今回は通常行っている定期メンテナンスについて触れてみようと思います。
これは実際にg7の店頭ギターにも定期的に行っており、皆さんのお手持ちの楽器にもそのまま採用頂きたい内容です。
ギターを良い状態でキープする為にも、基本的には弦を交換するタイミング、もしくは2~3か月に一度はお勧めしたい内容です。是非参考としてくださいね。
まずネック枕などを用意し仰向けに寝かせます。この体制がギター調整関係でも基本体制となるので、ネック枕は用意して頂くと良いかもしれません。
弦を外し、フレットから磨いていきます。
フレットは100均などでも売っているスチールウールで構いません。その際指板を傷つけないよう楽器店などで市販している指板ガードプレート等を使用して下さい。
↑画像右が磨いた状態。左側が磨く前です。画像だと分かり辛いですが肉眼で見ると全然印象が変わるので気持ち良いですよ。
↑次に指板へ塗り込むオイルを用意します。g7では店頭でも販売しているオレンジオイルを使用しています。
このオイルの塗り込み方というか、塗り込む量が重要です。多くの方がティッシュやウエスにちょんちょんと付け、指板を磨いていく、、、というようなやり方のようですが、正直効果は薄いです。
↑実際はこのぐらい。指板に直接オイルをドバババと垂らして下さい。指板のエンド側からヘッド側に向かってバァーー!と。指板の中心にオイルの線を一本引くイメージです。
で、この状態からすかさずティッシュもしくはウエスでムラなく広げます。
↑ビタビタにしちゃって下さい。この際、オイルがボディやネックグリップ側に垂れてきたりしますが、指板上に塗り広げた後に拭き取ってあげて下さい。
植物性のオイルはラッカーの塗膜、ハードウェアパーツについてもそれほど悪い影響はありませんが、単純にベタベタして気持ち悪いと思うので、指板以外の余計なところに付いたら拭き取ってあげて下さいね。
で、指板上のオイルですがお勧めとしては一晩程度放置して下さい。短くとも2時間程度は置いておきたいです。
すぐに拭き取っても効果はある程度ありますが、逆に言えば"ある程度"しかないので、時間はおきましょう。(月に1~2回と頻繁にやる場合はここの時間も短くて大丈夫です)
↑g7ではオイル漬けしている間はこのようにハンガーにかけ時間を置いています。
※因みにフロントピックアップ上のマスキングテープですが、先述のフレット磨きの際、削れたスチールウールの細かい埃がピックアップに付かない様対応しています。ピックアップは磁力を帯びていますので当然スチールウールの埃もくっ付きます。予め対応しておくと後々のクリーニングも楽なんですね。
一定の時間を置いていると指板が油分を吸い、表面が自然と乾いてきます。この時の油分の吸い込む時間によって、その指板がどの程度乾いてしまっていたかが分かります。
オイルコンディションをした事の無い楽器であれば、オイルを塗ってすぐに指板が乾いてくると思いますが、その際は多少塗り重ねも必要となります。
十分に油分を蓄えさせてあげたらティッシュなどでしっかりと乾拭きをしてあげて下さい。
この際、指板上の油分を吹き切った後にフレット一本一本も改めて乾拭きして下さい。美しく輝いてくれますよ。
ここまで終われば後は新品の弦を張って、必要に応じて調整となります。(基本的な調整に関しては別の機会にアップしますね)
このオイルコンディションですが、指板上に塗膜のあるギターには必要ありません。あくまで木地がむき出しのローズやエボニーなどに必要な処理となります。
では何故ローズやエボニーにはこのような処理が必要か。それは以下の理由からです。
①乾いた状態で放置し使用していると最悪ヒビや割れの原因となります。特にハカランダやエボニーなどの硬い素材こそ、逆に割れ易いと認識して下さい。
実際にヴィンテージのレスポールカスタムなどには割れた指板の個体をよく見かけます。しかも木目に沿って割れる為、オーナー様は気付いていない事が殆どです。
→適度に油分を蓄えるという事は、この手のトラブルにかなり有効です。
②ネックには塗膜がありますが指板がむき出しである為、ネックは主に指板から空気中の水分を呼吸します。ネックの反りやトラブルの原因として空気中の湿度などが影響している事は間違いありません。(勿論それ以外の要因もありますが。)
油分は水分をはじく特性があります。この特性を生かして、指板の中に油分の膜を作ってあげるイメージです。
そうする事で梅雨や夏季は余計な水分を吸収し辛く、冬季などの乾燥する季節には必要以上に水分が飛んでしまう事を防げます。
→塗膜の代わりに指板内に油膜を作ってあげると、ネックのコンディションそのものを良い状態でキープする事に効果があります。
ただ注意点として、あまり過度にやり過ぎると少々オイリーな手触りとなり、サウンドもややウェットな印象となる為、あくまで"適度に"という事を意識して下さい。
今回は以上となります。文章だと説明し切れないところもありますが、ご参考として頂ければ幸いです。
投稿者:宇佐川