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G小林、もってない男が“確変” あと一歩で日本一逃した甲子園の悪夢払拭

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G小林、もってない男が“確変” あと一歩で日本一逃した甲子園の悪夢払拭

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小林が放った人生初の満塁アーチはトラウマ解消弾となるか  巨人のドラフト1位ルーキー、小林誠司捕手(24)=日本生命=の“持ってない”野球人生が確変のときを迎えた。

 改装を終えた三重・伊勢市の倉田山公園野球場のこけら落としとして、10日に行われた阪神とのオープン戦。巨人は球団草創期に活躍した伝説の大投手、故沢村栄治氏の永久欠番「14」を全選手がつけてプレーした。

 この記念すべき一戦で逆転満塁弾を放ち、ヒーローとなったのが小林だ。試合途中からマスクをかぶると、3点を追う8回無死満塁での初打席で初球をフルスイング。左翼場外へ消えた“プロ1号”は新球場の第1号となり、記念球はサインを添えて伊勢市長に寄贈。また、この一発は、小林にとって人生初の満塁本塁打だった。

 「本塁打自体がそんな多くないんで。打った瞬間、行ったと思ったけど『え、マジか!?』とも思った」。何ともメモリアルな一発。報道陣に「自分は“持ってる”と思う?」と水を向けられると「持ってるか持ってないかでいえば、自分は持ってないほうだと思う。甲子園とか? そうですね」とはにかんだ。

 ルーキーのこれまでの野球人生で満塁本塁打といえば、日本一の栄光をあと一歩で逃した悪夢でしかない。2007年夏の甲子園。広島の強豪・広陵の正捕手だった小林は、エース野村祐輔(現広島)とともに、佐賀・佐賀北との決勝に臨んだ。スタンドはこの大会まで甲子園未勝利の相手校寄りだったが、終盤まで4-0と優位に進めた。だが8回1死満塁から四球押し出しで1点を失うと、さらに逆転満塁弾を喫し涙を飲んだ。押し出しの打席は微妙な判定が続き、温厚な小林が珍しくミットをたたきつけた。試合後には広陵の中井哲之監督が「少しひどすぎるんじゃないか。これでやめろと言われたら監督をやめる」と異例の猛抗議をしたほどだ。

 その後、小林は同志社大、日本生命に進んだが日本一はなし。だが昨秋ドラフトで1位指名を競合で逃した巨人に外れ1位で入団してから運命の歯車が回り始めた。今春キャンプでは定評があった守りだけでなく打撃でもアピール、評価を爆騰させている。そしてこの日はあの悪夢と同じ8回裏に自らが逆転満塁弾。トラウマ解消アーチだ。

 原監督は「非常に勝負強い。実戦的というところを改めて強く(認識)した。彼の中でも忘れられない一打になることと思う」と絶賛。これまでの勝負運のなさが、ウソのような快進撃。次代の正捕手の座を一気につかむ勢いだ。 (笹森倫)

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