時効直前に逮捕の男性 再度不起訴に 茨城の強盗致死事件

茨城県牛久市で平成7年、飲食店兼ホテル経営の松田行雄さん=当時(68)=が自宅で両手を縛られ死亡した事件で、水戸地検は1日、水戸検察審査会(水戸検審)が不起訴不当と議決した千葉県の男性(73)について、嫌疑不十分として不起訴処分とした。

 この事件では時効直前の昨年12月、強盗致死容疑で千葉県の男性3人が逮捕されたが、今年1月、不起訴処分とされた。松田さんの遺族の申し立てを受けた水戸検審は3月、3人のうち海外渡航歴があり時効が成立していない1人について不起訴不当と議決、水戸地検が再捜査を進めていた。

 水戸地検の新倉英樹次席検事は「DNA鑑定などの科学捜査、現場の再検分や事情聴取などを行ったが、犯人と認定するだけの証拠は得られなかった」と説明している。凶悪事件の時効を撤廃する刑事訴訟法の改正は、不起訴となった男性の時効満了前に成立している。

 松田さんの長男、衛さん(48)は1日、産経新聞の取材に対し、「検察側からあらゆる捜査を行ったが、15年の壁は越えられなかったと報告を受けた。再度、検審に申し立てをするかどうか検討したい」と話した。