ネット上では「コオロギ事業に6兆円」の予算が税金から投じられているとする情報も拡散している。これについても、前出の農林水産省の担当者に尋ねると、「まったくの誤解で、われわれもびっくりしている」という。どこからそんな数字がでてきたのか調べているともいい、「SDGs関係の予算を引っぱり出してきて全て足したものを誰かがツイッターにあげたのではないか」としている。

「コオロギに公金使うな」「税金使ってる」などとして、私の記事を批判する書き込みは全て事実無根ということになる。

乳牛処分に至る経緯、理解したうえでの批判なのか

 次に、大量の生乳が廃棄されたり、乳牛が処分されたりしている酪農の現状について説明しておく。年末にバターが不足して、クリスマスケーキも作れない、と大騒ぎしたのは2014年のことだった。当時のバター不足は深刻で、農林水産省は「畜産クラスター事業」を通じて酪農家の牛舎の拡充や搾乳機器などの導入と増頭を支援した。

 それが功を奏して19年から増産に転じたものの、そこに新型コロナウイルスが襲いかかる。いわゆるコロナ禍で、外食産業や観光地の土産菓子の需要が落ち込み、生乳が余る事態に。乳牛は毎日定期的に決まった量を搾乳しないと壊れてしまう。そこにウクライナ侵攻で餌代が高騰。生乳は余っているのに、牛乳や乳製品が高騰する事態に陥った。

 そこでこの3月からは、乳牛を早期にリタイアさせた場合には1頭あたり15万円の奨励金を出す。その予算に50億円が組まれている。

 すでに対策に税金が当てられ、むしろ農政の失敗を責めることなく笠に着て、その補助に「コオロギ食」の予算を回せというのも暴論であり、関連性の根拠もない。そこまで言い繕って昆虫食を毛嫌いする偏見が窺える。まして、昆虫食に補助金は出ていない。

「給食に出すな」「給食に出して無理やり食わせた」などという書き込みも、大間違いで曲解している。徳島の高校では「希望者が給食で試食した」と私は書いている。誰も強制していないし、されてもいない。

 また「コオロギ食は生徒が拒否できない学校給食に持ち込んで政府・メディアぐるみで推奨した」「消費者にバレないようにこっそり粉末コオロギを混ぜる」など書き込んで批判するのは、もはや根拠のない陰謀論と呼ぶべきものであって話にならない。

 ここまでして、記事内容に触れることもなく、何ら根拠も示さないどころか、デマとでっちあげで私と私の記事を冒涜して拡散させることは、著しく社会的評価を低下させ、貶め、名誉権を侵害するばかりでなく、それこそが差別行為だ。