父が余命1年と宣告されました。
約半年前のことです。
被曝二世であること、また、癌一族であるため長生きは期待しておりませんでした。
ちなみに私は実父をすでに亡くしています。
ここで言う「父」とは戸籍上では継父にあたる関係ですが、私にとって父とは継父であり、継父が私の父です。
父はASD気質が強く、昭和生まれにしては珍しく留学をして有名大学を卒業しました。
子供3人いた母と結婚し、同じくASD気質の強かった義理の祖父母と同居し、三番目の末っ子である私を大切に育ててくれました。
当時の我が家は地方豪族だったので、単純な恋愛結婚ではなかったのかもしれません。
父はバブルで株を買い、土地を買い、母は半年に一度車を買い替え、価値のないアクセサリーやバッグを買い…
そして現在は億単位の借金を抱え、破産手続きが進んでいます。
父は一度だけ私に金の都合をつけて欲しいと連絡してきました。その前に何度も身内から頼まれて都合していましたが、父から頼まれたのはそれが初めてでありました。
私は上限金額を決めて、返す必要のない金として振り込みました。
皆さんなら、身内や家族にお金を貸しますか?
私は貸すのでなく、「渡し」ました。
身内や家族とは切りたくても切れない縁(輪廻)があります。
その縁が良いものであれ悪いものであれ、必然的に発生し、そしてそこから抜け出すことはできません。
私はこれまで自分に投資してくれた父へ感謝しています。
一人の男が、自分の血を引く子供を持つことを諦めること、他人と同居すること、それは経済的豊かさでは補えないほどの苦痛もあったことでしょう。
余命1年と宣告され半年が経過した今、コロナがようやく第五類となり約8年ぶりの帰省が決まりました。
父とは子どもが1歳の時に帰省して以来、会ったことがありません。
入退院を繰り返し、何度も放射線治療を受けています。
父に長生きして欲しいとは思いません。
それはきっと、肉体的にも金銭的にも苦痛だろうからです。
長生きしたい、長生きして欲しいと願えるのは、リッチな人種のみです。
皆さんのご両親はきっと、普通の老後(自立生活ができ孫にお小遣いを渡せて住む場所に困らないレベル)を送っていらっしゃるのでしょう。
「リッチ」と書きましたが、それは資産家を意味しているのでなく、私にとって自立した生活を送れる人はすべてリッチです。
父に会うのはもしかしたら、これが最後かもしれない。
その時に私は何を感じ、何を思うのでしょうか。
※1:このシリーズはフィクションを含みます
※2:このシリーズについて一切コメントいたしません