企業の屋根置き太陽光、高値買い取り 平地より2〜3割高
経済産業省は企業が工場や倉庫の屋根に置いた太陽光パネルによる電気を高く買い取る制度を2024年度から始める。固定価格買い取り制度(FIT)で、平地の太陽光より2〜3割ほど高くする見通しだ。脱炭素実現やエネルギー安全保障の観点から再生可能エネルギーの導入拡大は急務だ。パネルを設置できる適地が減っており、屋根の活用を後押しする。
パネル設置場所でFIT価格に差をつけるのは初めて。屋根が広い物流倉庫な...
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(更新)- 諸富徹京都大学大学院経済学研究科 教授ひとこと解説
屋根置き太陽光発電に経済的インセンティブを与える政策が、よいタイミングで導入されるのは歓迎だ。日本は2030年の再エネ導入目標を達成するため、早く導入できる太陽光発電の加速が求められていた。近年はFIT価格の低下や適地の減少のため、太陽光発電の増加は鈍っていた。この政策は、停滞を打ち破る可能性がある。日本でFIT価格に差を設けるのは初めてだが、ドイツではビル壁への発電設備設置にプレミアムすら設けられていた。先だっては東京都が、新築住宅・建築物への太陽光発電設備設置の義務化条例を可決した。屋根は、農地と並んで日本が太陽光発電に活用できる豊富な「資源」であり、その有効活用が進むと期待できる。
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(更新) - 竹内純子国際環境経済研究所 理事・主席研究員ひとこと解説
電力会社の発電コストが上昇しているので、屋根置き太陽光発電は「自家消費」(屋根上で発電した電気をそのままそこで消費する)するインセンティブが高まっています。自家消費が促進されれば、わざわざ系統(電線)を使って売電する必要はないので、そちらの方が望ましい。屋根置き太陽光の価格競争力が高まり、自家消費型の提供もビジネスとして育ちつつあったのに、またFITで買取するとなるとそうしたインセンティブを奪うことになりかねない。屋根上や工場・商業施設の駐車場など需要場所に近い空きスペースは積極的に活用するべきだと私も常々主張しているが、FITの失敗には徹底的に学ぶ必要がある。
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