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スイーツ界では“専門店化”傾向がますます顕著に。中でも『エル・グルメ』が注目したいのが今年建国100年を迎えたトルコの伝統菓子「バクラヴァ」だ。繊細な生地からじゅわっと染み出るシロップとナッツの香ばしさが他のどのスイーツとも異なる「バクラヴァ」の魅力にフォーカス。
photo TERUAKI KAWAKAMI, SATOSHI FUKUDA
トルコを中心に地中海沿岸や中央アジアで人気のペストリー。極薄の小麦粉記事を何層も重ねたパイに、ピスタチオやくるみ、ヘーゼルナッツなどのナッツをはさんで焼き、仕上げに甘いシロップをかけて作り上げる。
トルコの伝統菓子として知られるバクラヴァだけど、モンゴル語の「結ぶ」「巻く」に由来するという説も。
作るのに手間がかかり、材料が高級なバクラヴァは結婚式などのお祝いやラマダン明けのお祭りなど特別な日に食べるスイーツの代表格。手土産はもちろん、日常的にも親しまれており、家によってお気に入りの専門店があるのだとか。
トルコの首都アンカラを始め、各地に有名店がたくさんあり、その多くは先代から続くため「~~の息子」という店名のお店が多いそう。
もっともよく見かける形は台形だけど、ひし形やシェル型などさまざま。形によってフィリングが異なったり食感も違うので是非食べ比べてみて。
「おいしそうなバクラヴァは層が紙のように薄く、何枚も重なっているもの。そして下の層にシロップがよく染み込み、作りたてのような艶やかなもの」と言うのは在日トルコ共和国大使館のカアン・ユルマズ文化広報参事官。
やっぱりトルココーヒー! 焙煎したてのコーヒー豆を粉末状に挽いて、ジェズヴェという専用の小鍋で冷水からゆっくり温めたもので、深いコクと香りがたまらない。砂糖をたっぷり入れた甘いトルココーヒーもおいしいけれど、バクラヴァと飲むなら砂糖は控えめがおすすめ。チャイ(紅茶)もよく合う。
ちなみにトルコスイーツは韓国でも流行中。その理由はトルコ国内のK-Pop ブームが関係しているという説も。
「トルコでK-Pop人気が高まり、韓国からアーティストがやってきてライブを開催、SNSで現地のスイーツを食べている様子などをアップしたことから、韓国でトルコスイーツが広まったようです」と語るのはトルコ出身のPRコーディネーター、アシザワ・ドゥイグさん。
日本も少なからずこの影響を受けているのかも! 早速、東京と横浜でバクラヴァが食べられるおすすめの店をチェックしていこう。
1843 年に創業し「バクラヴァの王様」としてトルコ・イスタンブールで愛されている高級老舗ブランド「カラキョイ・ギュルオール」が海外初出店。熟練の職人がイスタンブールで製造したバクラヴァを輸入し、仕上げのみを国内で行っている。トルコで出合った味を求めて訪れるファンも多い。
写真は「ナーディル・ギュル ピスタチオバクラヴァ」(上・下右)と「ナーディル・ギュルくるみバクラヴァ」(下中央・下左)。トップはパリパリのパイ、中央は刻んだナッツ、底はシロップを吸ったしっとりパイの3層構成。シロップにはちみつやフルーツを加えず、潔く砂糖のみ。甘さはやや控えめで生地とナッツの風味をしっかり味わえる。
「ナーディル・ギュル ピスタチオバクラヴァ」4個入り ¥1,944
「ナーディル・ギュル くるみバクラヴァ」4個入り ¥1,728
三角形にカットされた「バクラヴァケーキ」(¥1,080)もあり。
ナーディル・ギュル 松屋銀座店
東京都中央区銀座3-6-1 松屋銀座B1
tel. 03-3567-1211(松屋銀座代表)
営業時間/10:00〜20:00(日曜、連休最終日〜19:30)
定休日/施設に準ずる
インスタグラム/@nadirgullu_jp
公式ウェブサイトを見る
アラビア、地中海料理をベースに、ヴィーガン、ベジタリアン、ハラールといったさまざまな食のスタイルに応えるデリカテッセン。ショーケースにはファラフェルやフムスなどアラブの前菜であるメゼから、スイーツまで色鮮やかに並ぶ。なかでもリピーターが多いのが、デーツと花蜜糖で甘みを付けた上白糖不使用のバクラヴァだ。細かく砕いたくるみとねっとり濃厚なデーツをたっぷりサンド。頬張ると、華やかな香りのシロップがじゅわっとあふれ出る。
写真は「デーツとくるみのバクラヴァ」。極薄のフィロ生地を幾重にも重ね、デーツジャムとくるみを挟んでオーブンへ。焼きたての熱々に花蜜糖をかけて仕上げたバクラヴァはフルーティーな香りとコクのある甘みが特徴。
「デーツとくるみのバクラヴァ」¥756
カールヴァーン デリカテッセン 横浜髙島屋店
神奈川県横浜市西区南幸1-6-31 横浜髙島屋B1 Foodies Port II
tel. 045-620-7871
営業時間/10:00~21:00
定休日/施設に準ずる
公式サイトを見る
2月6日にトルコ南東部で発生した大地震で甚大な被害が出ているトルコとシリア。被災者を支援し、1日も早い復興を心から祈ろう。
トルコ地震緊急支援先
トルコ共和国大使館他
最新号『エル・グルメNO.33』は、今食べたい最旬スイーツが満載!
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今気になるのは、中東菓子や中華菓子、バニラのお菓子や発酵菓子など、ユニークなジャンルに特化したキャラ立ち専門店。今回紹介したバクラヴァのほかにも、新進気鋭のパティシエが作る個性あふれる定番スイーツから新スタイルの和菓子、デセールコースまで、心ときめくスイーツが大集合。
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