牧野は、明治45年から昭和14年まで東京帝国大学理科大学で講師もやっていたので、武蔵も彼と触れ合う機会はあったのではないか(ドラマは現在昭和10年)。フィールドワークに夢中で牧野の仕事に気づかなかったのかもしれない。それについては30回で回答がなされるだろうか。
ちなみに、武蔵は新種を発見したあかつきには、両親の名前をつけようと思っていて、牧野は発見した植物に亡き妻の名をつけている。とはいえ、基本的に私情はネーミングに持ち込まなかったらしい。
そんな細かいとこが気にかかる29回ではあったが、新種を発見した武蔵を祝おうと千代紙で箸置きをつくる高畑充希の手に魔法をかけられた気分に。演技の完成度が高い高畑は初々しさとは無縁。だが、全体的に小柄なので、どこか未成熟で健気な感じが漂う。指先まで神経を配って千代紙をもった小さな手には愛おしさ倍増。なんてニクい女優なんだ。
(木俣冬)