茨城県議会、自民43議席に回復 無所属で当選した8人が会派入り
昨年12月の茨城県議選後、焦点となっていた県議会の会派構成が固まった。最大会派のいばらき自民党には、無所属で当選した保守系の県議8人が入り、改選前の44議席に迫る43議席となった。県議選後、初となる定例会が28日に開会し、約1カ月の論戦が始まった。
自民は、県議選で現職10人が落選し、一時は35議席になったが回復した。
無所属で当選した県議8人が会派入りしたからだ。小泉周司(那珂市)、瀬谷幸伸(日立市)、木本信太郎(水戸市・城里町)、松田千春(潮来市・行方市)、秋元勇人(結城市)、黒部博英(常陸大宮市)、横田透(つくばみらい市)、木村喜一(小美玉市)の8氏。全員が自民市議や自民の国会議員秘書など「保守系」の経歴を持つ。
小泉氏と瀬谷氏は1月、先行して会派入りが認められた。いずれも自民現職がいない「空白区」で当選。県議選では自民の推薦を受けて無所属で戦った。
ほかの6人は、自民入りを希望したが、すぐには入会が認められなかった。会派入りにあたって、県連が6人の経歴などについて審議するのに時間が必要だったためだ。
県連は2月21日までに6人の入会を決めた。いずれも県議選で自民現職を破ったり、定数が複数人の選挙区で自民現職と激しく争ったりしているが、あるベテラン県議は「保守系同士の争いでは、勝ち上がってきた人を自民に入れるのが伝統だ」と話す。
一方、自民への入会を希望しながら、認められなかった県議もいる。県連幹部は「選挙戦で他党の支援を受けたとの情報があり、時間をおいて整理する必要がある」とした。
他会派では「4議席」を目指す動きもあった。4人以上の会派は、本会議で代表質問ができるためだ。
改選前に4議席だった県民フォーラムは、県議選で現職1人が落選。国民民主党のある県議は「(代表質問がある2月の)定例会前までに何とか4人にできれば」と話していた。
その後、無所属で当選した大足光司氏(高萩市・北茨城市)が1月下旬に会派入りし、かろうじて4議席を維持した。会派名は、全員が党籍を持つことから国民民主党に改めた。
定例会には総額1兆2922億円の新年度一般会計当初予算案など39議案が提案された。代表質問は3月3、6の両日、他会派や無所属の議員も登壇する一般質問は同7~10日に予定されている。会期は同24日まで。(藤田大道)
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自民党茨城県連は、昨年12月の県議選で「反党行為」があったとして、水戸市・城里町選挙区の舘静馬県議(55)を県議会の会派「いばらき自民党」から離脱させる処分を決めた。期間は2年間。
県連は、舘氏と、同選挙区を含む衆院茨城1区選出で、旧民主党出身の福島伸享氏(52)=無所属=との関係を問題視した。2021年の衆院選で、福島氏は、比例復活当選した自民候補の対立候補だった。
舘氏は、県議選期間の前後に、福島氏と対談した動画や、舘氏の出陣式で福島氏が応援演説をした動画を自身のユーチューブチャンネルで公開した。県連はこれらの行動が、「反党行為を行わない」などとする会派入り時の誓約に違反するとした。
水戸市・城里町選挙区は定数6に10人が乱立する激戦となり、舘氏がトップ当選を果たした。
ベテランの自民県議は「自民党を批判してきた『敵』と仲良くするような姿を、表だって見せるのは党の方針に反する。一線は守るべきだ」と指摘。一方で、「激しい選挙だっただけに、どんな人の協力も得たいという気持ちはわかる」とこぼした。
舘氏は「反党行為の認識はないと説明したが、理解してもらえず残念だ。処分が決まった以上は受け入れたい」と話した。(藤田大道)
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各会派の構成は次の通り。
▽いばらき自民党(43人)=舘静馬、木本信太郎、川津隆、瀬谷幸伸、高橋直子、伊沢勝徳、高橋勝則、森田悦男、戸井田和之、秋元勇人、坂本隆司、飯塚秋男、飯田智男、金子晃久、石井邦一、西野一、豊田茂、常井洋治、村上典男、中村修、川口政弥、沼田和利、星田弘司、鈴木将、磯崎達也、海野透、小松崎敏紀、松田千春、小川一成、黒部博英、小泉周司、水柿一俊、半村登、石塚隼人、細谷典幸、白田信夫、村田康成、田山東湖、長谷川重幸、横田透、木村喜一、下路健次郎、葉梨衛
▽公明党(4人)=高崎進、村本修司、八島功男、山本美和
▽国民民主党(4人)=高安博明、斎藤英彰、大足光司、二川英俊
▽茨城無所属の会(3人)=中山一生、桜井信幸、ヘイズジョン
▽立憲いばらき(2人)=玉造順一、設楽詠美子
▽市民ネットワーク(1人)=宇野信子
▽日本維新の会(1人)=長田麻美
▽日本共産党(1人)=江尻加那
▽無所属(3人)=中村勇太、金子敏明、秋嘉一
(いずれも敬称略)
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