〈放送法と官邸圧力〉「『報ステ』生放送中に番組幹部に恫喝メール」「自民党からも圧力文書」元経産官僚・古賀茂明氏が明かす官邸によるメディア規制の実態
放送法の「政治的公平」の解釈変更をめぐる総務省の行政文書、いわゆる“小西文書”を巡り国会が紛糾している。文書には2014年から16年にかけ、安倍政権が放送メディアに圧力をかけるようになるまでのプロセスが生々しく記されているが、元経産官僚の古賀茂明氏は「それ以前から『報道ステーション』の幹部は、官邸からの圧力にさらされていた」とその内情を語る。
各局の大物キャスターが「続々降板」の怪
立憲民主党の小西洋之参院議員が安倍政権当時の総務省作成として公表した、放送法の「政治的公平」に関する内部文書
――その先に待つのは行政指導、そして停波です。そうなれば、テレビ局は倒産です。
ええ、だから現場の緊張ぶりは大変なものでした。そして、実際にMプロデューサー、恵村さん、そして僕の3名の更迭および降板が決まった。政府は政治的公平について、放送事業者の「各番組全体を見て判断する」としていました。その従来の判断を覆し、「一つひとつの番組でも判断できる」と高市早苗総務大臣が答弁したのは15年5月のことです。
その影響は大きく、16年3月には安倍政権に批判的だったTBS「ニュース23」の岸井成格さん、NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子さんといった大物キャスターらが降板に追い込まれます。しかし、実際には政府統一見解のずっと早い段階から放送法4条違反という具体的な恫喝という形で、「報道ステーション」は圧力にさらされていた。
実際、磯崎氏が、ツイッターで『自民党では、すべての番組を録画録音してサーチしています。クレームも、きちんとしていると聞いています。 偏向報道には黙って看過せず、いちいちクレームをつけるくらいの努力が今の日本では必要です』と発信したのは、前述の総務省への電話と報ステプロデューサー宛自民党の圧力文書と同日の11月26日でした。ただの偶然とは思えませんよね。
つまり、政権によるメディアの口封じは放送法4条解釈以前に完成していたんです。これは表現の自由を定めた憲法21条にも触れかねない動きで、憲法破壊も厭わない安倍政権は本当に異常な政権でした。
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