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中学教員刺傷 なぜ無差別殺人に憧れたのか

読売新聞 / 2023年3月5日 5時0分

 高校生の心に何が潜んでいたのか。事件の背景を解き明かし、同じような事件をどうしたら防げるのか、社会全体で考えなければならない。

 埼玉県戸田市の市立中学校で今月1日昼過ぎ、刃物を持った17歳の男子高校生が校舎3階に侵入し、男性教員に切りつける事件が起きた。中学の生徒たちにけがはなかったが、男性教員は上半身の複数箇所にけがを負った。

 殺人未遂容疑で現行犯逮捕された高校生は、この中学の卒業生ではなく、男性教員との面識もなかった。警察の調べに対し、「誰でもいいから人を殺したかった」と供述しているという。

 この日、中学では定期試験が行われていた。試験監督をしていた男性教員は生徒を教室の外に避難させた後、高校生ともみ合いになったようだ。状況によっては生徒にも危害が及んだ可能性があり、極めて危険な事態だった。

 白昼の学校で起きた凶行に、生徒たちは大きなショックを受けたに違いない。学校は、スクールカウンセラーと協力し、心のケアに努めてもらいたい。

 高校生は当時、複数の刃物を所持していた。「無差別殺人への憧れがあった」と話しているとされる。高校生が住むさいたま市では先月、切断された猫の死骸が相次いで見つかっており、「俺がやった」とも供述しているという。

 重大事件の予兆として、動物を虐待するケースは少なくない。高校生は「残虐な動画を見ているうちにエスカレートした」とも述べているとされる。心の中で残虐性が肥大化したプロセスを多面的に解明することが大事だ。

 高校生の成育環境やインターネットの閲覧履歴を詳しく調べ、犯行当時の心理状況を分析することが重要だ。なぜ中学校を狙ったのかも明らかにする必要がある。

 学校の安全管理についても、改めて点検することが大切だ。2001年に大阪教育大付属池田小で起きた児童殺傷事件を受け、文部科学省は不審者侵入防止のためのマニュアルを作って学校での対策強化を求めてきた。

 マニュアルでは、来校者には名札を付けてもらうといったルールを決めることや、不審な人がいた場合は、2人以上の教職員で対応することなどを求めている。

 こうした対応が普段からできているか、各学校でしっかりとチェックしてほしい。校門の施錠も忘れないようにしたい。いざという時に備えて、定期的に訓練を実施することが欠かせない。

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