イタリアは今年、2月中旬からミモザの花が満開となり、あちこちで鮮やかな黄色いミモザの花が咲き誇っています。ミモザの開花には春の訪れを感じるとともに、イタリアでは今年も「ミモザの日」の季節がやってきたという気分になります。さて、そんなイタリアの「ミモザの日」とはどんな日なのかご存知でしょうか。イタリア在住9年、フィレンツェのFMラジオ局にパーソナリティーとして出演中の小林真子が、イタリアの「ミモザの日」やミモザの日のイタリア人たちの過ごし方についてお伝えします。
3月8日は日本でも浸透してきた国際女性デーです。イタリアの「ミモザの日」はこの国際女性デーと深い関わりがあります。
国際女性デーとは世界中の女性の権利を守り、女性の活躍を支援するために世界中で祝われている記念日です。国連が1975年から世界に対して女性の権利に対する呼びかけを始め、1977年に国連は毎年3月8日を公式に国際女性デーと制定しました。
3月8日となった理由は、1917年ロシアの二月革命で女性が選挙権を得たという出来事に由来しています。1917年2月23日(ユリウス暦)、ロシアでは女性労働者を中心としたデモ活動が行われ、このデモ活動が女性参政権の制定につながりました。ユリウス暦の2月23日は、今日世界で一般的に使用されているグレゴリオ暦では3月8日。そのため3月8日が国際女性デーとなりました。
国際女性デーでは毎年、こうした過去の女性たちの平等権の獲得への運動を称えるとともに、女性に対する差別の撤廃を目的とした支援や、女性が平等な社会でグローバルに活躍できるような呼びかけが行われます。世界中の女性の社会貢献や多岐にわたった分野における優れた功績を祝福し、女性たちが一致団結して男女共同参画を推進することを目指して様々なイベントも開かれます。
こうした世界の動きに連動してイタリアで国際女性デーが初めて祝われたのは1922年で、1944年にはイタリア女性組合(Unione Donne in Italia)がローマで発足しました。そして、同時期の2〜3月に開花するミモザがイタリアの国際女性デーのシンボルとなりました。そのため、イタリアでは3月8日の国際女性デーはミモザの日と呼ばれています。日本では母の日にカーネーションを贈るように、イタリアでは国際女性デーにミモザを贈る、というのが習慣となっています。
イタリアでは3月8日が近づくと、街中のショップやバールのショーウィンドーなどがミモザの花で飾り付けられるようになり、花屋の店頭にはミモザの花が並び、ケーキ屋やスーパーではミモザケーキや黄色い包装紙に包まれたお菓子などが販売されるように。この時期は街中がミモザ色で溢れかえり、明るい雰囲気に包まれます。
3月8日の当日には男性が、奥さんや恋人だけでなく家族や友人、同僚や常連客など身近な女性たちに感謝の気持を込めて「Auguri!(アウグーリ)=おめでとう!」と挨拶しながらミモザの花をプレゼントします。私もイタリアでは行きつけのバールからミモザの花をプレゼントされたり、SNS上でミモザの写真のついたメッセージをもらったりしますが、イタリアに来た当初はミモザの日のことを知らなかったので驚いたものです。
ミモザの花を女性に贈る以外に、ミモザの日にイタリア人はどんなことをするのでしょうか。フィレンツェ近郊に住むイタリア人の友人で、愛車はフィアット・パンダというキアラさんに聞いてみました。
「今はロックダウン中だからコロナ禍以前のことになるけど、女性の日にはよく女性だけで夕食へ出かけました。数年前のことになるけど、私も15〜20人ぐらいの大勢のグループで出かけて、ピザ屋でディナーをして、その後はクラブへ出かけて踊ったことがあります。レストランを営んでいる友人は、2月14日のバレンタインデーと3月8日の女性の日の2日間は一年間で最も売上の多い日だと言っています」。
イタリアのバレンタインデーは一年で最もレストランの予約が取れない日。そんな日に匹敵するほど、女性の日に外食する女性は多いようで、国際女性デーがすっかりイタリアに浸透していることがわかります。
日本で言うところの「女子会」がイタリア中で開かれるといえばイメージしやすいかと思いますが、レストランでは女性限定メニューが企画され、女性対象のコンサートやショーなどのイベントも各地で開かれます。
コロナ禍によるロックダウン中の今年は、外食やイベント開催ができないため、オンラインイベントが開かれるのが特徴で、多くのショップではオンライン上で3月8日にミモザの日を祝う女性限定セールを企画しています。
一方で、こうした国際女性デーの商業化に意義を唱え、国際女性デー本来の趣旨にのっとって女性に対する差別や暴力の撤廃を目標としたデモ活動をするイタリア人たちも大勢います。
イタリアの「ミモザの日」には定番デザートもあります。それは「Torta Mimosa(トルタ・ミモザ)=ミモザケーキ」。見た目がミモザの花のようなかわいらしいこのケーキは、3月8日が近づくとケーキ屋やスーパーで見かけるようになります。
今回はそんなミモザケーキのおすすめレシピを、フィレンツェ出身のアレッシオさんに教えてもらいました。フィレンツェ名産の貴腐ワインVin Santo(ヴィン・サント)を使う点がフィレンツェ流ですが、手に入らなければお好みのリキュールで代用可能。一見難しそうに見えるかもしれませんが、つくり方はシンプルで自宅で簡単につくれます。材料は日本でも容易に手に入るものばかりなので、今年の国際女性デーにはイタリア人直伝ミモザケーキに挑戦してみてはいかがでしょうか?
【材料】(直径約11〜12センチの丸型)
<スポンジケーキ>
・全卵 3個
・砂糖 100g
・小麦粉 90g
・バニラパウダー 0.3g(バニラエッセンスやバニラビーンズでも代用可能)
・バター 15g
・塩 少々
・Vin Santo(ヴィン・サント) 1/4カップ (ラム酒など好みのリキュールで代用可能)
<カスタードクリーム>
・卵黄 3個
・砂糖 大さじ2杯
・小麦粉 大さじ2杯
・バニラパウダー0.2g(バニラエッセンスやバニラビーンズでも代用可能)
・牛乳 300 cc
・塩 少々
【つくり方】
<スポンジケーキ>
オーブンを180度に予熱しておく
1. 卵3個を卵白と卵黄に分ける。卵黄と砂糖を泡立つまでよく混ぜ合わせる
2. 1に小麦粉、バニラパウダー、塩を混ぜ合わせたものを入れて混ぜる
3. 2に溶かしバターを入れて混ぜる
4.別のボールで卵白を白くモッタリするまで泡立てる
5. 4を3に入れて、全体を混ぜ合わせる
6. 直径約11〜12センチの耐熱容器に入れて、180度に予熱したオーブンで約35分焼く。焼き時間は時々様子を見て調整する
7. 焼き上がったら、外に出して5分ほど置いて熱を冷ます
<クリーム>
1. 卵黄と砂糖をしっかり混ぜ合わせクリーム状にする
2. 1に小麦粉、バニラパウダー、塩を加え、さらに牛乳を少しずつ加えながら混ぜる
3. 2を鍋に入れて弱火にかけ、泡立て器でかき混ぜながら温める
4. 3がクリーム状になったら火から下ろし、ダマにならないよう時々かき混ぜながら冷ます
<仕上げ>
1. スポンジケーキを3つに輪切りする
2. そのうちひとつを1cm角のサイコロ状に切る
3. スポンジケーキの2枚にヴィン・サントを染み込ませる。【ポイント】ヴィン・サントはたっぷり染み込ませた方が美味しい!
4. スポンジケーキ2枚の間と表面にクリームを塗り、仕上げに2を表面に飾り付けて完成。好みで粉砂糖を表面にふりかけてもOK
今年の3月8日にはイタリア流にミモザの花を贈ったり、ミモザケーキをつくって国際女性デーをお祝いしてみてはいかがでしょうか。
フィアット ジャパンでは3月13日、3月8日の国際女性デーと3月11日の東日本大震災から10年の節目にオンラインイベントを開催します。「さぁ、明日のスマイルへ。」をテーマに、東日本大震災からの東北の復興、女性のエンパワーメントの支援、そして日本の伝統工芸品に新たな光をあてるプロジェクトなど、2011年以降、様々な活動を続けるフィアットが、みなさんの笑顔と元気を応援するオンラインイベントです。
東日本大震災から10年を迎え、現在も復興が続く東北地方の状況や、3月8日の国際女性デー、そしてフィアットのCSV活動などを中心に、様々なコンテンツを東京と東北を結んでお送りします。東日本大震災から立ち直った東北地方と同じように、新型コロナウイルスが収束する、明るい未来がきっと来るはず。もっと輝く明日の笑顔のために、皆様へメッセージをお届けするイベントです。
text・photo:小林真子
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