(5)政治案件なのに政治不在 車両更新商戦で見えた日台関係の真実
「1期目の内政失政で支持率が地に落ちた蔡政権を救ったのは、一国二制度の崩壊が明らかになった香港騒乱と武漢発と喧伝されたコロナ禍。この神風が蔡政権唯一の切り札である反中カードで集票、再選を果たしたのです」(在台日本人ジャーナリスト)
日本との交渉破談により、台湾高速鉄道は更新車両をどこから調達するのか?
大陸製車両は日本同様の全車電動車ながら高速鉄道車両の大量生産でコストを圧縮、プッシュ・プル方式の欧州勢よりも安価である可能性が高い。その経済合理性を無視して欧州勢を選択した場合、財務状況が一向に好転しない台湾高鉄の経営をさらに悪化させるばかりか、民意を失うことにもつながりかねない。中国製車両は蔡英文に究極の選択を迫ることになる。
台湾高鉄の車両更新商戦は台湾をめぐる日中欧の四つ巴の乱戦である。その中で日本は最も早く敗者に成り果てた。この敗戦は商戦だけにとどまらない。
「民間ベースの問題ではありますが(中略)、台湾高速鉄道が台湾の経済、社会及び日台関係、そのさらなる発展に引き続き寄与することができるように期待してまいりたい、こう思います」