総務省、高市氏への説明「あった可能性が高い」 放送法文書めぐり

放送法めぐる内部文書問題

安倍龍太郎
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 放送法の政治的公平性をめぐるやりとりが記された行政文書について、総務省側は13日の参院予算委員会で、高市早苗総務相(現経済安全保障担当相)に対する2015年2月13日付のレク(説明)は「あった可能性が高い」との見解を示した。高市氏はこれまで、自身に関わる文書4枚を「捏造(ねつぞう)」と主張。レクの存在自体も否定している。

 立憲民主党福山哲郎氏の質問に答えた。総務省側は文書の作成者が「日ごろ確実な仕事を心がけているので、文書が残っているのであれば同時期に放送法に関する大臣レクが行われたのではないか」との認識を示していると説明。文書に名前がある関係者には日付を覚えていない者がいるとしつつ、「2月13日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられる」との見方を示した。

 一方の高市氏は「何月何日の何時にどのレクがあったかは確認の取りようがないが、紙に書かれている内容は自信を持って改めて否定する」と反論。「この時期に政治的公平について話をしたという事実が一切ない」と強調した。

 この文書には「2月13日(金)15:45~16:00」「大臣室」といったレクの日時や場所、6人の出席者の名前が記載。政治的公平性の解釈追加をめぐる、高市氏と局長の具体的なやりとりが記されている。福山氏は「文書が正しいと思わざるを得ない」と指摘。高市氏が総務相当時の部下が作成した文書を捏造と断じていることで「総務省は行政文書にかかわらず、すべてが正確だと言えなくなっている」と批判した。

 高市氏はこれまで、文書の内容が事実だった場合は議員辞職も辞さない考えを示している。福山氏は質問後、記者団に「高市氏の答弁は崩れだしている」「自ら辞めると言ったので、自ら判断いただきたい」と述べた。

 福山氏は予算委で、政治的公平性をめぐり安倍政権下で加えられた「一つの番組のみでも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」(高市氏の国会答弁)とする解釈を撤回することも求めた。

 岸田文雄首相は「解釈の変更ではなく、補充的な説明をしたとの考え方を維持している」「文書の正確性をしっかり確認した上で、中身についてさらなる議論があればする」などと述べ、明確な考えを示さなかった。(安倍龍太郎)

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  • commentatorHeader
    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2023年3月13日4時21分 投稿
    【視点】

    官僚がありもしない大臣レクをでっちあげるということは考えられない。内部記録用のメモであり、発言者の確認をとっているわけではないから多少不正確だったりなところはあるかもしれないが、ありもしない大臣レクの記録を作るというのは意図的にやらない限り

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    前田直人
    (朝日新聞コンテンツ戦略ディレクター)
    2023年3月13日2時46分 投稿
    【視点】

    忘れてはいけないのは、森友問題をめぐる公文書改ざん事件の一連のプロセスの中で、1人の官僚の命が失われたことです。今回のケースで、文書の作成者が「日頃確実な仕事を心がけており、文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクが行われ

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