日本の住宅「最高等級の窓」でも「海外では最低基準」という衝撃の事実 写真提供:GEN INOUE

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは、日本の住宅に使われている「窓の性能」。驚きの事実をみていきましょう。

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入居者満足度アップで空室率を劇的改善!新時代の賃貸住宅経営

なんと、52%もの暖房エネルギーが窓から逃げている!

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冬暖かく、夏涼しく、結露が生じない家にするためには、窓の断熱性能がとても大切です。【図表1】のように、冬に暖房した熱エネルギーの内、52%が窓から流出しています。さらに夏に流入してくる熱エネルギーは、なんと74%が窓からになります。しかもこの試算値は、アルミの複層ガラス(ペアガラス)を前提としており、単板ガラス(1枚ガラス)のサッシでは、もっとこの割合が高くなります。

 

【図表1】
【図表1】

日本の最高等級の窓でも、海外では最低基準以下

そのため、欧米をはじめとして、各国は窓の断熱性能に厳しい基準を定めています。【図表2】のように、たとえばドイツでは窓の断熱性能を示す熱貫流率(値が小さいほど高断熱)の最低基準は1.3〔W/m²・K〕以下、中国や米国も図に示すとおりの基準が定められています。

 

【図表2】
【図表2】

 

それに対して、日本では気候区分によって異なりますが、東京・横浜・名古屋・大阪・福岡等の温暖な主要都市が含まれる6地域の基準は4.65〔W/m²・K〕と非常に緩い基準になっています。さらに、【図表3】に示す日本の窓の断熱性能のラベリング制度では、2.33〔W/m²・K〕以下で最高等級の☆4つが取得できます。つまり、日本で最高等級の断熱性能の評価が得られるサッシを欧米や中国に持って行くと、最低基準を満たしておらず、使うことができないのです。

 

【図表3】
【図表3】

 

このように、日本で普通に家を建てるということは、他の国では考えられない低性能な家になってしまうということです。住まいづくりを始める際には、まずこの事実を認識した上で、取り組むかどうかで住み替えた後の満足度が大きく変わると思います。

 

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住まいるサポート株式会社 代表取締役
一般社団法人日本エネルギーパス協会 広報室長 

神奈川県出身。東京大学修士課程(社会人特別選抜 木造建築コース)に在学中。千葉大学工学部建築工学科卒。リクルートビル事業部、UG都市建築、三和総合研究所、日本ERIなどで都市計画コンサルティングや省エネ住宅に関する制度設計等に携わった後、2018年に「結露のない健康・快適な住まいづくり」のサポートを行っている住まいるサポート株式会社を起業。日本でトップクラスの性能を誇る工務店・ハウスメーカーを厳選して提携し、消費者に無料で紹介する「高性能な住まいの相談室」や、デザインと高性能を両立する設計を行う建築家のマッチングサービス等を提供。また、横浜市住宅政策課主催のセミナーや毎日新聞社主催のセミナー等、多数のセミナーに登壇、メディアへの出演など、高性能な住まいづくりに関する情報発信に積極的に取り組んでいる。住まいづくりを考えている方々への情報発信を通して、ひとりでも多くの方が、住宅の性能に関する基礎知識を持ち、他の先進国並みに「結露のない健康・快適な家」を普及させることを目標としている。主な著書に、「元気で賢い子どもが育つ! 病気にならない家」(クローバー出版)、「人生の質を向上させるデザイン性×高性能の住まい: 建築家と創る高気密・高断熱住宅」(ゴマブックス)など。

●高性能な住まいの相談室:https://sml-support.com/
●建築家と創る高気密・高断熱住宅:https://sml-support.com/archiconcier

著者紹介

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