フレッシュな才能とルックスで注目を集める、旬な男の子の素顔にせまる連載。レトロポップなインテリアで国内外のファッショニスタが足繁く通う新宿の「Café & Bar CHAOS」を舞台に、VOGUE GIRL副編集長とゲストが本音のボーイズトーク。第23回は、力強くもピュアな眼差しと演技で、俳優としてのキャリアを着実に築いている山田裕貴くん。
VOGUE GIRL with BOY FRIEND
Guest:山田裕貴
山田くんは今いくつ?
29歳です。
芸能界に入ったきっかけは?
エンターテイメントの業界やテレビが好きだったので、モデルとかアーティストとかお笑い芸人とかになりたいなって思っていたんです。でも特別に面白いわけでもないし、背がめちゃくちゃ高いわけでもない。歌がずば抜けてうまいわけでもない。そうしたら俳優かなって。俳優だったら心の職業だろうから、そんなにセンスとか容姿だけが重要じゃないと思ったのが、高校3年生の終わりくらい。
自分の進路を真剣に考え始める頃だね。
思いとしてはいろいろあったんですけど、とにかく人と違うことをやりたかった。
仕事を? それとももっと漠然とした感じで?
なんとなく。生きていても人と違うように生きたかったり。今でもあるんですけど、誰もが同じことしていると別の方に進みたくなるんです。
みんなと同じブームに乗っかっちゃう感じとかが嫌なんだ。
すごく嫌で、だから最初は心理学者になりたいと思って、心理学の勉強したいなと思ったりもしました。他にはないかなって考えたらテレビとかずっと好きで、映画とか、もうそっちだなと思って。高校を卒業して俳優の養成所、芝居の学校に入ることになり、そこからデビューで言うと20歳のころなんですけど。演技を学び始めたのは18歳。エキストラとかからスタートしました。
じゃあ、俳優という方向ではもう10年くらいになるんだね。
そうですね。
この約10年間どうでした?割と大きな節目だね。
そうですね、デビューから考えれば2年で10周年かと思うんですけど、上京してから考えると10年になりますね。思い返せばいろいろあるし、辛かった、悔しかった、悲しかったっていうのが、本音としてはほとんどだと思うんですけど。でもその感情以上に、すごい人や仲間に出会えた10年だった。1%の大きな幸せ、例えば「作品観て感動しました」とか「良かった!」とか言ってもらえたり、共演者やスタッフに「山ちゃんが、裕貴がいてよかった」とか言ってくれる。その1%くらい言葉で全部今までの苦労も五分五分、いや、五分五分以上に幸せだったなって思いますね。
今は充実している?
う〜ん、どうなんだろう。それはわからない。自分で充実しているかってよくわからないです。
そうなんだ。
心はいつも何かに乾いてる気がしているので、心が満たされているかって言われたらまだまだなんです。でも人にも恵まれてるし仲間もいっぱいいる。そういう面ではすごく楽しい時もあれば、そういう繋がりもあっても悔しく悲しくなる時もある。充実という言葉を使うのであれば、もっと何かできるはずだなっていうのはあります。
俳優という仕事は自分に合ってると思う?
多分これしかできない。同じ場所へ毎日同じ時間に行くっていうのが、それだけでもう嫌になっちゃうので。
(笑)。人と違うものを探しているしね。
そうですね。とてつもなく気分屋でもあるので。
でも気分屋だけでもできない仕事だよね?
できないですね。
じゃあどんな部分が合ってるの?
作品に入ったとき、違う人間になるじゃないですか。そこで味わうその感情とかに僕、結構感動するんですよ。こう思うんだとかこう動くんだとか、自然にじゃあ言葉が出てきた瞬間に、わあ!生きてるって実感するんですよね。
気分屋な部分はプラスになってる?
どうですかね……超気分屋というかマイペース。なのに仲間が多くて共演してきた人たちからご飯行こうとか誘ってくれたりするんで……なんでだろう。
他の人には自由に見えるのかもね。
めっちゃ素直なんだと思いますね、めっちゃ人間的というか。
役を演じる上で自分なりに大切にしてるものってある?
それについてはすごく考えていて、矛盾しているんですけど「お芝居にしないこと」。本物にするというか……台詞って、言えば成立しちゃうけどそれがお芝居に見えてしまったら見ている人はつまらない。本当にこの人から言葉が出ているなって考えることさえもさせないくらい、役を生きているみたいな。山田裕貴ではなく役でそう見えたらいいな。
それってどうしたらできるの?
う〜ん、人間を知ることかなって思います。自分の想像だけで考えずにいろんな人に会っていろんな話を聞いてみる。例えばこういうバーをやっている人はどういう人なんだろうとか。それで僕がバーテンダーの役になる時のために、この人が作ってくれるお酒の混ぜ方だったり、いつどのタイミングで喋ってどんなテンションなのかというのを、普段から覚えておくってことなのかなって思っています。
台詞だけじゃなくて身のこなしも大切な要素。
そうですね、日常が勉強の場。いろんな人間がいますよね。
人間観察しちゃうほう?
覚えておきますね。こういう喋り方の人いたなとか、間の取り方がちょっと変わった人いたなとか。でもそれを、やろうやろう!って演るとお芝居になっちゃうんですよ。それを本物にまで落とし込むのが難しい。だからドラマなどでも1話目からバッチリ役にはめられることってなかなかないし、それをどこまで自分が突き詰めて諦めずにやれるかっていうのが重要。そこに関しては諦めないですね。そこは気分屋な部分は出ない(笑)。
10月4日公開の映画『HiGH&LOW THE WORST』では学生の設定?
そうですね、留年し続けてますけど(笑)。4年くらい同じ役をやらせてもらって、語りつくせないくらいいろんな思い出があります。最初の頃は、それこそ頭の人たちが岩田剛典さんや林遣都くん、窪田正孝くんだったりで、その中に山田裕貴って誰?みたいな空気感はあって。でもそれで終わらせたくなくて、対マンのシーンのときにも台本にはないけど思いついたこともやってみたりしたんです。そうしたら、今でも忘れられないんですけどインスタグラムのフォロワーが1日で5万人とか増えて。凄いな、こういうふうに知ってもらうんだ、それって大事だなと気づかせてくれた。
若手俳優たちの演技合戦が見ものだよね。
僕らは基本負けるチームなんですけど、負けの美学というか、負けてもかっこいいチームにしよう、最終的に一番愛されるチームにしようねって共演していた鈴木貴之さんと一ノ瀬ワタルさんと言ってきたんです。で、この作品ではいよいよ初めてスピンオフという形で、僕らのチームにスポットが当たった映画になった。念願のというか、そんなことが実現するとは最初のころは一切思ってなかったんですけど、なんかが伝わったのかなって思います。
いろんなことが積み重なっている感じだ。
そうですね。その対マンのシーンをHIROさんも見てくれて、いいよねってなったから、今があるみたいな感じがします。
ああいう役はどうですか? 割とハードな役多いじゃない?
でもなんか、う〜ん、そっちの方が楽かな、楽というか。感情って出せちゃう方が楽なんですよね。
演技として、うん。
出せずに秘めてる方が難しい、表現的に。