阪神が8日の「永久欠番デー」と銘打って行われた宿敵・巨人とのオープン戦(甲子園)に0―1と敗れた。球団創設80周年の記念企画として和田豊監督(52)ら首脳陣、選手が“初代ミスタータイガース”の故藤村富美男氏(元本紙専属評論家)の背番号「10」のユニホームで臨んだ一戦だったが、5年目・岩本輝投手(22)が6回無失点の好投で先発5番手当確となった以外は見どころなし。球団フロントからは「今年は本番でも記念試合は多いのに…。先が思いやられる」と心配の声が噴出している。

 阪神の永久欠番は藤村氏の「10番」と伝説のエース・村山実氏の「11番」、「今牛若丸」と呼ばれた吉田義男氏の「23番」。この日は監督、コーチ、選手全員が背番号「10」をつけただけでなく、藤村氏と村山氏の親族を招待し、両氏と1985年日本一監督でもある吉田氏をたたえるセレモニー、始球式が行われた。吉田氏が「この節目の年に日本一になって、そして永久欠番の選手が早く出てきてほしい」とエールを送るなど、大いに盛り上がったが、肝心の試合は0―1で終了だ。

 オープン戦とはいえ、特別な試合での敗戦に総帥・坂井オーナーは「1対0でちょうど(藤村氏の)10番になって、ええんと違いますか。寒かったなあ。まあ、投手が抑えたから良かったけど…」とコメント。和田監督は「勝ちたかった? そういう姿勢で最後までやった。歴史を築いてきた先輩。その重みを感じてプレーしていきたい」と言い、選手会長の上本も「阪神は伝統ある球団なんで責任を持ってしっかりやっていきたい」とバツの悪さを何とか前向き談話でしのぐしかなかった。

 これに心配の声を上げたのが、フロント幹部だ。「シーズン本番ではないけど、普通なら何が何でも勝って偉大な先輩をたたえなアカンところ。ウチはなぜか、大事な試合を落としたりすることが多い。特に今年、節目の80周年で、この手の記念イベントが年間通じて行われることになっている。盛り上げる意味でも(そういう試合には)勝ってもらいたいのだが…」

 今季は「節目の年だけにいろんなアイデアを出してやっていく」という南球団社長の大号令で記念イベントが目白押し。すでに甲子園4カード計12試合を「LEGEND DAY」とし、例えば4月17日からの巨人3連戦では85年のバース、掛布、岡田の「バックスクリーン3連発」シーンを徹底して取り上げることが決まっている。期日未定だが、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督にもお祝いメッセージをお願いしており、そういった記念企画時の試合で、もしも負けてばかりとなればシャレにならないというわけだ。

 過去には球団創立60周年の95年に最下位になったこともある阪神。今季はそうならないように願いたいが、果たして…。