日本とポーランドの物価比較 2022

新型コロナウィルスの蔓延とロシアによるウクライナ侵攻により世界的に物価上昇が進む中、ポーランドはとりわけ激しいインフレに見舞われている。本記事では、世界最大の生活費データベース Numbeo のデータを基に日本とポーランドとで各種物価を比較するとともに、かつてポーランドに住んでいた者として感じることを述べる。

Numbeoは世界各都市の物価および生活費を無料公開しているウェブサイトである。こちらの記述(英文)によると、スーパーマーケットのウェブサイト、政府機関の発行する資料、その他調査資料などの情報に加え、一般市民からの情報を基に収集されたデータを評価・分析し値を算出しているとある。興味のある方は参照されたい。

本記事を読むにあたり、以下の点に留意いただきたい:

  • データは私的機関Numbeoが独自に提供するものであり、国や地方自治体のお墨付きが得られたものではない
  • 本記事に示された物価は2022年9月下旬にNumbeoウェブサイトから収集されたものであり、データ更新や通貨レート変動により現在の物価と多少の差異があると思われる
  • 各品目の値は、類似品のうち高過ぎず安過ぎない物の金額が示されており、実際の価格は上下に振り幅がある

それでは、Numbeoのデータを見てこう。Numbeoの情報からいくつかの項目をピックアップし、以下に示す:
(スマートフォンではテーブルの表示が非常に不格好になります。対応できておらず申し訳ありません。)

給料

月収(手取り)
日本331,000 円
ポーランド137,000 円

ポーランドの賃金は年々増加しているが、それでも平均手取り月収は日本の4割程度だ。激しいインフレにより生活費が日本と大差ない水準まで上昇した今、多くのポーランド人が生活苦を強いられていることが想像される。

住居

アパート(1部屋)
家賃/月(市中心部)
アパート(1部屋)
家賃/月(郊外)
アパート(3部屋)
家賃/月(市中心部)
アパート(3部屋)
家賃/月(郊外)
アパート価格/m2
(市中心部)
アパート価格/m2
(郊外)
日本96,000 円62,000 円189,000 円121,000 円893,000 円499,000 円
ポーランド76,000 円64,000 円121,000 円98,000 円466,000 円320,000 円

ポーランドの家賃価格は全体としては未だ日本より安いものの年々差は縮小し、郊外のワンルームに至ってはほとんど差がない。一方、ポーランドのアパート販売価格は日本より4~5割安いため、長期的にポーランドに住む場合はアパートの購入を考えた方が良さそうだ。

食品

鶏肉 1kg牛肉 1kg鶏卵 12個じゃがいも 1kgトマト 1kgりんご 1kg
日本910 円2,400 円240 円450 円630 円740 円
ポーランド610 円1,200 円310 円80 円300 円110 円
米 1kgパン 500g牛乳 1L水 1.5Lビール 500mlワイン 750ml
日本500 円210 円190 円120 円290 円1500 円
ポーランド130 円120 円90 円60 円110 円650 円

ポーランドでは肉、野菜、果物、穀物などが日本と比較して安いが、近年のインフレによりその差は縮小した。激安だと感じるのはじゃがいもとりんごくらいで、その他は大まかに半額程度だ。米も安いが、これはパサパサしたタイプのものである。アジア食品店などで売られている日本米に近い米は、もう少し値段が上がる。また、ここには示していないが、魚介類、加工食品、菓子類などは、日本と同等あるいは高く感じる。

外食

レストラン1食マクドナルド1セット
日本900 円700 円
ポーランド910 円760 円

ポーランドの外食価格は日本とあまり差がない。物価全体に鑑みて割高に感じるため、私はあまり利用しない。

その他

水道光熱費(月額)インターネット接続費(月額)幼稚園費用(月額)ガソリン 1Lタクシー 1 km
日本22,000 円4,600 円51,000 円160 円400 円
ポーランド27,000 円1,700 円37,000 円200 円80 円

近年のエネルギー価格上昇により、ポーランドの水道光熱費は日本よりも高額になった。インターネット接続費は未だに日本の3分の1程度だが、これは日本での価格が世界的に見て異常に高いからだ。携帯電話料金も同様で、ポーランドでは国内無制限通話 + 無制限SMSに10GB程度のデータ通信量が付いたプランが月額1000円以下で利用できる。

以上をまとめると:

  • ポーランドの平均収入は日本の4割程度
  • ポーランドの家賃は日本より2割程度安いが、その差は年々縮小している
  • ポーランドの生鮮食品価格は全体として日本の半額程度
  • ポーランドの外食費は日本とあまり差がない
  • ポーランドの水道光熱費は日本よりも高い

金銭面に限って言えば、収入がポーランドの平均値程度なら、物価の安さはそれを補うほど魅力的ではない。つまり、ポーランドに住むよりも日本で平均的収入を得ながら生活する方がお金を貯めやすいと思う。私がポーランドを去る決意をしたのも、物価安の旨味がなくなったことが大きい。一方、日本並みの収入を得ながらポーランドで生活できるなら、ある程度は物価安の恩恵を感じられるだろう。

以上、Numbeoのデータを紹介しながら、ポーランド在住者として感じることを記した。ポーランド移住を考えている方の参考になれば幸いだ。

作成者: 左京堂

1件のコメント

    1. はじめまして、コメントありがとうございます!
      ポーランドは高いインフレ率を維持しており、物価は現在も上昇傾向にあります。最新の情報は、Numbeoなどを参照していただければと思います。

      左京堂

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