迷惑客への「毅然とした対応」で変わる「宿泊業のおもてなし」、法的に何ができるか
弁護士ドットコムニュース / 2023年3月5日 9時25分
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接客業、特に日本のおもてなし文化の象徴とされるホテル・旅館業界では「お客様は神様」という考えが根強いと言われている。宿泊業界ではこれまで悪質クレームや宿泊料の不払いといった迷惑行為に対して、法的措置をとる動きが鈍かった。さらに原則、宿泊客を拒否できないと定める旅館業法が鈍さに拍車をかけている。
ホテル・旅館の法律問題に取り組む佐山洸二郎弁護士は「宿泊料の不払いや迷惑行為に対して法的措置をとることができます。業界全体で法的措置も辞さない毅然とした対応をとり、泣き寝入りしないでほしい」と話す。
接客業全体に目を転じれば、大手回転寿司チェーン「スシロー」の運営会社が、迷惑行為をした客に対し「民事、刑事両面から厳正に対処」する声明を出すなど法的措置も辞さない機運が高まっている。ホテル・旅館業界も「お客様は神様」という風潮を変える時期に差し掛かっている。(ライター・国分瑠衣子)
●リーガルサービスが行き届いていない業界 旅館業法も拍車他の業界と比べて、なぜホテル・旅館業界は法的措置に踏み切る動きが鈍いのか。佐山弁護士は「お客様は神様」という考え方が特に根強く、これまで弁護士に相談する習慣がなかったためと見る。
「トラブルや訴訟に発展する前でも弁護士に相談できることを知らなかったり、高額な相談費用を支払わなければならないと不安を感じていたりする経営者が多いです」
さらに、佐山弁護士は業界特有の法律の問題があると指摘する。それが旅館業法だ。旅館業法では「ホテルや旅館は原則として宿泊客を拒否することができない」と定めている。館内で騒ぐなどの迷惑行為や悪質クレームを受けたとしてもすぐに追い出したり、出入り禁止にしたりすると宿側が旅館業法違反に問われる可能性がある。過去には、宿が宿泊拒否をしたことで裁判になったケースもあるという。
●ドタキャンや宿泊料踏み倒しは法的措置や警告ができるしかし、宿泊料の踏み倒しに対しては、支払督促などの法的措置をとったり、内容証明などの「警告」を出したりすることができる。
例えば宿泊業が抱える問題として、客が宿泊予約をしていたのに当日に現れない「No show(ノーショー)」問題がある。佐山弁護士は「実際に泊まっていないのに請求するのはなんとなく気が引ける」という考えから、請求せずに泣き寝入りするホテルは少なくないと指摘する。
佐山弁護士は「宿側には食材費や人件費が発生していますし、他のお客さんを泊めることができたかもしれない逸失利益があります。悪質なケースでは、毅然とした対応で料金を請求していいんです。『お客様は神様』という風潮を業界全体でなくしていくことが大切です」と話す。
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