ソニー社員にOBOG訪問して見えた、就活をポジティブに捉えるコツ。
就職活動やその先のキャリアに不安を抱いているあなたへ。
書き手は、現役大学3年生、最近就職活動を始めたばかりです。もう既に動き出している方、まだ自分はいいかなと考えている方、さまざまな方がいらっしゃると思いますが、誰しも就活に対しては不安を抱いているのではないでしょうか。正直、私は不安です。
そこで今回は、人生の先輩ともいえるソニー社員のお二人に、就職活動から今までを振り返っていただきながらお悩み相談をしました。この記事が、一人でも多くの方が立ち止まり考えてみるきっかけとなれば、幸いです。
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- 山木 梨沙(ヤマキリサ)
- 北田 未来(キタダミキ)
- 鷲尾 美波
就職活動が不安なのは当たり前。
—まずはお二人が就職活動をしていた頃を思い出していただきたいです。就活について当時どう感じていましたか。
山木:私は、苦しかったなという記憶です。当時は独特な空気感があって、就活は今まで切磋琢磨してきたゼミの友人とも気軽に相談できない話題でした。新卒の多くは一括採用になっているので、限られた時間の中で、学生も会社も決め切らなければいけない。期間が限られている中で乗り遅れないように、という焦燥感もありました。ただ、今思い返せば自分のためになるいい時間だったと思います。
北田:私も本選考の時期は、周りが敵だらけに思えるときがありました。就活はセンシティブな話題だったので、一人で黙々と就活をしていたのがとても辛かったです。一方、すごく楽しんでいた時期もありました。それまで自己分析をする機会がなかったので、人生全体を振り返って、自分が将来何をしたいかを考え抜くチャンスは貴重でした。
—お二人とも一人で就活を進めていたということですが、就活仲間という存在は必要だと思いますか。
北田:私はいたらよかったと思います。一人だと心が苦しくなるというだけでなく、価値観がどんどん狭まってしまう感覚がありました。蓋を開けてみれば、自分が知らない企業の選考を受けている友人もいて、情報を得るという意味でも仲間はいたほうがよかったと思います。
山木:私も仲間がいなくて一番困ったのは、情報が全く入らないということでした。ただ、自分でしっかりと情報を仕入れている人もいるので、ご自身で情報収集できるのであれば、一人で就活をしても問題ないと思います。ただ、周りと同じ歩幅で歩めているという安心感は支えになるので、SNSなど匿名でも自分が安心できる相談場所を見つけるのは大切なことだと思います。
就活に、唯一解はない。
—では、就職活動の具体的なステップに関して質問させてください。まず、エントリーシートに書くガクチカは「強い」エピソードが望ましいのでしょうか。
北田:私は学生当時、起業した人が強いのではないか、とか考えたことがありました。一方、自分にはそのように輝かしい強いエピソードはありませんでした。ただ、今までの自分の経験から学んできたことの中で、会社で活かせると自信を持って言えることはあったので、そこをガンガンアピールしていきました。「どのようなことをしたか」よりも「そこから何を得たか」「その学びをどのように活かせるか」が大切だと思います。
山木:そうですね。私は強さというより、見た瞬間に「すっと頭に入ってくるか」を意識していました。また、家族でもOBOG訪問時に会った社員の方でもいいのですが、第三者の目線を一回入れてみるのはとても大事なことです。これは企業によって異なりますが、ソニーの場合プロフィールシートで聞いているのは、正確にはガクチカ(学生時代力を入れたこと)ではありません。これまでの人生の中で、自分で考えて行動してきたこと。皆さんの考えがあってそれまでの人生を歩まれていると思うので、その中でどういう障壁があって、どう乗り越えてきたのかを伝えていただくのが大切だと思います。面接を担当する社員は、付け焼き刃のエピソードはすぐ見抜きます。自分を取り繕うのではなく、頑張ったと胸を張れることを赤裸々に伝えるほうがいいと思っています。
—OBOG訪問で企業との相性を確かめるためのコツはありますか。
山木:「お仕事は楽しいですか?」という質問は必ずするようにしていました。聞くと、「まあ楽しい」という方もいれば「仕事は仕事だから楽しいものではないからね」という方もいるので。ちなみに、この質問は入社前にお会いしたソニー社員にも全員聞きました。印象的だったのは、全員が楽しい!と即答したことでした。一回考える瞬間があってもいいはずですが、ソニーの方は楽しくて仕方がないというのが伝わってきました。それだけ前向きに仕事ができるのはすごいと感動したのを覚えていますし、志望度がとても上がりました。
北田:私は自分の中で作戦を立てて、シビアな質問に対してどの程度ざっくばらんに答えてもらえるか、というのを確かめるようにしていました。有給消化率など普通なら答えにくそうな質問に、現場の社員の方がどこまで明るく真摯に向き合って答えてくれるか。少しズルい作戦ではありますが、社風を感じ取るために聞いていました。
—なかなか「就活の軸」が定まりません。そもそも就活の軸とは何でしょうか。
北田:自己分析をしてご自身のことがクリアに見えるようになっても、選考の過程でそれがブレてしまうことがあると思います。何社もの企業の選考を受ける中で、「合格」「不合格」という文字をずっと見ていると、わからなくなってきます。そういうときに、「就活の軸=自分が大切にしたいこと」を思い出すと、軌道修正しやすくなると思います。
山木:就活の軸は、ある程度受ける企業を絞りやすくするためだと思っています。世の中には本当にたくさんの会社があるので、時間が限られている中で、学生のときに後悔しない就活をするために必要なのではないかと。また、結構面接でも聞かれるんですよね。そのときに、人生経験と絡めてロジカルに話せると、自分の中でもすっきりします。私たちは今、内面的な軸のお話をしましたが、給与体系や休暇の取り方などで絞るのもまったくおかしいことではないと思います。企業の方に聞くのは失礼ではないかと思われがちな部分ですが、気になることがあれば、面接でもOBOG訪問でも質問していいと思います。
—面接のお話がでましたが、就活当時受けた面接で意識していたことや印象に残っていることがあれば、教えてください。
山木:私は面接員が、自分の人生を面白がってくれるか、を見ていました。ソニーの面接員は、自分が話しているそばから「え、それすごく面白いね」と言ってくださったのを覚えています。
北田:私もソニーが他の企業と違うなと感じた点を思い出しました。それは、ソニーの面接が会話ベースで進んだこと。「これはどうだったの?その後どうしたの?」と本当に気になって深掘りしてくださるのが伝わってきました。堅苦しさが全くなかったのはギャップでしたね。
自分がここを選んだんだという感覚。
—納得がいく就活とは何でしょうか。
山木:私にとっては、入社後数か月で入社したことを後悔しない就活ですね。ソニーの創業者である盛田も、ここで自分は幸せになれないと思ったならば一日も早く辞めてくださいと、入社式で言ったという逸話があります。ある程度浸かってみて入ってよかったなと思えたらいいのではないでしょうか。就活をしていると、どうしても会社側に選んでもらっているという意識が強くなってしまいますが、「お互いがお互いを選び合う」のが本当の就活です。だから、自己肯定感を高めるのがとても大切です。私が実際に就活時ナイーブになったとき、「もう自分を落とすなんてセンスないって思うくらいでいい」という尊敬する先輩からの言葉が力になりました。自分ができる限りのことをしたなら、そのくらいのモチベーションでいたほうが気持ち的に楽になります。
北田:そうですね。あとは前に言ったことにも重なりますが、自分の人生を落ち着いて振り返ったり、いろいろな業界の社会人に会ったりできるのは、就活のときしかないと思います。色々見てやるぞ、と前のめりにやっていけたらいいですよね。
—就職活動時から今まで大切にされている考え方はありますか。
北田:プラトンの名言で「親切にしなさい。あなたが会う人はみんな、厳しい戦いをしているのだから。」という言葉があります。私は「みんなつらい思いをしているんだ」というよりも、「常に想像力をもって人に接する」という想いでこの言葉を大切にしています。ソニーにはさまざまなバックグラウンドを持った多様な人が働いており、働くうえで良い土壌となっています。その中で自分と違う考え方に出会ったとき、相手がどういう背景で言っているのかを想像することで、自分の思考を柔軟に変えていけたり、ブラッシュアップさせたりできます。この考え方は就活から入社後の今まで大事にしていてよかったと思っています。
山木:「苦労して乗り越えた経験は必ずどこかで役に立つ。」という考え方は大切にしています。私は、努力は必ず報われるわけではなく、どんなに努力しても叶わないことはあると思っています。ただ、その努力はその時欲しい結果に直結しなくとも、将来意外な場面で役に立つ瞬間が出てくるのです。大学時代の勉強でも研究でも、逃げ出したいことは山ほどあると思いますが、それらを乗り越えることは自信に繋がりますし、その先にどんな困難があっても、どうにかして乗り越えようという癖がつきます。だから、自分がやりたくないことであっても、逃げずにまずは最後までやってみることを意識しています。
最後に、辛い瞬間を乗り越えるアドバイス。
—就職活動をする過程で、自信をなくしたり落ち込んだりする瞬間があると思います。気分を切り替えるコツなど、私たち就活生に対して助言をいただきたいです。
北田:私は不合格通知がきたときの対応を2つに分けていました。いろいろな企業の選考を受けていると、しっかりと準備して面接に臨んだ企業と、あまり企業分析もせずに出した企業に分かれてきますよね。やれるだけやったけれど不合格だった場合は、もう相性の問題だと割り切り、その日は楽しいことだけをしてあとは休むようにしていました。でも、もし自分の非が認められる場合は、原因を分析して、この不合格を次の合格につなげるという気持ちで対策をしていました。
山木:私も失敗して落ち込むには2パターンあると思っていて。自分の努力が足りないから失敗したのか、もう自分で納得できるだけ努力してそれでも失敗してしまうのか。努力しきったのであれば、自分が好きなことをして忘れて気持ちを切り替えるだけでいいと思います。何か足りなかったのなら、その不足を補うことが不安をなくす根本的解決になると思います。
<編集部のDiscover>
就活を始めてすぐは右も左もわからず、周囲の友人や先輩、インターネット上の情報をかき集めて、就活における正解探しをしていました。「内定を持っている人の言うことが正しく思えてくる」現象、情報量に限界がある大学生なら、誰でも陥ったことがあるのではないでしょうか。
でも本当は、就活に唯一の正解はない。きっと人の数だけ正解がある。
実際に就職活動をしてソニーで生き生きと働かれているお二人の言葉を通して学んだことです。お二人とも本当にありがとうございました。