2023-03-04

Googleレイオフ労組について中の人が書いてみるよ

ブコメとかツイッター見てるとGoogleレイオフおよび労働組合の話について、誤解されている部分が少なくないようなので、需要あるかわかりませんが、中の人がすこしだけ書きなぐってみます。できるだけ中立的に書くことを試みますが、多様性のある社員のなかの、あくま一社員🔡の主観ですので、Single Source of Truthではなく参考程度でお願いします。

レイオフ=クビなの?

解雇規制のゆるいアメリカならレイオフ=クビです。Google米国以外では各国の法律にのっとって、レイオフに相当する処置を行うと伝えており、会社の現状を考えると日本解雇整理解雇)を行うのは相当な法的リスクを伴います

そのためGoogle Japan解雇ではなく、退職パッケージ退職金と退職に伴う様々なサポートのセット)を提供する「退職勧奨」という形で対象となる人に通知を行いました。

勧奨なので、同意して退職するのも、拒否して退職しないのも個人自由です。勧奨に2週間以内に同意するなら、退職金にかなり大きな上乗せが加えられることが約束されているので、同意しない人が少なくなるように調整されています拒否した場合にどうなるのかは不透明です。

ちなみに日本解雇規制が強い方ですが、欧州や他のアジア各国と比べてとくに強いというわけでもありません。欧州にはレイオフできなかった国もあります米国けがズバ抜けて解雇規制がゆるい印象です。

能力が低かったかレイオフされたんじゃないの?

Googleによると、今回のレイオフの直接の原因はここ数年に人を過剰に採用しすぎたため、そして現在経済的現状が予想外であったためとしています。そして、会社の優先度を鑑みて削減対象となるロールを決定するというのが表向きの発表です。

社内での説明でも業務内容やパフォーマンス考慮するとされていますが、直近の社内評価が悪くないと判断された人も対象になっているようなので、ポジションや運による部分が大きいように見えますパフォーマンスといっても、本人の能力と同じくらい、仕事内容や上司との相性、そして時勢に大きく左右されるので、今回レイオフされた中で本当に「能力が低かった」といえる人は多くないと思います

レイオフされるリスク込みでの高給高待遇だったんじゃないの?

Google日本法人は、当然ながら日本労働基準法を遵守しながら雇用を行っているので、「レイオフリスク前提」ということはありません。たしか日本企業としては高給だと思いますが、世界IT産業給与体系の競争で比べるなら適切(あるいはむしろ低め)な範囲かと思いますIT産業、とくにエンジニア給与がバブり気味という点は否定しませんが、そこもレイオフとは直接関係ありません。

レイオフされるリスク」に対する金銭補償は、普段もらう賃金の中ではなく、レイオフに伴った「退職パッケージ」の一部として、今回は提示されています。そして、日本法人の提示した退職金は上記の2週間以内ご成約キャンペーン考慮すると、各国の対応の中でも相当手厚い方です。(日本以外の国も、同業他社レイオフに比べると十分手厚いと思うのですが。)

労働組合つくったりして、会社にしがみつくのに必死じゃね?

しかレイオフを機に労働組合ができましたが、成立過程を眺めている限り、これは会社にしがみつくためというよりは、社員大事にするというGoogleカルチャーを守りたいという動機をもった人がほとんどです。例えば、これまで社内でかなりの優先度で大事にされてきた「心理的安全性」は、今回の米国レイオフ通知に伴って、一晩で吹き飛んでしまいました。会社の側には最大限の説明責任を果たしてもらいたい、雇用契約を解消するならそのプロセスはきちんと日本法令に遵守して、日本語や日本法務に弱い外国人社員が不利にならないようにしてほしい。そういう公平性会社に訴える対抗手段としての労働組合である、と私は受け取っています

加えて、組合員に過剰な「退職勧奨」を呼びかけることは違法ですので、たとえばどうしても離職したくない人や、ビザステイタス日本での環境変化に心配のある外国人社員を、一旦法的に守る仕組みとしても期待できますさら組合ができることによって、会社が将来に更なるレイオフを行う可能性を低減させられるかもしれません。

実際、労働組合の立ち上げはレイオフ対象者の発表より前に行われており、労働組合を立ち上げた人とレイオフ対象者はまったくの独立です。組合成立の記者会見に出た人=レイオフ対象者ではない(むしろレイオフ対象者の方が遥かに少ないと思われる)ので、労働者権利を目に見える形でのオプションにした彼らの行動力を私は評価します。

社内の雰囲気はどうなん?

1/20米国レイオフが発表されてから時間がたつので、自分の見える範囲では皆ある程度は心の準備はできていた模様です。先行する国ではなぜか優秀な人や必要そうに見えるポジションの人も切られているところを見ると、数%の確率とはいえ自分大丈夫確信できた人はあまりいないと思います

ただし、日本では3月中に発表としかアナウンスされず、具体的にどのような人に、いつ通知がくるのかわからないなど、情報が与えられない部分に関する不満は大きいです。

日本では対象者に対して即日アクセス遮断にはならなかったので、発表後も誰に通知が行ってるのかは本人が言わない限りわからないので、お互いどう声をかけはじめたらいいのかも正直戸惑っている状態です。

組合は2つできましたが、その中でのディスカッションや加入するメリットについてはよく見えておらず、自分含め、該当者であってもやや静観している社員が少なくない気がします。組合に入る自由も入らない自由も両方十分に尊重されています

えー現場からは以上です。

  • 女子大生の設定では

  • レイオフされるリスク込みでの高給高待遇だったんじゃないの?ってのはただの低賃金労働者の嫉妬だよなあ。

  • Twitterみたいにすぐさま訴訟するとかそういう話は出てないので、まあそんなもんかなと思ってた

  • 明日は我が身や…

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