司法書士を目指す人のなかには、独立開業を視野に入れているケースも多いのではないでしょうか。
「独立開業するためには何が必要なのか」「失敗を避けるにはどんな点に注意すればよいのか」開業準備について気になることはたくさんあるはずです。
本コラムでは、司法書士が独立開業するために準備すべきことや成功するためのポイントについてご紹介します。
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目次
司法書士として独立開業した場合の年収は?
そもそも、司法書士になったらどの程度の収入を見込めるのかは気になるところでしょう。
結論から言うと、司法書士の年収はバラツキが大きく一概に高年収であるともそうでないとも言えません。個人の力量によって、年収には大きな差が生じます。
司法書士が独立開業した場合の平均年収は500~700万円前後、会社員だと300~500万円ほど(求人情報等を基に算出)と言われています。
年収1,000万円以上の司法書士は全体の1割以上となっており、頑張り次第では高収入を狙いやすい職業の一つであると言えます。
これは、司法書士は士業の中でも人数が比較的少なく、司法書士にしかできない独占業務があるため、不特定多数と競合する必要がない点が有利に働くといえるでしょう。
司法書士として独立開業するまでの5つのステップ
司法書士が独立開業するまでの準備の流れとしては、概ね以下のようになります。
- STEP1:実務経験を積む
- STEP2:具体的な独立計画を立てる
- STEP3:開業に備えた人脈を作る
- STEP4:事務所の契約、司法書士会への登録申請
- STEP5:挨拶状を送る
司法書士は一人で事務所を開くのであれば独立のハードルは決して高くなく、独立を前提に資格を取る人も少なくありません。
STEP1:実務経験を積む
試験に合格した後、登録をすればすぐに独立開業することも理論上は可能です。
司法書士試験は実践的な試験であり、登記申請書の書き方も受験勉強によって学んでいるからです。
ただし、勉強だけでは知ることのできない点も実務には多いため、通常は司法書士事務所で実務経験を積む必要があります。
すでに合格までに実務経験を積んでいる場合には、合格後すぐに独立してもよいでしょう。
実務経験を積む期間は、最低でも半年程度、できれば一年を通じた仕事の流れを知るために一年はあるとよいでしょう。
20代から30代前半の若い人の場合には、2~3年経験を積みながら開業資金を貯めるのもよいと思います。
それ以上の年齢の場合には、あまり長く実務経験を積んで年齢を重ねてから独立開業するよりは、1年程度で思い切って独立開業したほうが伸びしろが大きく成功しやすい傾向があります。
STEP2:具体的な独立計画を立てる
ステップ1と並行しながら、具体的な独立の事業計画を立てていきます。
以下のような点を中心に計画を立てましょう。
- どこで開業するのか(事務所の立地)、開業の時期の検討
- 初期費用(什器備品、司法書士業務支援ソフト、事務所の敷金礼金、ホームページ制作費、当面の運転資金など)の計算と、その資金をどのように準備するかの検討(貯金、融資を受けるなど)
- 月々の経費(事務所家賃、什器や自動車等のリース料、司法書士会会費など)がいくらかかるのかの計算と、必要となる売り上げ目標の設定
STEP3:開業に備えた人脈を作る
ステップ1・2と並行しながら開業後にスムーズに仕事を始めるための人脈づくりも大切です。
人脈作りと言っても大げさに考える必要はなく、学生時代の友人や親せきに開業予定を伝えたり、他士業や他業種の人と知り合うための異業種交流会に参加するなど、自分にできそうなことをしてみましょう。
また、すでに独立開業している同業者の先輩から話を聞いてみるのもよいでしょう。独立後に悩んだときに相談できる同業者がいることは大切です。
STEP4:事務所の契約、司法書士会への登録申請
事業資金が準備でき、勤務先を退職したらいよいよ実際に独立開業します。
事務所の契約、司法書士会への登録申請、什器備品の購入といった作業を行います。
事務所のレイアウトなどは、事前によく考えたうえで事務所の契約をしましょう。
STEP5:挨拶状を送る
独立開業したら、自分が独立したことを知ってもらうために挨拶状を送るのがおすすめです。
まずは自分の存在を知ってもらわなければ仕事を得ることはできません。
ホームページを作成するのもよいでしょう。
独立開業に失敗する人と成功する人の違い
司法書士で独立開業した場合に、成功する人と失敗する人にはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの傾向について紹介します。
成功して稼いでいる人のパターン
成功している人には以下の傾向がみられます。
①法律知識以外のセールスポイントがある
司法書士試験に合格している以上、司法書士は全員法律知識は持っています。
そのため、+αの能力がなければ選ばれることは難しくなります。
たとえば、法律以外にも特定の分野の詳しい知識や経験がある、外国語ができて外国籍の人にも対応できる、などといったセールスポイントがあると他の司法書士と差をつけることができます。
また、特殊な能力がなくても、聞き上手、対応がスピーディといったこともセールスポイントになりえます。
②コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力は大切です。
士業は「先生」と呼ばれることから客商売の意識が低い人もいますが、クライアントに対して親切で誠実な対応を取らなければ継続的な仕事を得ることはできません。
また、クライアントとのコミュニケーションも大切ですが、他士業との連携も大切です。
司法書士の業務は他士業と関わることも多く、他士業と協力し合って業務をスムーズに行うことができれば、他士業者から仕事を紹介されるなど、自然とクライアントも増えていくでしょう。
失敗して廃業する人のパターン
反対に、失敗してしまう人には以下の傾向がみられます。
①特定の仕事しかやろうとしない
自分の経験したことのある仕事以外は不安だから手を出したくないという人がいます。
そのようにえり好みをしてしまうと、せっかく仕事を依頼しようとしてくれた人、クライアントを紹介しようとしてくれた人から良い印象を受けることはなく、二度と依頼されることはないでしょう。
また、仕事の幅がいつまでも広がらないため、先細りしていくのは自然なことです。
②報酬の安さを売りにしている
司法書士の報酬は自由なので、他の人より安い報酬設定にして仕事をもらおうと考える人がいます。
最初のうちは、それである程度仕事を取ることができるかもしれません。
しかし、一度安い報酬で仕事を受けてしまうと、後から報酬を上げていくことは難しく、常に安い報酬で仕事することを求められるようになります。
また、報酬の安さだけで勝負していると、自分よりさらに安い報酬の同業者がいれば簡単に乗り換えられてしまうリスクもあります。
業務に見合った適正な報酬を請求することが必要です。
予めこのような失敗パターンや傾向を知り対処法を用意しておけば、自分が独立開業する際の失敗は避けられるでしょう。
まとめ
司法書士は難易度が高く実践的な試験に合格しているため、独立開業することは決して厳しいことではありません。
独立開業するときには、人との関わりを大切にし、仕事のえり好みをせずに謙虚な姿勢で仕事を続ければ、着実に仕事を増やしていくことが可能です。
そのため、努力次第で高収入を得ることも十分に可能な職業の一つといえるでしょう。