人と人とのつながり方は、その時代に普及しているメディアによって決まる。政治の世界では、1930年代にフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領が公共ラジオを活用して「炉辺談話」を開始した。のちにはジョン・F・ケネディとバラク・オバマがテレビの視覚的魅力を利用し、弁舌の才を披露した。
とはいえ、与えられたツールを使いこなすことにそれほど長けていない大統領もいる。それでも政治家のなかには、自らが生きる時代のリズムをほかの政治家よりも理解している人々がいる。
そのひとりが、ドナルド・トランプだ。テレビで一躍有名となったトランプは、有名人の予測のつかない大げさな言動に飛びつくネット民にとっては理想的なキャラクターだった。彼はますます分断されていく国民を観客に、ソーシャルメディアを通じて、まるで狡猾なペテン師のように堂々と演技をしてみせたのである。
トランプは特にTwitterを好み、プロレスラー並みに巧みに言葉を操った。トランプは単にリアリティ番組から生まれた大統領というだけではなかった。彼は現実世界の決まりごとに縛られずに生きているかのようだった。
インターネット上では、トランプはいたるところに存在しているように見えた。ミームになり、GIFに加工され、いばり散らす発言が切り取られ、「サタデー・ナイト・ライヴ」でからかわれた。やがてトランプは、わたしたち全員がその軌道を周回する唯一の中心点になったかのように感じられ始めた。大勢の人がその危険な引力を回避しようとしていたにもかかわらずである。
「禁じ手なしの格闘技」という専売特許
最終的にトランプのツイートは、国民的な議論の対象として避けては通れない話題となった。トランプの専売特許は、禁じ手なしの格闘技なのだ。確かに彼は恥知らずの“ガキ大将”であり、メディアで不用意に偏見を露呈する人物の典型だった。
だからといって、ホワイトハウスでの在任期間中に「@realDonaldTrump」がソーシャルメディア界の中心だったという事実は少しも揺らがないだろう。トランプの不安定な性格や、つまらない不平、子どもじみたかんしゃくについて、丸一日ずっと聞かされるようになったのだ。
こうしてこの5年間、トランプのTwitterのアカウントはソーシャルメディアで最も強い影響力をもつようになった。トランプのやや予測がつかないところは、人々の精神にとって負担になりつつも、当然のことのように感じられるようになったのである。
トランプの独裁的政治手法に同意するかどうかは関係なかった。なぜなら、支持者にとっても反対派にとっても、目を離せない存在であることに変わりはなかったからだ。
「従来のメディアは高い視聴率を維持するために対立と扇情とドラマを必要としており、トランプはそれを提供したのです」と、カリフォルニア大学デイヴィス校のコミュニケーション学教授、マグダレナ・ヴォイチェシャクは言う。2016年の大統領選に至る選挙期間中、トランプのツイートはケーブル局のニュース報道をあおり、放映時間の過度な増加につながった。これによりトランプは20億ドル分の宣伝費を節約できた。「それが大統領在任期間中も続いたのです」と、ヴォイチェシャクは言う。
アカウントが停止された理由
だが1月8日には、トランプのこうした手法に終止符が打たれた。連邦議会でジョー・バイデンの大統領選での勝利を認証するための投票の最中だった議会議事堂を、トランプを支持する暴徒が占拠するという暴動がワシントンD.C.で発生したのである。これを受けてツイッターは、トランプのアカウントを「永久に停止」した。