17歳少年に10年以上15年以下の不定期刑の判決、女性刺殺事件

中山直樹
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 福岡市の商業施設で2020年8月、同市の女性(当時21)を刺殺したなどとして、殺人などの罪に問われた少年(17)の裁判員裁判で、福岡地裁(武林仁美裁判長)は25日、求刑通り懲役10年以上15年以下の不定期刑の判決を言い渡した。

 最高裁によると、刑事罰の対象の下限が16歳から14歳に引き下げられた01年以降、14歳、15歳の少年が殺人容疑で検察官送致(逆送)されて裁判となった事件は、今回で3例目だという。

 起訴状などによると、少年は20年8月28日、福岡市中央区の商業施設内で包丁2本を盗んだ。その後、1階女子トイレで女性の首などを包丁で刺して殺害。さらに、自身が逃走する際の盾にするために、施設内にいた女児(当時6)を包丁で脅したとされる。

 少年はこの前日、少年院を仮退院後に入所中だった、更生保護施設を抜け出していた。

 裁判で、検察側は事件が無差別的で残虐性が高いと指摘。少年が幼少期から更生保護施設や少年院を転々としていたことなどから、「更生の可能性が非常に乏しい」として、成人と同様の刑事処分が相当としていた。

 一方、弁護側は少年が幼少期から家庭内で虐待を受け、精神的なトラウマなどが犯行に影響した可能性を主張。「医療少年院で心理療法などを受けながら少年の抱える問題を解決するべきだ」とし、保護処分が妥当だと主張していた。

 事件を巡っては、福岡地検が少年の鑑定留置を実施し、刑事責任を問えると判断。少年を福岡家裁に送致し、移送先の鹿児島家裁が昨年1月、少年審判を開き、刑事処分が相当として地検に逆送した。(中山直樹)

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