知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは、日本の住宅に使われている「窓の性能」。驚きの事実をみていきましょう。
\著者登壇セミナー|4月8日(土)開催/
キーワードは「高気密」&「高断熱」
入居者満足度アップで空室率を劇的改善!新時代の賃貸住宅経営
なんと、52%もの暖房エネルギーが窓から逃げている!
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冬暖かく、夏涼しく、結露が生じない家にするためには、窓の断熱性能がとても大切です。【図表1】のように、冬に暖房した熱エネルギーの内、52%が窓から流出しています。さらに夏に流入してくる熱エネルギーは、なんと74%が窓からになります。しかもこの試算値は、アルミの複層ガラス(ペアガラス)を前提としており、単板ガラス(1枚ガラス)のサッシでは、もっとこの割合が高くなります。
日本の最高等級の窓でも、海外では最低基準以下
そのため、欧米をはじめとして、各国は窓の断熱性能に厳しい基準を定めています。【図表2】のように、たとえばドイツでは窓の断熱性能を示す熱貫流率(値が小さいほど高断熱)の最低基準は1.3〔W/m²・K〕以下、中国や米国も図に示すとおりの基準が定められています。
それに対して、日本では気候区分によって異なりますが、東京・横浜・名古屋・大阪・福岡等の温暖な主要都市が含まれる6地域の基準は4.65〔W/m²・K〕と非常に緩い基準になっています。さらに、【図表3】に示す日本の窓の断熱性能のラベリング制度では、2.33〔W/m²・K〕以下で最高等級の☆4つが取得できます。つまり、日本で最高等級の断熱性能の評価が得られるサッシを欧米や中国に持って行くと、最低基準を満たしておらず、使うことができないのです。
このように、日本で普通に家を建てるということは、他の国では考えられない低性能な家になってしまうということです。住まいづくりを始める際には、まずこの事実を認識した上で、取り組むかどうかで住み替えた後の満足度が大きく変わると思います。