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婦人科部長の闘病記 番外編
原三信病院婦人科便り 番外編
原三信病院 婦人科 片岡 惠子
各種報道で皆様が耳や目にされたように、この冬、原三信には大きな悲しい事故が起こりました。新しくできた東館のラウンジに車が一台、猛スピードで突っ込み、3人の尊い命が奪われました。事故を起こしたタクシーの乗務員さんも、3人の犠牲になった方々も、それから大けがをなさった方々も皆、通常の生活ではなんら落ち度のない無辜の民です。
直後の現場は、それはそれは凄惨だったようです。
私などはあの日、のんきに溜まったDVDなど拝見しておりました。事故を知った友人から安否確認のLINEが来まして、たまげて原三信に電話をするも繋がらず。当然ですね。きっと皆、右往左往していたはずなのですから。
どこをどう間違ったらあのような悲しい事故が起こるのか、私には分かりません。
それでも、人は、起こったことを起こったこととして受け止めねばならないのでしょう。
第2次世界大戦中、ユダヤ人であることだけを理由に、強制収容所に送られ、そこから奇跡の生還を果たした精神科医ヴィクトール・E・フランクルが寄せた「夜と霧」という著書があるのですが、その中に興味深いことが書いてありました。
生きて収容所から戻った人は、決して強い人ではない、ということ。体が特別強いわけでもなく、精神的に強いわけでもなく、倫理観や正義感が強いわけでもなく、神や仏を強く信じているわけでもなく、使命感があるわけでもない、、、ただひとつだけ共通するのは「自分で自分の限界を作らない」人だ、と。
そして彼はこうも綴っています。
全ての自由を奪われたと思われていても、人間にはたった一つだけ奪われない自由がある。それは、自分がこれをこうしようと思い立つ、その自由である。その選択だけは誰からも奪われることはないのだ。
今、原三信もようやく平穏を取り戻しつつあります。
口さがない噂や悲しい情報もたくさん、入ってくるのですが、私は私に許されたただ一つの自由を胸に、フランクルさんを見習って日々精進したいと思います。
見守っていてくださいね。