「死んでいた方がまだ諦めがついた…」4億円級納車トラブル被告の初公判を傍聴した被害者の慟哭

なぜ現時点では被害者がこの3人だけなのか。共通するのは3人の購入時期だ。いずれも2021年11月~2022年1月に入金をしている。小谷被告は2021年12月末の時点で“夜逃げ”をしていた。古くから小谷被告を知る関係者は、こう明かす。
「2021年の年末に、小谷の自宅に闇金業者が押しかけて大暴れしたことがわかっています。身の危険を感じた小谷は警察に保護してくれるよう駆け込みましたが、警察からは相手にされずもちろん保護もされなかった。心を落ち着けて生活できる場所がなくなった小谷は“夜逃げ”することを決意したのでしょう」
“夜逃げ”してからしばらくはスーパーや自宅前などで小谷の目撃事例が相次いだが、2022年春ごろからは目撃されることもなかった。逮捕されたのは“夜逃げ”してから約10ヵ月後の同年10月26日。場所は店があった長野ではなく、身を潜めていた埼玉県内だった。
つまり、今回の裁判で被害者とされているのは「デュナミス・レーシングの経営が傾き、お金を客から受け取っても明らかに納車する気がなかった」と確実にウラがとれた3人であるが、それ以外に小谷被告との間で納車にまつわるトラブルがあった100人以上の被害者は刑事裁判の対象にすらならない可能性がある。2020年ごろに入金した被害者は「警察に被害を訴えていても、詳しい話すら聞かれていない」という。
裁判所から被害者と認定されていないが、初公判の傍聴に来ていたある男性Dさんは小谷被告と30年以上の付き合いがあり、息子2人が2020年ごろに契約した車が納車されず、2台合計で1000万円の被害にあった。Dさんは被害にあうまでは何台も小谷被告から車を買い、その都度ちゃんと納車されていただけに、裏切られた無念と怒りは収まらない。
「正直、息子2人とともに殴り掛かりたい気持ちがありました。今、飛び出して行ったら全国ニュースだなって。小谷が生きていることすら気分が悪い。息子たちとも話しましたが本当に死んでいてもらった方がまだ諦めがつきます。あの姿は想像できていたのであまり驚かなかったですが。ただ63歳であれは愚かな姿だなあと。人の夢と希望そしてお金まで奪っていきました。車も結局納車されない。小谷が使ったお金のために、息子たちはずっと働いてローンを返しているんです。忘れたくても忘れられません。
(小谷被告は)お金も返さず、働くこともしない。逃げたもの勝ち…こんなのアリですかね?警察の被害者に対する対応の悪さも思い返すと腹が立ちます。逆ギレされ、不満不安をより強く抱かせたことは非常に腹立たしい。銀行も借りる側の調査と支払う先の調査をもっとちゃんとやらないとダメでしょう。今回の事件のおカネの流れを含めた全容解明をしっかりやってほしい」
追起訴も含めた次回の公判は4月27日に予定されている。Dさんのほかにも泣き寝入りを強いられている被害者たちの怒りが収まる日は来るのだろうか。






取材・文:加藤久美子
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