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放送法の解釈をめぐる「内部文書」の「どこが問題なのかわからない」 須田慎一郎が疑問を提示

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年3月6日 17時35分

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参院予算委で答弁する高市早苗経済安保相=6日午前、参院第1委員会室

ジャーナリストの須田慎一郎が3月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。立憲民主党の小西議員が公表した放送法の解釈をめぐる内部文書について解説した。

参院予算委で答弁する高市早苗経済安保相=2023年3月6日午前、参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

放送法の解釈をめぐる内部文書、高市早苗議員が「捏造」と否定

立憲民主党は3月3日、参議院予算委員会で放送法が定める政治的公平性の解釈をめぐる総務省の内部文書を入手したとして、当時の安倍政権の圧力によって法解釈が変更されたことを示していると指摘した。これに対し、当時の総務大臣だった高市早苗・経済安全保障担当大臣は「文書は捏造だ」と応じた。

飯田)高市さんは岸田内閣でも閣僚を務めているため、予算委員会での質問に対し答弁に立ちました。80ページ近くにわたる文書がネットにも上げられましたね。

内部文書は少なくとも「超一級の極秘資料」の文書ではない

須田)78ページに及ぶ内部文書で、私も全部目を通させていただきました。「取扱厳重注意」という文言が載っているのですが、大前提として、この文言だけを以って「超一級の極秘資料」とは言えないと思います。

飯田)超一級の極秘資料とは言えない。

須田)私たちのような霞が関を取材している人間は、官僚の方からレクチャーを受けるとき、特に個別のレクが多いのですが、その際に出てくる資料には大体このような文言が付いているものです。

飯田)「取扱厳重注意」という。

須田)決まりごとのように付いています。付いているものと付いていないものがあって、付いているものに関しても、厳重に金庫に仕舞われているかと言えばそうではない。この手のものはよくある文書で、機密文書ではないことは明らかだと思います。

1つの番組で、少々どこかの個別の政党に重点を置いたコメント・報道をしても、1ヵ月間のトータルバランスで考えると公平性は崩れない

須田)これが問題なのかどうなのか。解釈が変更になったのかどうかということですが、3月3日の小西洋之議員の国会質問において、パネルが提示されています。「政治的公平の解釈について(政府統一見解)」が示されたのですが、それを見ても、1つの番組のみで政治的公平性が失われていると言えるのかどうかということです。

飯田)1つの番組で政治的公平性が失われていると言えるかどうか。

須田)いちばん問題になっているくだりがあります。「国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、ことさらに他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間に渡り繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合」は、1つの番組であっても政治的公平性を欠いている、失っていると認定されるというものです。「ここの解釈が変更された」と小西議員は主張しています。

飯田)解釈が変更された。

須田)しかし、私は「そうですか?」と思います。「極端な場合」というのは1つの番組、例えばニッポン放送「お早う!ニュースネットワーク」で最初から最後まで「自民党はすごい政党なのですよ。頑張っているのですよ。それに比べて野党は~」というようなことを言えば、それは「1つの番組のなかでも政治的公平性を欠いていると言ってもおかしくないですね」と。それが「極端な場合」なのですよ。

飯田)「お早う!ニュースネットワーク」の場合は、月曜から金曜までやっていますけれど、1ヵ月ずっと同じような内容を放送したら、それはいくら何でも極端だろうと。

須田)そのような場合には、「政治的公平性が担保されていないと認定される」ということです。ただし、普通に番組を放送していて、少々どこか個別の政党に重点を置いたコメント・報道をしても、1ヵ月間のトータルバランスで考えると、公平性は崩れていないのですよ。

飯田)1ヵ月のトータルバランスでみれば。

「何が解釈変更になったのか」は誰が見ても明らかなことが再認識されたに過ぎない

須田)では「何が解釈変更になったのか」ということですが、これはしなくてもいいような補充的な説明ではないかと思います。誰が見ても明らかなことが、平成28年2月12日の時点で再確認されたに過ぎない。そこに至るプロセスが78ページの文書なのです。

飯田)総務省や総理官邸秘書官の名前が出てきますが、「これは政府側から投げかけるものではないですよね」というような。かなり慎重な形で進めていると感じるものや、しかも「安倍独裁だ」と言われた当時の官邸の高官たちが言っているようなものも出てきますね。

曖昧な高市氏から安倍元総理への政治的公平性の件に関する電話の有無 ~「総理か今井秘書官のどちらかに」電話が「あったかも知れない」というレベルの話

須田)加えて1人こだわっていたのは、敢えて言えば礒崎元首相補佐官です。

飯田)当時の首相補佐官ですね。

須田)礒崎補佐官が問題意識を持って、総務省との間でやり取りしていました。しかし、計78ページをどう読み込んでも、例えば安倍さんが熱心にこの問題にこだわっていたかと言うと、その辺りも全然読み取れないのですよ。

飯田)安倍元総理が。

須田)読み取れるとするならば、当該箇所を教えてもらいたいくらいです。では高市さんがこだわっていたかと言うと、そうは思えない。高市さんが出てくるくだりはA4判のペーパー2枚プラス、大臣レクに関する高市総務大臣(当時)への説明という、ほんのわずかな箇所なのです。

飯田)高市さんが出てくるのは。

須田)ですから、高市大臣も前のめりになっていたかと言うと、そうではないと思います。「高市大臣と総理の電話会談の結果」と言っても、「総理に電話しました。日時は不明です」と。「大臣室の平川参事官から総務省の安藤局長に対して次のような連絡がきました。政治的公平に関する件で、高市大臣から総理に電話があったようです。日時は不明です。総理からはいままでの放送法の解釈がおかしい旨の発言。実際に問題意識を持っている番組を複数例示?」と。

飯田)「したのかな?」と、クエスチョンマークが付く。

須田)ですから、平川参事官が高市大臣からそう言われたのかどうかもわかりません。しかし「何かしらの電話があったようだ」ということを、自分の想像・憶測を交えて安藤局長に連絡したことになっているのではないでしょうか。

飯田)曖昧な記憶に憶測も交えて。

須田)その次のペーパーに「政治的公平性の件について、山田総理秘書官から連絡がありました」と。高市大臣と総理の電話会談があったかも知れないのが3月9日です。その4日後に山田総理秘書官から連絡があったと。「政治的公平に関する国会答弁の件について、高市大臣から総理か今井秘書官に連絡があったようだ」とされているのですが、誰にあったのかわからないのですよ。

飯田)「総理か今井秘書官に連絡があったようだ」と。

須田)概ねこういう場合、大臣の方は「官邸に電話しておきました」くらいのことなのかも知れない。それさえもないのかも知れない。ですから総理秘書官も、その辺りについてはまったく補足・確認できていません。場合によっては「総理か今井秘書官のどちらかに」電話があったかも知れない、というレベルの話なのですよ。

高市氏と安倍元総理が政治的公平の件で電話したのかどうかは、このペーパーからは読み取れない

飯田)今井さんは安倍政権の政務秘書官で、政策にも一定の影響力があったとは言われていますが、もともとこの件は「安倍総理から圧力があった」というイメージで報道され、質問もそういうニュアンスでした。しかし、そうなると「あれ? ちょっと待って」となりますね。

須田)そもそも電話そのものがあったのかどうか。あったとしても、高市さんと安倍さんが政治的公平の件で電話したのかどうかは、このペーパーからは読み取れません。まったくわからないし、証拠にはならない。

飯田)この件はどうなっていくのでしょうか?

須田)どこが問題なのかわからないのです。資料そのものは極秘資料でも何でもない、ごく一般的な資料ですよね。計78ページすべてが。

「1つの番組だけで判断することはない」という政府の解釈は変更されていない ~「極端な場合には、そういう可能性もないわけではない」という可能性だけ残した

須田)そしてもう1点が、「政府の統一見解・解釈が変更されたのかどうか」ということですが、されていません。1つの番組だけで判断することはないし、「ごく極端な場合には、そういう可能性もないわけではない」という部分は残した。当時の総理補佐官である礒崎補佐官を立てるかのように、ここだけは可能性として残しました。だから結果として何かねじ曲がったものではないし、ましてや内閣法制局が関与すべき問題でもありません。

飯田)法制局には見せていないという内容が、やり取りのなかに入っています。

須田)見せられても困るでしょう。

飯田)法律判断ではないですからね。

須田)加えて電話があったのか、なかったのかも資料からは全然読み取れない。「何が問題なのだ?」と思います。

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