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食用コオロギが食料危機を救う? 拡大する昆虫食市場、日本では

毎日新聞 / 2023年3月5日 13時0分

食用の研究のために飼育されているコオロギ=滋賀県長浜市田村町の長浜バイオ大で2022年3月9日午後5時1分、長谷川隆広撮影

 食用コオロギを巡り、SNSを中心に賛否が話題になっている。世界的な食料危機を救う一助になるとして国も期待を寄せる昆虫だが、口に入れることへの抵抗感があるようで「絶対に食べない」といった否定的な投稿もある。ところで、昆虫食は国内でどんな位置づけになっているのか。【デジタル報道センター】

FAO報告書「新たな食料の可能性」

 昆虫食を巡っては、国連食糧農業機関(FAO)が2013年5月にまとめた報告書で、新たな食料や家畜用飼料としての可能性を提唱している。つまり、昆虫食への注目は最近になって降ってわいたわけではなく、新たなたんぱく源などに着目した研究がこの間ずっと行われてきたのだ。

 国内でも、食に関する最先端技術「フードテック」を使って、たんぱく質の供給源を多様化しようとする流れがあり、食糧安全保障などの観点から議論されてきた。20年4月には、農林水産省を事務局に「フードテック研究会」が設立され、昆虫食に関する課題や対応が話し合われてきた。

 その後、たんぱく源だけでなく、幅広い分野を議論するため、フードテック研究会は「官民協議会」に名称が変更された。昆虫食に取り組む民間企業の提案で、「昆虫ビジネス研究開発」のワーキングチーム(WT)も設置された。

業界ガイドラインを策定

 WTの事務局を務める「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム」によると、産官学が連携するこのプラットフォームには124企業・機関が加盟し、昆虫ビジネスの実現に向けた情報交換などが行われている。

 食用や飼料としてコオロギを使うにあたり、生産や利用に関する基準がないため、プラットフォームは22年7月に業界ガイドラインを策定し、生産時の管理手法などを明記した。

 今回のネット上の反応に対し、プラットフォーム内では、反対意見を整理したうえで、ガイドラインを守る企業同士で連携し、科学的根拠に基づいた対応をする必要があるとの議論も出ているという。

国内の昆虫食市場は約4億円

 農水省が外部に委託してまとめた21年度の調査によると、20年の世界の昆虫食市場は100億円程度で、国内は約4億円。50年には世界で0.3兆円に拡大し、国内でも40億円程度になると見込んでいる。

 農水省は21年5月、食料・農林水産業の生産力向上と持続性を両立する「みどりの食料システム戦略」を策定し、昆虫食の研究開発などフードテック全般の推進を図っている。

 同省の担当者は「昆虫が本当に有効なたんぱく源かどうかは確立していないところもありますが、有望な一つの選択肢として考えています。研究開発やビジネスモデルの実証を進めていきたいです」と話した。

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