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渋谷・幡ヶ谷に東大生産技術研究所教授ら手がけた公衆トイレ

マイルス・ペニントン教授(左)や東京大学DLXデザインラボのメンバーたち

マイルス・ペニントン教授(左)や東京大学DLXデザインラボのメンバーたち

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 東京大学生産技術研究所のマイルス・ペニントン教授と同大「DLXデザインラボ」がデザインした公衆トイレが2月22日、渋谷・幡ヶ谷(渋谷区幡ヶ谷3)に完成した。

使い方に応じて配置を変えられるベンチを備える

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 日本財団(港区)が展開する、建築家ら16人が参画し区内の公衆トイレ17カ所をリデザインする「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環。「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」「危険」などのイメージから入りづらい状況がある公衆トイレを、デザイン・クリエーティブの力を活用し「誰もが快適に使用できる」ようにすることを目指し2020年8月から取り組んでおり、同所で15カ所目となる。

 ペニントンさんはデザイン先導イノベーション分野が専門で、2017(平成29)年に同大着任のために移住。東京大学生産技術研究所の同ラボの運営に携わっている。

 手がけたのは、笹塚出張所前交差点に位置する幡ヶ谷公衆トイレ。面積は120.6平方メートル。中央に位置する共用部(39.61平方メートル)、建物前に位置するアプローチ(59.1平方メートル、小便器2台を置く男性トイレ(8.09平方メートル)、ベビーチェア・ベッドなどを備える共用トイレ(6.88平方メートル)、オストメイト用設備などを備えるユニバーサルブース(6.92平方メートル)で構成。

 「…With Toilet」と銘打つ同所のトイレは、別の機能を持つ空間とトイレを組み合わせた建築に仕上げた。学生やデザイナー、建築家などが参加するラボでワークショップを行い「どのようなトイレが良いか」という案を集め、その中から「トイレだけじゃなくて、住民にとってプラスアルファが大事」と考え、「プラスアルファ」の空間を持つトイレの案を採用。地域住民にも話を聞いてどのような空間にするか詰めていった。

 土地が変則的な形をしているなか、使い勝手が良いように中央に正方形の共用部を作り、共用部を囲むように3面に三角形の空間を設けそれぞれをトイレにした。

 白を基調にした建築物で、共用部の壁面は何かを展示したり、プロジェクターで映像を投影したりしたりすることもできる。天井には金具を付け、アート作品などがつり下げられる。共用部とアプローチには、上下式の車止めポール「バリカー」を31カ所に設置し、木の座面でつなぐことでベンチにようにした。使い方に応じてベンチのレイアウトを変えることができるよう、バリカーは31カ所設置している。

 ペニントンさんは「地域のコンテクスト(背景や状況などの意味)に基づいたアイデアを探索し、公衆トイレの在り方を考え直すこの上ないチャンスだと思った」と振り返り、「ここはコミュニティースペース。トイレはたまたま付随しているに過ぎない」と位置付け、「笹塚・幡ヶ谷の人たちに使い倒していただきたい」とコメントする。

 同プロジェクトのトイレでは、日本財団と区、一般財団法人渋谷区観光協会が協定を結び維持・管理を行っている(2023年まで)。清掃は民間企業に委託し、従来1日1回(場所によっては2回)だった頻度を、3回を基準にするなどしている。ファッションデザイナーのNIGOさんが監修したジャンプスーツを清掃員のユニホームに採用している。

 本年度中に残り2カ所もそれぞれ完成する予定。

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