幸運の年だった・・・はず。
その大幸運の1年が、ほんとうに穏やかに、何事もなく無事に終わってしまいそうです。
無事で現状維持であることが、もしや幸運なのでは・・・心配。

9月に岡山で開催された日本産科婦人科内視鏡学会に参加してまいりました。
全国で内視鏡、つまり腹腔鏡や子宮鏡の手術が大好きで、たぶん専門にしている産婦人科医師が一同に会するわけで、かの鎖国中の御国が突然トチ狂って岡山駅前に高性能ミサイルを撃ち込んだらどうするんだろう、と思いながらたっぷり堪能して参りました。
岡山、都会だね!もっと静かなイメージだったのですが、駅前に大きなイオンモールがありーの、駅直結のショッピングモールがありーので、賑やかでした。
元岡山県民の後輩によると、「駅の周りだけです」との情報もありましたが、気にしない。
岡山駅前のヨガにもちょっと行ってみたりして、楽しかったです。

今、内視鏡でホットな話題と言えば、ついに婦人科領域でも「がん」を腹腔鏡でし始めたということでしょうか。あちこち転移したような、進んだ状態ではやはり開腹が主流ですが、ごくごく初期の段階に限って言えば腹腔鏡が第一選択になりそうな勢いです。
私が内視鏡畑に足を踏み入れた十数年前には
「ラパロ(腹腔鏡)するヤツ、変態」のような扱いでした。それが、なんということでしょう。今や手術には欠かせない技術となってきました。こと、卵巣嚢腫の手術は、若い先生の中には腹腔鏡でしかしたことがない、というヒトもいるくらいです。時代は変わりましたね。
あとは子宮脱の手術も腹腔鏡によるものが出現。落ちてしまった子宮を背骨の前に固い布みたいなので固定する(腹腔鏡下腟仙骨固定術)方法なんですが、試行錯誤の末に術式(手術の時のルール)が標準化(この方法が一番いいよと整えられる)されてきつつあります。私のおばーちゃんが存命だった頃、無垢な私に
「おんなもね、年を取ったらタマが生えてきて、おとこになるとよ」と言い言いしていました。幼い私はその意味が分からず、おばーちゃんの冗談かと思っていましたが、産婦人科医師になって20数年、ようやくそのなぞが解けました。昔はこどもを出産する回数も多から当たり前に子宮が下がってきていて、きっと銭湯という社交場で「わたしだけじゃない・・・!」と確認しあっていたに違いない。それが今やハイテク機械を駆使して何とか治療する世の中になってきました。私のおばーちゃんもきっと子宮脱だったと思うので、座るときにちょっと邪魔になっていたそれを治療してあげられたのになあ、と残念。子宮脱の手術は、手術をされた患者さんが神様を拝むみたいに感謝してくださるのでやりがいがあるんですよね。やっぱり長年苦労し、症状が辛かった方が開放される瞬間に立ち会うのは本当に嬉しいものです。

というわけで原三信病院でも、従来の腟式手術に加えて腹腔鏡手術による子宮脱の治療をぼちぼち導入しつつあります。技術的には難しい手術なのでちょっと時間がかかるため(3時間くらい)よほど重症か、閉経直後のお若い方向け、ですけども。もし周囲にお困りの方いらっしゃいましたらぜひぜひご相談ください。