実は一番痛いところを突かれたか、「台湾に侵攻したら共産党幹部とその親族の財産に制裁」の米法案に習近平政権ブチ切れ会見

しかし何のため? 気球問題ではない

しかしよく考えてみれば、米国のQUADなどの中国に対する戦略的封じ込めや台湾支援、そして中国への先端技術禁輸などは、この数年間ずっと継続されており、別に今、始まったことではない。どうして今、習主席-秦外相のラインは突如、これほどの対米批判・警告を発すこととなったのだろうか。

原因の1つは、2月初旬に起きた中国の偵察気球が米軍によって撃墜された事件にあると考えられる。中国軍による外交妨害工作の可能性もあったが、結果的には習政権の対米改善外交が中断し挫折したことは、2月15日公開の「中国軍が偵察気球で『米中関係改善潰し』に暗躍…習近平政権、実は内部分裂?」で指摘した通りである。

 

秦外相は前述の記者会見でもやはり、「気球事件」を取り上げて米国を厳しく批判した。しかしそれだけでは、秦外相が発した米国への「最終通告」の真意は解釈しきれない。

実際、気球撃墜事件が起きた当時、秦外相は一切発言せずに対米批判を避け、関係改善に余地を残したはずだが、今になって全面的な米国批判に踏み切ったのは一体なぜか。そして、「米国側がブレーキを踏まないで誤った道に従って暴走すれば」という彼の対米批判発言に出た「暴走」という言葉は一体何を指しているのか。

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