手元にマシンを置いてあれこれしてみたくなったのと、手を動かして作ってみたい気持ちだったので ESXi を導入するためのマシンを作りました。そのときのいろいろをまとめたメモです。
ほとんど知識ゼロベースで調べながら選んでいったので、購入した CPU クーラーが マザーボードと干渉して取り付けできないという悲しい事件もありましたが、 目的の ESXi が動くマシンにはたどり着けました。
(2020/12/30 追記)
数か月ほど使ってみて、やはり必要だなぁと追加した製品などについて追記しました。
構成概要
ケースは家に転がっていた古い PC のものを再利用したかったので中身だけ揃えました。 以下の構成で ESXi 7.0 を導入し、現在のところ問題なく動作しています。
【CPU】Intel Core i5 9400 BOX ¥21,560 【CPUファン】CC-06S ¥1,375(追加) 【マザーボード】ASRock H370M Pro4 ¥10,893 【メモリ】Corsair CMK32GX4M2A2666C16 [DDR4 PC4-21300 16GB 2枚組] ¥16,053 【メモリ】Corsair CMK32GX4M2D3200C16 [DDR4 PC4-25600 16GB 2枚組] ¥14,270(追加) 【ビデオカード】なし(オンボード) 【サウンド】なし(オンボード) 【ネットワークカード】Intel Gigabit CT Desktop Adapter EXPI9301CT ¥2,185 【ネットワークカード】Intel PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter EXPI9402PT ¥3,700(追加) 【SSD】860 EVO MZ-76E500B/IT ¥8,980 【SSD】WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0A ¥12,799(追加) 【HDD】なし 【光学ドライブ】あり(古いPCから流用、DVD SuperMulti) 【電源】SILVERSTONE SST-SX500-G [ブラック] ¥11,091 【ケース】IW-BK623/300 (古いPCから流用、型番は推定) 【OS】なし 【合計】¥ 70,762 (追加分 + ¥ 32,144、合計 ¥102,906 )
パーツ
各パーツについての補足です。
CPU
Intel Core i5 9400 BOX にしました。
ESXi の互換性周りで苦労することが少なそうということで AMD ではなく Intel の CPU にすることまでは決めていました。 そのうえで、以下のようなざっくりした基準で候補となる製品を挙げていきました。
- 【必須】グラフィックスがオンボードなので内蔵 GPU があるもの
- 【要望】ずっとつけておくだろうし消費電力は低めがいい
- 【要望】複数の仮想マシン起動するしコア数は多い方がいい
- 【要望】価格と性能のバランスはほどほどがいい
候補に挙がった製品に関連する情報をあさり、不具合情報や問題なかったという報告、 価格の推移やメーカーの販売戦略など(少し脱線しつつも)を調べていきました。
- Core i7 9700 ちょっと高い
- Core i5 9600 ちょっと高い(当時)
- Core i5 9500 よさそう
- Core i5 9400 よさそう
- Core i5 8400 ちょっと古い
- Core i3 9100 ちょっと弱そう
内臓 GPU を排した F 系列のコスパの良さ *1 に、グラフィックス周りをボードで追加したほうが安いなーとも思いましたが、 熱や動作音、安定性など、他への影響が大きそうだったのでやめました。
調べて満足したので、最終的には概ね直観で Core i5 9400 を選んでいます。 他の型番より 9400 という数字の並びをいいなと感じるのでよしです。
(参考)AMD 系 CPU と ESXi の互換性について
- 2017年頃の記事ではうまく ESXi を動かせない(PSOD や 性能劣化)という報告があがっていました。*2 *3
- 比較的に最近の記事では AMD の CPU でも問題なく動作しているというものが増えてきているようです。*4 *5 *6 *7
- そもそもコンシューマ向けの CPU で動くこと自体がラッキーなのだという話も。 *8
- 公式サイトの互換性ガイドの選択肢にあるのはサーバ向けの CPU ばかりのようなので確かにそうかもですね。 *9
マザーボード
ASRock H370M Pro4 にしました。
ESXi が問題なく認識してくれそうということで、Intel 製の NIC があることを要件としました。
最初は NIC が 2 つあるものを探していたのですが、高いものが多くよさそうなものを見つけられなかったのであきらめました。 *10
途中までは「ASRock Z390M Pro4」というのがいいのかなと見ていましたが、スペックを比較すると想定の利用方法では オーバースペックの製品だったので「ASRock H370M Pro4」にしました。 *11 *12
メモリ
CORSAIR Vengeance LPX Series CMK32GX4M2A2666C16 [DDR4 PC4-21300 16GB 2枚組] にしました。
あまり少ないとやれることが狭まるのと多すぎると急激に高くなるので、 32GB くらいがちょうどいいかなと 32GB 前提で製品を探しました。 スペック比較はしにくかったので、価格と不具合報告などを参考に安定して動いてくれそうなものを選びました。
※(追記)数か月して仮想マシンの増加と共にメモリが足りなくなったので 32GB ほど追加しています。その時点で安かった Corsair CMK32GX4M2D3200C16 を購入しました。*13
ネットワークカード
Intel Gigabit CT Desktop Adapter EXPI9301CT にしました。
構築後に追加で購入したものです。NIC は 2つあったほうがいろいろとできるかなということでネットワークカードの形で追加しました。 Intel 製であれば特に他のこだわりはなかったので、価格がそれなりで安定して動いてくれそうなものを選びました。 ESXi にも問題なく認識されました。
追加したネットワークカード
Intel PRO/1000 PT Dual Port Server Adapter EXPI9402PT を追加で取り付けています。
何だかんだ試したくなると物理ポートがもう少しほしくなり購入しました。 Intel 製でかつ2ポート以上あるものを探し、安定して動いてくれそうでかつそれほど高くないものから選びました。 ESXi としてはバージョンアップ時などにハードウェアの互換性で問題があると警告されますが、今のところ問題なく動いてくれているように思います。*14
SSD
860 EVO MZ-76E500B/IT にしました。
最初は crucial の「MX500 CT500MX500SSD1/JP」という製品にしようかと思っていたのですが、 長期間連続稼働することを踏まえ、耐久性で定評のある「Samsung 860 EVO」にしました。
※(追記)数か月して仮想マシンが増えて手狭になったので、1TB の SSD (WD Blue 3D NAND SATA WDS100T2B0A) を追加で取り付けました。
電源
SILVERSTONE SST-SX500-G にしました。
静かな電源がいいなと思ったので、購入者のレビューやメーカー提示のスペックなどを参考に選びました。 将来的にパーツを追加できるように電源容量には余裕がほしかったのと、 SFX サイズで容量が小さい製品だとこれより静穏性の高いものがなさそうだったので 500W のものになっています。
あとはモジュラーケーブル設計なので不要なケーブルを外すことができ、筐体内がすっきりしそうというのもいいなと。
付録
追加で取り付けた CPU クーラー
CPUファンを静音ファン(CC-06S)に取り換えました。低負荷の時はもちろん多少の高負荷でもあまり気にならない音になってくれています。100%に張り付くレベルだとさすがに音が大きいですが、単純に風を切る音で、音の質が気に障るもの(高音 or 低音 がして疲れるような音)ではないので気に入っています。*15
取り換え前は用意していた noctua NH-L9i が取り付けられなかったので、Ryzen に付属していたファンをそのまま利用していました。 回転数を落とせばそれなりに静かに回ってくれていたのですが、負荷が少しでも高くなると「フォォオオオ」と大きな音がしてしまうのがやはりちょっと気になっていました。
そこでメモリ増設などのついでに新しい静音ファンを買って取り付けてみることにしました。
ケースの都合でサイドフローや大きいファンは取り付けが難しかったので、純正に近い形のものかつ静かそうなもの探したところ「CC-06S」がよさそうだったので購入しました。
- CC-06S | Ainex
https://www.ainex.jp/products/cc-06s/
形がCPU付属のファンに近い=干渉しにくそうというのは安心感がありました。もう干渉するのは避けたかったので。また、その時点で 1,300円 程度と安いことも魅力でした。
実際の見た目は純正ファンのヒートシンクを2~3倍にしたような形でした。ずっしりです。 バックプレートを当てがっての取り付けだったのでマザーボードを外す必要があったことと、ネジ式なので締める強さの加減が少し大変でしたが、いまのところ無事に動いてくれています*16。
100%に張り付く負荷を数日かけ続けても動作に異常が出ることなく冷却してくれていたので冷却性能は十分なようです。低負荷時は日常生活の音に紛れる程度には静音性が高く、高負荷時でも気に障らない音になってくれたので、取り換えてよかったと思える十分な仕事してくれています。*17
最初に用意していたCPU クーラー
実は noctua NH-L9i という製品を買っていました。が、マザーボードと干渉して使えませんでした。
別の機会に noctua の CPU クーラーを使っていて、とても静かで耳障りな音がしなかったので買うなら同じメーカーがいいなと選びました。 確認不足でマザーボードの部品と干渉してしまい固定できなかったので、あきらめて CPU のリテールクーラーを使うことにしました。 *18
製品自体はしっかりしていて高級感のあるいいものでした。 グリスも同梱されているので別途購入せずともそのまま使えるようになっています。
おまけでついていた SD カード
今回、ほとんどの製品は TSUKUMO で購入した *19 のですが、 キャンペーンをしていたらしく 860 EVO のおまけで SD カードがついてきました。 *20
やっぱり光るのね
初期設定のままだとマザーボードが七色に光ります。 特に光る必要はないので設定変更して静かになってもらいました。
自作PC支援ツール
パーツを選ぶと価格や必要な電源容量をざっくり計算してくれるサイトです。 直観的に使えます。
- 自作PC 構成見積もり てすと
http://niku.webcrow.jp/
参考文献
公式サイト
- ESXiのハードウェア要件
https://docs.vmware.com/jp/VMware-vSphere/7.0/com.vmware.esxi.upgrade.doc/GUID-DEB8086A-306B-4239-BF76-E354679202FC.html
自作PCに関する記事
【2020年最新版】おすすめCPUの選び方とベンチマーク性能比較 Intel,AMDを横断的にランキング評価 | ITハンドブック
http://arbitrage.jpn.org/it/cpu-ranking/#24_Core_i5_9400_BOXCPU性能比較表を作りました【2020年最新】| BTOパソコンで人気のCPUを完全網羅!
https://btopcs.jp/hikaku/hikaku_cpu/「Noctua NH-L9i」をレビュー。Core i9 9900Kを運用できるか徹底検証 : 自作とゲームと趣味の日々
http://blog.livedoor.jp/wisteriear/archives/1074378041.htmlはじめての自作PCに挑戦!つくってみた感想と使用したパーツを紹介 | Yochi Blog
https://yochi.blog/jisakupc-parts/SFX電源の新定番「SilverStone SST-SX650-G」をレビュー : 自作とゲームと趣味の日々
http://blog.livedoor.jp/wisteriear/archives/1068278895.html
※購入したのは別製品だが、参考になった。VMware ESXi用のハードの選定
https://tech-notes.org/vmware/esxi_pcselect.html
自作PCに関する書籍
- PC自作の鉄則!2020|日経PC21
https://info.nikkeibp.co.jp/media/PC21/atcl/books/121600040/
関連記事
このマシンに ESXi をインストールした際の手順については以下の記事にまとめています。
更新履歴
- 2020/05/16 新規作成
- 2020/05/16 一部文言の修正。写真の色調を修正して統一。
- 2020/05/17 一部文言の修正。
- 2020/12/30 追加で取り付けた製品(CPUファン、ネットワークカード、SSD、メモリ)について追記しました。
- 2023/01/10 一部リンク切れの旨を追記
*1:GPU内蔵の6コアCPU「Core i5-9400」が発売、実売2.3万円 - AKIBA PC Hotline!
*2:AMD Ryzen with VMware ESXi a Pink Screen of Death
*3:AMD Ryzen "Working" with VMware ESXi 6.5 to an extent
*4:Ernula Alfee 日記「Ryzen 9 3950X + X570環境にESXiインストールメモ」 | FINAL FANTASY XIV, The Lodestone
*5:税抜29,980円からで買える組み込み向けRyzen搭載のベアボーンPC、自宅ESXiにピッタリ! | しょぼんブログ
*6:録画サーバをESXi6.7にリプレースしたった(ハードウェア編) - sanpobiyori.info
*7:ESXi 6.5 now works on AMD Ryzen with SMT/All Cores enabled : Amd
*8:Does ESXi work with AMD Ryzen? |VMware Communities
*9:VMware Compatibility Guide - System Search
*10:micro-ATX で探していましたが、mini-ATX にする選択肢があればあったかも知れません。そしてそうであれば CPU クーラーも取り付けられたのかも・・・。
*11:Z390M は CPU のオーバークロックなどに対応していたのですが、そういった利用はしない予定だったので。
*12:ファン速度を十分細かに設定できたので満足です。
*13:既存のメモリと動作クロックが異なりますが、低い方に合わせて動いてくれればそれでいいかなと思っています。
*14:少なくとも4か月程度は特に支障なく動いてくれています。
*15:単純に音の大小であれば客観的に評価できますが、音の質が気に障るものかどうかは主観によるので実際に動かしてみないと分からないところかなと思います。
*16:少なくともこの1か月程度は問題なく動いてくれています。
*17:音について細かく補足すると、無音に近い環境でPC近くに寄るとさすがに回転音が聞こえます。電源を落とすと鳴っていたことに気付くくらいの音はしていますが、何かをしていてこのPCの音に注意が向くことはまずありません。また、ファン自体は気に障らない音ですが、ケースのどこかと共鳴しているようで耳を近づけると少し気になる音がします。外側からケースを押さえたりすると消えるので、ファン自体というより別の問題かなと思います。
*18:リテールクーラーはやっぱり音が耳障りでしたが、ファン速度を調整することでだいぶ抑えられました。
*19:製品も選びやすく、特に問題なく購入できました。
*20:こういった期間限定の事柄に触れると調べれば購入時期が特定できますね。時間軸が定まれば他の関連情報も結びつけやすそうに思います。