新薬開発うたい未公開株売り出しか 会社社長ら2人逮捕
警視庁は9日までに、無届けで自社の未公開株の購入を勧誘し売り出したとして、健康食品などを扱う「ウィンメディックス」(東京・千代田)社長の白木茂容疑者(45)=東京都文京区=と同社社員の男(42)を金融商品取引法違反(無届け売り出しなど)の疑いで逮捕した。同庁は白木容疑者らが、がん治療の新薬開発をうたって未公開株の販売を繰り返し、少なくとも80億円を得たとみて調べている。
同庁生活経済課によると、白木容疑者は「(未公開株の購入を)勧誘したつもりはない」などと容疑を一部否認。共犯として逮捕された同社社員の男も「法に触れるとは思わなかった」と否認しているという。
同課は金商法の両罰規定に基づき、法人としてのウィンメディックスも書類送検する方針だ。
法人登記やホームページによると、ウィンメディックスは2016年3月に設立された。訪日外国人向けの健康診断や診療を提供する医療ツーリズム事業のほか、医薬部外品や健康食品の販売などを手掛けているとしている。
生活経済課によると、白木容疑者らは会社のホームページや講演会などで「コロイド化ヨウ素」と呼ばれるがん治療の新薬開発をうたい、新薬が医薬品として承認されれば高額の配当金を支払えるとして同社株の購入を呼びかけていた。
勧誘する際には、「95%オフ」などとして通常よりも大幅に安い値段で株の購入を持ちかけていたとみられる。
同課は17年から22年にかけて全国の約1万5千人に未公開株を販売し、少なくとも80億円を売り上げたとみている。このうち約8億円が白木容疑者に流れ、主に高級車や腕時計の購入などの遊興費に使われたとみられるという。
同社の株主は末期のがん患者やその家族が多かったとされる。白木容疑者は、独自の治療法でがん患者の命を救ったなどとする著書も出版していた。
白木容疑者ら2人の逮捕容疑は21年12月、国への届け出をせずに株主約200人に対し、ウィンメディックスの株を売り出すなどした疑い。