猿の親子

忌避剤、光、音、カメラ、センサー

センサーを利用した獣害対策。その効果とメリット

センサーを利用した獣害対策について、その効果やメリット、注意点などをご紹介します。

センサーを利用するメリット

近年は獣害被害の対策としてセンサーを利用する事が多くなりました。

センサーを利用することの最大のメリットは、人が常にその場についていなくても対策や観察が可能になったことです。センサーを利用した獣害対策にはセンサーライトやセンサー付き爆音機などがあり、イノシシやシカなどの害獣による田畑への侵入、サルによる集落への侵入、ハクビシンやアライグマ、タヌキなどの中型獣による木造家屋や庭への侵入およびその被害を防ぐために利用することができます。

田畑や集落、住宅への侵入防止の対策は、今まで柵の設置や忌避剤の散布、そして個体の捕獲を軸に実施されてきました。しかし、人間の存在や気配を感じさせて野生動物をその場から遠ざける「追い払い」に関しては、動物駆除用の花火や爆竹、家畜や番犬を飼育する、住民を複数人集めて大声を出す、大きな音を立てるなど、かなり原始的な方法をとっていました。

しかし、センサー機能の登場と発達と共にその技術を獣害対策に導入するようになってからは、この「追い払い」が無人かつ効率的に行えるようになったのです。

「センサーを利用した追い払い」として実際に使用されているものに、センサーライトやセンサー付き爆音機があります。

センサーライトとは、スイッチのオン・オフがセンサー式になっているライトのことで、センサーが設定されている特定の範囲内で人や物が動くと自動でライトがつく仕組みになっています。野生動物の中でも特に夜行性の動物は、強くて明るい光を嫌います。この習性を利用して、山林から田畑までつながっている獣道にセンサーライトを設置したり、田畑の入り口近くにセンサーライトを設置したりすることで夜間の獣害被害を減らすことができます。

ただし、動物も知恵を持っています。繰り返しライトに照らされることで「ライトがついても危険ではない」と学習してしまうと、効果が薄れてきてしまいますので、動物がライトに馴れてしまわないようにライトの設置場所を変更したり、点滅ライトに変更したりするなど工夫をしてみると良いでしょう。

もう一つの対策にセンサー付き爆音機があります。これはセンサーライトと同じ仕組みで、ライトではなく音声が流れる仕組みになっている道具です。このセンサー付き爆音機で、鳥獣が嫌う音波を流したり肉食獣の威嚇音を流したりすることでシカやイノシシ、中型獣を追い払うことができます。

センサー機能活用の実例

ここではセンサー機能を獣害対策に利用した商品、および、センサー機能を有効活用したサル追い払いの事例をご紹介します。

まずはセンサー機能の付いた商品です。

ひろせもと(株)から販売されているアニマルブラスターは、赤外線センサーで鳥獣を感知し、その方向に水を噴射することで敷地内への侵入を防ぐ家庭用の獣害対策グッズです。赤外線センサーを使用しているため夜行性の動物による夜の被害にも対応でき、水噴射の角度や距離の調整することで地上動物の侵入だけでなく、上空から降り立つカラスやハトなどの鳥類の対策にも使用できます。水だけで撃退するため自然にも動物にも優しく、水道ホースに取り付けることで稼働します。調整次第で様々な鳥獣に対応でき、商品価格は9850円です。

次に、センサー機能を有効活用したサルの追い払いについてです。

この事例では、サル被害に悩まされていたある集落が専門家と協力して本格的なサル対策を行い、その対策の1つとしてセンサー機能を有効活用した事例です。

サルはメスを中心に数頭〜数十頭の群れを作る動物で、広い行動圏内でエサを探しながら動き回って生活しています。まず始めに調査によって集落に被害を与えている加害群を特定したら、そのうちの1〜3頭のサルを一時的に捕獲し、電波の発信器を装着します。その電波の発信器をつけたサルをもう一度群れに放つことで、群れの行動範囲やその特徴、群れ全体の行動を把握するために追跡調査を始めます。そしてその調査と並行して、集落の近隣に接近警報システムを設置するのです。

追い払いとは、サルから発された電波を受け取るセンサーシステムで、その発信器をつけた個体が集落に近づいた時点でセンサーが反応し、サルが近づいていることが事前に分かる仕組みを作っているのです。サルの接近が事前に把握できることで、町内放送やメーリングリストなどで住民による追い払いが効果的に行えるようになり、集落への出没が減少しました。

このように、センサー機能は獣害対策の効率を圧倒的に高めることとなり、現在では上記の事例の他にもセンサーカメラや超音波発信など様々な種類の獣害対策グッズが登場しています。予算や手間などを考慮しつつ、被害状況と対象動物に合った対策をしましょう。

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