1971~1973年に放映された「仮面ライダー」第89話~第98話のエンディング曲を紹介します。

今では仲間も増えた仮面ライダーですが、当初は孤独で哀しいヒーローでした。
改造人間となり、人間ではなくなったことの悲しみや喪失感。
正体が知れれば社会から疎外されるのではないかといおそれ。
この曲は当初の仮面ライダーのテーマを率直に表現しています。

この曲の演奏は3つの楽器が主役です。
バイオリンのなだらかに連続した音色。
フルートのキレのある高音で速い音の移り変わり。
エレキギターの余韻のある悲しげなメロディ。
3つの楽器が奏でるメランコリックな音色は、荒野を走る孤独な仮面ライダーの心、そのもの。

バイオリンの悲しげなハーモニーから、荒野を吹きわたる風のようなフルートの音色のイントロで始まります。
このイントロを聴くだけで、悲しみに満ちた雰囲気が十分に伝わってきます。 

1番が終わった直後、0:53からのフルートの音色
2番が終わった後、1:40からのエレキギターのメロディ。
これがまさに「男のむせび泣き」。
感情を押し殺し、静かに悲しみにふけるライダーの背中が見えるようです。

作詞の田中守は平山亨のペンネーム。
東映作品でよく見る「八手三郎」は今では東映の共同ペンネームですが、これも元は平山亨のペンネーム。
制作に関しては多彩な才能を発揮した方でした。

作品の主軸を担っていた方だけあって、仮面ライダーの根底にあるテーマが正確に詞になっています。

ひとり」という単語が1番だけで6回登場し、これでもかと孤独を強調。
「護る」「斗う」というキーワードも繰り返すことで強調。
伝えたいことが明確で、一度聴いただけで共感することができます。

注目したいのは、2番の終盤とその後の歌詞です。
「されどわが友サイクロン
機械の体となった仮面ライダーはもはや人間ではない。
そんな孤独な仮面ライダーの相棒は、機械のサイクロンなのです。

社会との関わりを避け、自分の体だけを頼りに悪と戦うニヒルな初期の仮面ライダー像がそこにあります。

ボーカルの子門真人は、曲によってはとてもソウルフルでクセの強いところが素敵なこともありますが、この曲に関してはとても素直な歌唱です。
人が悲しい時は、素直になるもの。真っすぐな歌唱が心を揺さぶります。

子門真人の声は高音でも芯が強く、はっきりと聞き取りやすいのが特徴。
この曲では、すべての単語の出だしに注意して下さい。
とても歯切れが良く、音程もぶれず、自信を持って最初から力強く声が入ります。

これは簡単なようでとても難しいことです。
力が入るあまり音程がぶれたり、息が抜けるような音になったりするボーカリストはプロでもありがち。
変な声色でごまかしを入れる前に、こういう基本がしっかりしたカッコよさを追及したいものです。

後奏のフェードアウトでは、吹きすさぶ風のようなフルートの音色が小さくなっていくにつれ、サイクロンにまたがり走り去る仮面ライダーの背中を見送るような気持ちになります。

悲しいことやつらいことがあっても、静かに独りで空を見上げて噛みしめなければならない時、心に響く曲です。


曲名:ロンリー仮面ライダー
作詞:田中守
作曲:菊池俊輔
編曲:菊池俊輔
歌:子門真人
番組名:仮面ライダー(エンディングテーマ)