非きこもり、JDを拾う。そして、育てられる。   作:なごみムナカタ

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2022. 2. 2 一部言い回しを修正。



非きこもり、JDに殴られる。

 あれから数日が過ぎ、気まずさもややマシになってきた頃合いで作戦を決行する。

 

 川崎がバイトというこの日、俺は気づかれないよう後を尾行()けていた。

 俺は遅い時間に講義が入っていたくらいなので、今日は川崎を尾行するのに打って付けであった。

 しかし、大学もバイトもないのに朝から起きるなど、普段と違う行動は怪しまれる恐れがある。そこで昨夜の内に下準備をしておいた。

 

 

 ――――――

 ――――

 ――

 

 

 二人で夕飯を済ませた後、それぞれ大学の課題に取り組みながらまったりと過ごす。ロフトにはテーブルがないので、勉強は洋室のローテーブルを二人で囲むのが定番となっていた。

 

『……コーヒー飲むか?』

『ん、ありがと。もらう』

 

 由比ヶ浜や小町と違って川崎は勉強中、最低限の会話しかしない。

 同じ部屋で女子と二人きりという部分にはまだ少し慣れないが、思いの外集中できるので気に入っている。

 コーヒーを淹れようと立った瞬間、俺のスマホが鳴り響く。メールやSNSの類いではなく着信だ。

 

『あ』

『電話? じゃ、あたしが淹れるよ』

『わりぃ、頼んだ』

 

 視線で察してくれた川崎は、こちらが言う前に代わってくれた。片手で謝りながら礼をすると電話に出る。

 

『もしもし。おう、お疲れ……おう…………』

 

 俺が電話で話しているのが気になるのか、ちらちらとこちらの様子を窺っている。

 ですよね。俺が電話なんて珍しいからね。高校時代は両手の指で足りるくらいしか通話したことない気がするし。

 

『分かった。貸しだぞ。んじゃ』

 

 軽く悪態をついて電話を切る。

 コーヒーを渡しながら『なにかあった?』と目線で訴えてくる川崎。どうやら想定通りに事が運んでいるようで、内心ほくそ笑んだ。

 

『大したことじゃない。明日、急用でバイト出れなくなったから代わってくれって電話だった』

『ふーん。何時?』

『そんなに早くはない。お前より後に出ると思う』

『そ。じゃ、朝ご飯は一緒に済ませよっか』

『分かった』

 

 

 ――

 ――――

 ――――――

 

 

 これが昨夜の出来事であり、本来俺はバイトを代わるはずなのだがその約束は存在していない。

 

 実は、あの着信はアプリを使ったダミー着信である。着信音だけでなく通話中もダミー音声を流してくれるので、本当に電話があったように見せることができる。

 こうすることで、早起きが不自然にならぬよう演出したのだ。

 

 駅に着くと、電車でも別車両に乗って尾行を続ける。探偵の真似事をしているようで妙な昂揚感を得てしまうが、実際は完全なるストーカーだ。万が一にもバレることは許されない。

 川崎がどんなバイトをしているのか確かめるためとはいえ、ずいぶんと危ない橋を渡っている。

 しかし、こちらが返済や家賃の督促をしていないにも拘らず無理をされたのでは堪らない。

 

 

 電車を降りてしばらく尾行を続けていると、街の雰囲気が変わり始めた。道を曲がり歓楽街から少し外れると、怪しげな看板が散見される。思い過ごしであって欲しいと願うも、疑いは濃くなる一方だ。

 

 川崎が分かれ道に差し掛かったところで予期せぬ事態に見舞われた。俺のスマホに着信が入ったのだ。

 昨夜の芝居を成功させることばかりに気がいってしまい、マナーモードにし忘れたのが大失敗だった。川崎の耳にも届いてしまったかもしれない。

 俺は慌てて横道に駆け込み、川崎の視線から逃れる。隠密行動中に一体誰がと表示(剣豪将軍)を見ると着信を切りたくなり、ついでに縁そのものも切りたくなった。

 

 落ち着け比企谷八幡。ここで怒鳴ろうものなら俺の存在が川崎に知られ『ストーカー行為がバレて人生終了男』というレッテルが貼られてしまう。なにそれマンガのタイトルみたい。万歩計持ってないし、バレたらウォーキングだって言い訳ができない。いや、代わりにスマホでいけるか。

 見咎められた場合の抜け道を考えつつ、スマホの受話ボタンをタッチする。気持ちを落ち着けるため、深呼吸も忘れない。

 

「ふーっ…………もしもし材木座か。危うく俺の人生が終了するくらいに間が悪かったぞ。切れて欲しい」

『キレていいか、じゃなく⁉ 何が切れて欲しいの⁉』

 

 それはお前との縁だったり、お前の血管だったり、お前のスマホのバッテリーだったりする。特に最後のが切れてくれると、この会話を合理的かつ強制的に終わらせることが出来るのでお勧めだ。次点で縁だが、まだ奢ってもらっていないので、奢りの後に切れるのが望ましい。

 

「こっちの話だ。それよりも、緊急性がないならこちらから連絡してやるが、LINEじゃなく電話してきたということは喫緊なんだろうな?」

 

 じゃなかったら許さんという含みを持たせ、返答を待つ。

 

『それがだな、お主は今日半休であろう? 我も今日は予定が空いておるのだ。しかも、お目当てのメイドさんが今日出勤するという情報を掴んでおるのだ。なので昼からメイドカフェへと乗り込もうではないか!』

 

 思わず我を忘れてしまいそうになるほどの苛立ちが込み上がる。

 ……我慢だ。ここで大声を上げたらまだ近くにいるかもしれない川崎に気付かれて人生終了男になってしまう。

 

「間が悪いと言っただろ、却下だ。それと当日連絡してくんじゃねえよ。都合が良くなったらこっちから連絡してやるから、その時はバイト中だろうと講義中だろうと葬儀中だろうと秒で出ろ」

『ちょっ⁉ は、八幡よ、本気ではないであろう……?』

「まあ、冗談だが。ゲーセンで格ゲー対戦中には掛けるかもしれん。それなら出れるだろ、出ろよ?」

『急に現実的かつ陰湿になった⁉』

 

 電話を切って川崎のいた道の方を覗き見る。あれだけ時間をロスしたら見失うのは必然であった。見失った場所周辺で慎重に探し回っていると、いくつかの……風俗店を発見する。

 無論、その店に入ったかどうか分からないが、ここをうろつく時点で疑惑は限りなく黒に近い。

 暗い考えが頭から離れず、尾行も断念せざるを得なかった。

 

 

×  ×  ×

 

 

 俺はいま喫茶店でコーヒーを飲んでいる。頭に浮かぶのは川崎のことばかりであった。

 

 もし風俗店に勤めているとしたら、こんな時間に営業しているものなのだろうか。ついスマホで調べてみると朝から夕方頃までの勤務もあるらしい。昼間は酔っ払い客がいない代わりに、特殊性癖を持った風俗マニアが多いという情報まで収集してしまう。そんな常識知りたくなかった。

 

 

 そろそろ時間が迫ってきたので店を出る。

 ぼっち喫茶で暇を持て余していたのは、昼の食料(・・)と待ち合わせをしていたためだ。

 相手は材木座。無論、あいつが食料なはずもなく、奴が奢るメイドカフェでの食事を指している。

 いや、デブなだけあって肉は多く取れるだろう。だが、俺は目が腐っているのであってゾンビではない。よってその肉は食えないし、食いたくもない。

 

 あの後、材木座に連絡してメイドカフェに行くことを了承した。今回のようなことを二度と起こさぬために。

 偶然にもメイドカフェ(魔界の憩い)の最寄り駅が川崎を見失ったこの駅であり、こうして待っていたのだ。

 

「ふははは、早いではないか比企谷八幡! さてはお主も抑えきれぬパトスがメイドさんたちを求めておるのだな?」

「俺が早いのは当たり前だろ。連絡入れた時のスタート地点が待ち合わせ場所なんだから。誤解するな」

 

 尾行失敗の代償も含め、必ずこいつの財布を殺してやろうと心に誓う。

 

 見覚えのある道を案内され、恙無く魔界の憩い(メイドカフェ)に到着した。地下に店舗があるのは魔界というコンセプトを意識してなのかもしれない。

 材木座の後に入店しようと待っていると、その動きがピタリと止まる。

 

「は、ははは、八幡よ、先陣はお主に任せよう。見事、我の期待に応えて見せるがいい!」

 

 そういえば、一人じゃ不安だから俺という『盾』を用意したこいつである。しっかりと気後れし、なんだったらちょっと震えていた。この虚勢をどう受け流してやろうか。それを考えると自然に口角が上がる。

 

「いーや、剣豪将軍殿よりも先に足を踏み入れようなど恐れ多い。ここはスポンサー様である我が主に是非漢を見せていただきましょう」

 

 これ以上ないほど慇懃無礼に、レディファーストならぬスポンサーファーストを唱えた。

 扉の磨りガラス越しにはメイドさんが待機しているようだ。こうやって二の足を踏む客が多いんだろうと実物を目にしながら得心する。

 向こうから声をかけられるとなんとなく台無し感が否めないし、さっさと入店してもらおう。

 

「茶番はいいから早く入れ」

 

 やけに重い扉を開き材木座の入店を促す。同時に店内から呪文のような文句(お約束)が聞こえてきた。

 

「おかえりなさいませ、魔王さまぁ!」

 

 待ち構えていたメイドさんのテンションに圧倒されながらも材木座が応じる。

 

「う、うんむ。よ、よよよ、良きに計らえたもううぅぅぅぅ」

 

 ただでさえ怪しいしゃべり方が緊張でもっとやばくなった。なにがやばいって『良きに計らえ(責任を取らず相手に丸投げで任せる意)』の精神性がマジやばい。偉そうなところが魔王っぽくもあるが。

 

 

 席に案内された俺たちはメイドさんが来るまでの間、店内の様子を窺う。

 

 全体的に明るくグレイッシュなトーンでまとめられ、ハロウィンよりもライトな印象を受ける。シックで落ち着いていながら低彩度の紫系で上手く調子を取っていた。

 所々に置かれた観葉植物は魔界に自生する植物を表現しているのだろう。バイオレットカラーに着色されたそれが雰囲気を作り出していた。

 店内を忙しなく移動するメイドさんたちは、小悪魔をイメージしたコスプレのようだ。ゴス系ファッションで背中に蝙蝠のような小さめの羽がついている。

 

 この完成度の高さは、いつぞやの千葉で見た犬だか猫だか方向性の定まらない天使要素皆無な『えんじぇるている』とは一線を画すものであった。未だに店名覚えちゃってるのかよ。俺の千葉知識の一部として血肉となっちゃってるじゃん。

 

 ようやく注文を取りに来たメイドさんは、青みがかった長い髪をツインテールに結っていた。

 

「おかえりなさいませ、魔王さ、ま……⁉」

 

 整った顔立ちをしたメイドさんは酷く驚いた表情を見せる。みるみるうちに顔はおろかデコルテまで赤く染まった。

 

「っ! なんであんたが……」

 

 赤ら顔でわなわなとしながら吐き捨ててきた。

 あれ、急に態度が変わったんだけど、このメイドさん接客大丈夫? ちゃんと研修した?

 

「注文していいですか?」

「あ?」

 

 ひっ⁉ びびりながらお伺いを立てると、さらに不機嫌さが増した。いや、そんなことより『あ?』はないだろ、どういう教育受けてんだよ、ゆとり教育の弊害か?

 

「け、けぷこんけぷこん、ちゅ、注文をしてもよろしいでござるか?」

 

 その迫力を目の当たりにしながらも割り込む材木座。今日初めて見直した。

 

「…………魔王さま、ご入界は初めてでしょうか?」

「そ、その通りでござる」

「本日は、ご入界ありがとうございます。地上世界を支配する旅で、さぞお疲れになられたことでしょう。この『魔界の憩い』でごゆるりと疲れを癒していってくださいませ」

 

 さっきとは一変して丁寧な口調に戻る。

 あの……俺も癒されたいんですが。なんで俺にだけ厳しいの?

 

「……わたしは『魔界の憩い』で働く小悪魔セラです。魔法によって生み出されたわたしたちは魔力素子(マナ)が無くなればこの身を保てず消滅してしまいます。魔王さまをお世話して癒す代わりに魔力素子(マナ)を摂取させていただきますので宜しくお願いいたします」

 

 このカフェの設定を説明する小悪魔セラさん。メイドじゃなくて小悪魔なのね。

 我々魔王たちが小悪魔に捧げる魔力素子ってなんのことだと悩んでいると、頭の中を読み取ったように説明が続いた。

 

「魔力素子とは、魔王さまが魔界の憩いに滞在する間、消費されるものであり、わたしたち小悪魔を従えご奉仕させられる力でもあります。こちらがそのシステムと消費量となっております」

 

 メニュー欄には『当店では1円=1マナとしてご利用いただけます』と載っている。

 

 魔力素子というからにはMP的な何かと思ったが、資本主義社会のHPそのものだった。魔力素子()が無くなるとこの社会では魔王さまも死んでしまうのですがそれは……。

 小悪魔の奉仕と引き替えに()を搾り取ってくるんですね。オブラートに包んだつもりなだけで言い方が最悪だった。

 

 

「……説明は以上となります。メニューがお決まりになりましたら、こちらの魔法陣(ベル)でお呼びください」

 

 サイゼなら暗唱できるほど品を熟知しているが、ここではそうもいかない。

 じっくりとメニューを見ようとすると、耳を疑う言葉が飛び込んできた。

 

「それか、そろそろお会計にしますか?」

「はい?」

「そろそろお会計はいかがでしょうか?」

 

 脳が理解できなかったので聞き直してみたが、やっぱり理解できなかった。

 

「もうお会計にいたしますか?」

 

 ものすっごい笑顔で『お会計』だけを呟くbotと化した小悪魔セラさん。何度話し掛けても同じ会話しかしないゲームのNPCが実在した恐怖を疑似体験した気分。目だけ笑っていないのがそれを助長する。

 隣の材木座も同じ恐怖を体験しているようで、小刻みに震えていた。

 

「(は、ははは八幡よ、このメイドさんは我としゃべるのは法令違反になるから帰らせようとしておるのか⁉)」

「(んなわけねぇだろ。あれは嘘だ)」

「(うそなの⁉)」

「(それよりめっちゃ会計推しされてるんだが、もう出るか?)」

「(何も頼んでおらぬだろうが! それに癒しを求めて来たのに恐怖だけを植え付けられるなど死んでも死に切れぬ! せめて癒されてから死ぬ!)」

 

 受け取り方によっては安楽死死亡(志望)に聞こえる。うっかり二度殺そうとしてしまったが、メイドカフェは死を覚悟して来るところじゃないからな。

 材木座は拳を握り締め、血を吐く勢いで注文を叫ぶ。

 

「……コーヒーを、頼もう!」

「……かしこまりました」

 

 小悪魔セラは意外にも普通に注文を受けていた。さっきまでの感じだと『お会計では?』と注文自体を翻意させてきそうだったからな。どんな店員だよそれ。

 

「……俺もコーヒーお願いします」

「あ?」

 

 殺気再び! なんでだよ、なんで俺の時だけ不機嫌なんだよ⁉ もしやメイドさんと話すと法で裁かれちゃうのは俺の方なのでは⁉

 空気の変化を感じ取った材木座がフォローを入れる。

 

「ここ、コーヒー二つで!」

「……かしこまりました。……っ」

 

 渋々受け入れたセラは厨房へ引き返しながら俺を睨んでいた。……だから、なんで?

 

「は、八幡よ! セラちゃんが我の注文を聞き届けてくれたぞ! なんという良い子なのだ⁉」

「お前、騙されてるぞ」

 

 店員が注文を受けるのは当たり前だろ。目の前で俺が滅多打ちにされたところを見せられ植え付けられた恐怖がハードルを下げる。まさにDV夫、いやDVメイドのやり口。こいつ、洗脳されているな。

 

「……トイレ行ってくる」

 

 緊張のせいか催してしまいトイレを探した。途中セラを見かけるが、先ほどの態度からとても気軽に訊ける相手ではない。むしろびびっている。

 目を合わせないようにしていると肩をとんとんと叩かれた。振り向くと、俺と接すると国に罰せられる扱いをしてきた小悪魔がいた。

 

「……なにしてんの?」

「え、いや、トイレどこかなって……」

「……こっち」

 

 意外にも案内してくれるセラさんに『うわっ、この子実は良い子なのでは?』と感じてしまった。

 うわ、やっべ。正気を失いかけてるのは俺の方だった。危ない危ない。

 

「ど、どうも」

 

 礼を言いながら中に入る。セラは業務に戻ると思ったが、予想外の行動に移った。

 

「っ⁉ ちょっ、」

「しっ! 黙りな」

 

 俺の後からトイレに入り扉を閉めた。このトイレは大人二人が入るには少々窮屈で、密着を避けることが難しい。

 なにこれ、どういう状況? 互いの顔がニ十センチと離れていない距離で見つめられ肌が火照るのを感じた。

 

「……で、どういうつもり?」

「は?」

 

 主語も目的語もない質問に、先ほどまでびびっていたのが嘘のような返しをしてしまう。

 どういうつもりも何も正直に”お小水”です。と答えようものならどんな目に遭わされるか想像がつくので無言安定である。

 

「なんでここが分かったの? それにあんた今日バイトじゃなかった? 代わりに出るって言ってたじゃん」

 

 次々に質問をぶつけられたばかりか、そこには個人情報まで含んでおりパニックに陥る。

 

「その上、知り合いまで連れて来て、そんなにあたしを笑いものにしたかったわけ?」

 

 ドスの利いた声で訳の分からない言い掛かりをつけてくるセラ。ちょっとまて。あれは俺が連れて来たんじゃないぞ。

 

「逆だ、あいつが俺をここに連れて来たんだ」

「え?」

 

 予想外の答えに戸惑うが、俺はその比でないほど困惑していた。

 なぜ俺のことを知っている口調で話し掛けてくるのか。まず、そこから質問する。

 

「っていうか、あんた俺とどっかで会ったことあるのか?」

「え、……は?」

 

 さっき以上に驚き、目を見開くセラ。たっぷりと十秒以上は呆けていた俺たちだが、先に得心したのはセラの方であった。

 

「……えっと、あたしのこと分かんないわけ?」

「この店に来るのは初めてだし、知ってる方が変だろ?」

 

 まるで俺たちが知己だと言わんばかりな言い草。相手の自信から勘違いではなさそうなので、懸命に記憶の中を探し回る。

 そもそも俺には女子の知り合いが両手の指で足りる程度しかいない。照合は一瞬で終わり、なおも該当する人物がいなかった。

 その時、セラの馥郁とした香りが俺の鼻腔をくすぐる。それは嗅覚のみならず記憶をも刺激しプルースト効果を齎した。

 

「っ⁉…………あ、川崎……か?」

「はぁ、やっと気づいたわけ」

 

 毒気を抜かれ呆れ返った表情を見せる。

 え、川崎? だって泣きぼくろないしツインテールだし『おかえりなさいませ魔王さま』とか言っちゃってんだぞ? これもう川崎じゃなくて川崎京華の方が近似値とれてるでしょ? 言説の上ではだけど。

 俺の驚き様から怪訝に思ったのか、胡乱な目で睨め付けてきた。

 

「まあ、確かに厚塗りしてるし髪型も変えてるけど…………それじゃ、あんた今どこであたしのこと判別したわけ?」

 

 あまりにも察しが悪かったせいか、逆に気づいたら気づいたで判別方法に物言いが入った。

 『あなたの匂いで気づきました』なんて正直に言ったら胡乱から汚物を見る目に変わりそうだ。黒のレースで判断してないだけ紳士的ですらあるのだが、それを説明したとしても俺の汚物化は止まらないだろう。むしろ進行する恐れすらあった。

 しかし、しかしですよ? 目撃情報で犯人を特定する場合、背格好の他に服装とかって重要じゃないですかー? なら下着の柄だってその人の特徴だと胸を張って言ってもいいと思うんですよ! って誰に訴えてんだよ。しかも見た体で抗弁してるけど(今回は)見てないからな? 誤解するな。

 

 どう答えるべきか考えるはずの貴重な時間をこんなことで費やした俺はやはりバカなのだろう。川崎の目は雄弁にFAを要求していた。

 

「……その、家で感じた同じ匂いでなんとなく……」

「え……」

 

 追い詰められた俺はなんの捻りもなく正直に答えてしまう。比企谷八幡汚物化計画の始まりである……はずだった。

 

「そ、そう……」

 

 店内の喧騒に打ち消されてしまいそうな声音。少し身を引きはしたが、顔を赤らめ俯く姿から照れているのが窺える。どうやら『Project Waste Hachiman(比企谷八幡汚物化計画)』は発足しないで済みそうだ。危うく『八幡』が汚物として後世に語り継がれるところだが、中国では既にビチグソ(ひきがや)なので手遅れだった。なにそれ。バカ、ボケナス、八幡より酷くね?

 

 前髪を指で弄り無言の時間を埋めていた川崎だが、何かに気づいたように俺を見据えてきた。

 

「……そういえばバイト代わったんじゃないの? なんでいるの?」

 

 前夜の謀りがこんなところで足を引っ張るとは……。

 このバイトが明るみになったのは全くの偶然だが、実際にこれを目的として動いたことに変わりはない。観念した俺は嘘偽りなく全てを打ち明けたのだった。

 

 

 

「……で、その……もしそういうところで川崎が働いてたら、辞めさせようと思ってた」

「……」

 

 最後まで説明を終えると改めて自らの行いを省みた。

 心配だったとはいえアリバイ作りしてまで尾行するとか普通に引くし、なんなら通報案件ですらある。

 恋人でもない相手にされたら束縛キツ! と吐き捨てるレベル。冷静に考えると恋人にされてもキツくない? それを俺にやられたのだから控え目に見て極刑ものでは?

 判決を待つ気鬱さに打ちひしがれていると、恥じらいを含んだ優しい声音が発せられた。

 

「そ、そう、なんだ……そっか……ふーん……」

 

 忙しなく視線を泳がせ、満更でもなさそうにもじもじとしていた。

 反応が予想外過ぎて逆に怖くなる。世の中のありとあらゆる罵倒を浴びせられてアパートから追い出されることも覚悟していたからだ。……俺が追い出されちゃうのかよ。

 

「高校の時と違って年誤魔化さなくても普通に風ぞ……で働けるし、心配してた。疑ってすまん」

「あ、あああ、あたしが、そそ、そんなこと、するわけないでひょ! ……っ」

 

 どもどもからかみかみになりてれてれしながらねめねめしてきた。

 メイドカフェでは割りとポピュラーそうだけどここ(魔界の憩い)には場違いなふわふわぽわぽわした表現で今の川崎を語る。もはや何の説明だか分かんねえよ。けーちゃんに聞かせたら喜んで座右の銘にしちゃいそう。

 正解は『どもって噛んで照れながら睨め付けてくる』でした! うん、やっぱ分からん。

 頬の赤みはまだ引かないが、何事もなかったようにこう続けた。

 

「……それで、心配事はなくなった?」

「……ある程度はな。でも今はぶっちゃけ違う意味で心配してる」

「なにそれ、どういう意味?」

「言わせるのかよ……さっき俺にした酷い接客を思い出せ」

 

 あの対応を見る限り、きちんと接客できているのか疑わざるを得ない。相手が知り合いであるイレギラーはあったが、接客は単純なルーティンワークだけでなくアドリブ力も求められる。その観点から見てさっきのは失格だ。

 

「そ、それは! ……あんたがあたしって知っててお店きた冷やかしだと思って……」

「いや、そうだとしてもあれはないだろ。なにあの接客。お客に対して喧嘩腰とか普通にクビになりそうなんだけど」

「だからあれはあんたをお客って認めてなかっただけ! これからは普通に接客するから席戻ってて」

「ほぉー、言ったな。それじゃお前がメイドとして相応しいか見てやろう」

「なんで上から目線……まあいいけど、あんたもちゃんとお客として相応しくしてなよ? でないと……」

 

 川崎は真剣な表情と鋭い瞳で俺を見据える。

 

「お、おう……」

 

 脅しにも似た釘刺しの意図が読めず、適当な返事をする。

 これが軽率だと気づいたのはしばらく経ってからであった。

 

 

 

 席に戻ってしばらくすると川崎がコーヒーを持って来た。それを俺たちに差し出しながらオプションサービスを提案する。

 

「よろしければ『女悪魔(リリン・デーモン)(アイ)♪』で美味しくする呪いを注ぎ込むことも出来ますが、いかがでしょうか?」

 

 呪いを注ぎ込むという言葉のチョイスをどうにか出来なかったのか。可愛いより禍々しさがアピールされちゃってるんですが。

 

「うむっ、是非もない!」

「かしこまりました。それでは……」

 

 そこはかとなく嫌な予感がする……。

 そんな俺の懸念など気にも留めず『女悪魔(リリン・デーモン)(アイ)♪』とやらが始まろうとしていた。

 川崎はバーで使う物より二回りほど小さいシェイカーを取り出す。両手でハートポーズを作り、間にシェイカーを挟んだ。側面を両親指で、キャップ部を両中指で押さえ持つ。

 瞑目し、ゆっくりと深く息を吐く。

 そして……

 

「リリリン☆萌え萌え♪ アイアイ☆しゃかしゃか♪ 溢れる☆らぶらぶ♪ 届いて☆とろとろ♪」

「んぶふっ⁉」

 

 唇を引き結んでいたため、逃げ場を失った息が鼻から漏れて変な音を出てしまう。

 或いは、あざとい一色なら破壊力抜群の”おまじない”も、川崎がやると違う意味で破壊力が抜群であった。お陰で俺の腹筋はぷるぷると震えて崩壊寸前の悲鳴を上げている。

 しゃかしゃかとシェイクする川崎とノリノリで合いの手を入れる材木座。こんな珍妙な光景があるだなと浮世で新たな発見をしてしまった。

 シェイカーのキャップを開け、再び手ハートポーズを作ると両親指だけで挟み固定する。

 

「――女悪魔(リリン・デーモン)(アイ)♪」

 

 その一声と同時にハートポーズは崩さぬままシェイカーを傾けた。中から黄金色の液体がとろりと流れ、カップに注がれていく。

 

「……儀式は完了です。冷めないうちにお召し上がりください」

 

 川崎はやり切ったように超いい笑顔。でも営業スマイル。でも首真っ赤。耳も真っ赤。

 俺は視線を逸らし口元を隠して心も殺した。だが、油断すると儀式中の川崎が脳内でリフレイン。身体が震えて腹筋がぴくぴくする。鎮まれ俺の腹筋! と願いを込めつつ腹を押さえつけた。

 

「……魔王様、お手洗いはあちらにございますのでどうぞ」

 

 トイレなど一言も発してないのに勧められた。腹を抱えていたのをそういう意味に捉えたのか。

 いや、川崎を見ると顎をくいとしゃくって促してる。どうやら『来い』という意味らしい。

 トイレに行くと、先ほどのように後から川崎が入室し扉を閉めた。

 そして……

 

「今度はなんっ……、ぐぼっ⁉」

 

 一瞬、呼吸が止まった。鋭い突きが俺のボディへ刺さる。

 恩師から衝撃のファーストブリットを食らった経験がなければ耐えられなかったかもしれない。礼を言う気には全然なれんけど。

 

「な、なに……すんだ、よ……?」

「次笑ったらまた殴るから」

 

 おかしいな。ちゃんと堪えたと思ったのに川崎さんの頭には『比企谷、アウトー』というアナウンスが流れていたらしい。

 罰を与え終えると川崎はトイレから出て行った。

 

 ……え、ちょっと待って。これって毎年年末特番で観るシリーズのリアル版じゃない?

 『絶対に笑ってはいけないメイドカフェ24時』なの?

 いや、メイドカフェは0時で営業終わりだから。って問題はそこじゃない。

 

 この先、俺の腹筋が二つの意味で危機に瀕することになる。

 

 

 

 あの”美味しくする儀式”を乗り越え、あれ以上のものはないだろうと勝手に思い込んでいたが、そうもいかなかった。

 この日のために小遣いやバイト代を貯めていたのか、材木座の魔力素子()は膨大でオプションというオプション、その悉くを乗せまくった。ラーメン屋でやったら麺が見えなくなる全部乗せである。

 

 『小悪魔じゃんけん』はちょっとはしゃいでじゃんけんしてただけだからまだ耐えられた。

 

 しかし、川崎ソロの『ラ♪ラ♪ラ♪スイートプ〇キュア♪』オンステージは予想外のハイテンションに「ぶぐふっ⁉」と反応してしまい、闇の世界のア〇ラ・マンユのような視線を向けられた。目が合っていたら数秒後に死んでいるだろう。控え目にサイリウムを振る材木座にも責任の一端はあったと思う。

 

 『チェキ撮影』では、川崎と材木座が互いの手でハートポーズをする際、聖域(手と手の間の空間)を作ってくださいと言われた材木座がガチ凹みしたせいで口元を押さえた。触れないのはルールだから仕方ないだろ。触りたくない意思も感じられたが。

 

 挙句、俺も頼んだ『お絵描きオムライス』では「好きに描いてください」と要望したら、俺のオムライスに”40まん”とか描く自虐ネタのせいで「ぐぶふっ⁉」と吹き出しちまった。なに返済表明してんだよ。もうそれお前の方から笑わせにきてるじゃねえか。反則だろ⁉

 

 

 全く、昼飯を奢らせて食費を浮かす算段だったのに、律儀に三度もトイレ行って腹パンされて何やってんだか……。

 

 ようやくスポンサー様のライフを削り切ることができたので退店することになった。

 俺たちの元へ駆け寄る川崎は、営業スマイルで送り出す。

 

「ありがとうございました、魔王さま! またの憩いをお待ちしております」

「うぬ、勇者を倒して地上を征服した暁にはまた憩いにくると約束しよう」

 

 平常運転の材木座はほっといて、深々と頭を下げた川崎に目をやると耳が赤かった。

 それに気づいてしまうと、店に来たのが偶然であっても罪悪感に苛まれる。

 

 確かに、例えば俺のバイト先に小町が来たと想像したら、何とも言えぬ面映ゆさを感じるだろう。ただのバイトですらそうなのだ。こんなロールプレイさせられる職場とは比較にもならない。

 『厨二病罹患中に書いた政府報告書を身内の前で朗読会させられた』の方が言い得ているだろう。なにそれ、死ねる。魔力素子を全て消費してこの世から消滅したくなる恥辱。

 

 川崎への申し訳なさと疑念の謝罪も込めて、何かしてやれないかと考えながら帰路へと着くのだった。

 

 

×  ×  ×

 

 

 店から出てくるポニーテールの女性――川崎沙希――は疲れた顔で歩き始めた。

 

「……あ」

「……よう。お疲れ」

「わざわざ出待ち? 今度は何企んでるわけ」

 

 夜遅くまで待っていた俺に浴びせられた言葉はそんな冷たいものであった。すっかり信用をなくしてしまったようだが、その割りには声音が優しい気がする。

 

「でも、ま……お迎えごくろー様」

 

 そう口にする川崎はふっと表情を綻ばせ、さっきよりも一層声音が温かなものになっていた。

 機嫌が直りつつあると判断し、予め用意しておいた惹句で心を解す。

 

「飯食ってから帰らないか? なんだ、その……迷惑料ってことで、奢るわ」

「! ……いいよ別に。あたしもあんな深刻そうに隠してたし誤解されても仕方ないのかなって」

「いや、まあ、全面的に俺が悪かったしな。サイゼか居酒屋くらいしか開いてないがどっちがいい?」

「ファミレスはサイゼ一択なんだ……」

「当たり前だ。近郊のサイゼは全て頭の中に入ってるからな。っていうかファミレスといえばサイゼだろ」

 

 なんせ世界のファミレス・サイゼリヤだ。サイゼの前にサイゼなく、サイゼの後にサイゼなし。サイゼを超えるファミレスを俺は知らないし、俺のファミレスはサイゼしかない。ここまで心酔すると、来世はサイゼリヤに生まれ変わってるのではと危惧している。

 

「別に居酒屋がいいならそっちで構わんからな」

「そこまで推されて居酒屋選べるわけないでしょ……」

 

 小さくため息を吐きながら呆れたように眉根を寄せる。なんでだよ、サイゼいいじゃん。安いしドリンク飲み放題なんて業界最安だよ? メイドカフェの四分の一だよ?

 

「……まあ、あんたと行くの久しぶりだからいいけど」

 

 何やら呟いていたが独り言のようで上手く聞き取れなかった。

 

「それで、そんなにメイドカフェ来たかったわけ?」

「いや、だから材木座に誘われたからで……」

「嫌なら断れたでしょ」

「奢りに釣られたんだよ……」

 

 本当にそれ以上の意味などなかったが川崎はやけに絡んできた。

 なおも俺を不機嫌そうに睨め付ける。

 

「オムライスなら、言えば作ってあげるのに……」

 

 口を尖らせながら、ぽしょっと呟いたオムライス。

 その言葉にケチャップで描かれた返済表明(40まん)の文字が思い浮かんだ。

 

「んぶぐっ⁉」

 

 高速で顔を背けるも鼻から漏れ出た音は止まらない。

 川崎ぽかん。

 からの憤怒。

 え、これ俺悪くなくね?

 

「‼ ぐぅおぉ……!」

 

 平塚先生、俺を殴っていいのはあなただけとの誓いを破ってしまったことを許して下さい……。

 両手で腹を押さえ蹲りながら、恩師へ懺悔するのであった。

 

 

 

つづく




いかがでしたでしょうか。

今回のあとがきは著しく長いです。それでも宜しければご覧ください。


前後編に分割したのに想像以上に長くなってしまいました。
増えたことを楽しみに思える方には朗報かもしれませんが、読みづらく感じる方には申し訳ありません。

前回のあとがきで『当初用意していた展開をかなり変更して執筆中』とお知らせしましたが、まさにそうなりました。

パターンⅠ→Ⅱ→Ⅰ´という感じで迷走して落ち着いた感じです。


ⅠとⅠ´は『メイドカフェでお互い認識し合って沙希メイドの接待を受ける八幡』という形。

Ⅰの終着点は、八幡がいるせいで普段のバイトよりもさらに羞恥が増してテンパる沙希。見兼ねた八幡が普段通りに応対させようとツンデレ・クーデレというプレイを提案する。
結果、それが店長に認められ、精神的な疲労の元である『萌え萌えメイド』のキャラをしなくてよくなり悩みが解消される。というものでした。
当初のプロットであるこのⅠで進めていたら、店長兼メイドのアンさんがしゃしゃり出て動き回ってしまい、今以上に文字が増えそうで没にしました。


そして思い付いたⅡは『八幡が原作ばりの鈍感力を発揮し、小悪魔セラを沙希だと最後まで認識できない』というパターン。

沙希だけ八幡と認識しつつ、メイド接待が続いていき相手が八幡だから普段以上に羞恥に震えながら萌え萌えする沙希。それを見て沙希と分からずに可愛いなと耽る八幡。捻デレな八幡が心の中で、とはいえ沙希を素直に褒め称える進行。
その後お絵描きオムライスで『40まん』と描いて沙希だと認識する・しないの2パターンも考えましたが、認識されるような行動を沙希がわざわざ取るのか? という疑問からここの落としどころが難しくなりました。
えっ? このオムライス40万? 嘘だよね? 駄菓子屋でよくある『はい、100万円(100円)』と同じ感覚のジョークだよね? と沙希に気づかないパターンも考え、物語の最後に家でオムライスを作ってあげてそこでもケチャップで『40まん』と描いてネタばらし。みたいなのも考えました。
しかし、そもそも沙希からメイドだと明かす理由がなくやっぱり落とせなくなったので、Ⅱそのものが没になりました。
その辺をなんとか上手く出来ればこっちのが完成度高かった気がします。
でも『読者が認知していて八幡の反応だけで組み立てて行く』ってツッコミがいないから筆者としてはふわふわして不安なんですよね。ただでさえ前編で沙希の出番少なかったのに、後編も沙希との会話がほぼゼロになるって、この話のヒロイン材木座かよってなるので。
つまり、わたくしの力不足で断念です。申し訳ない。


そして、完成したのがⅠ´の本作というわけです。

沙希は沢山しゃべらせられたし、彼女の座右の銘――顔はやめな、ボディにしな。ボディに――を体現できたのも好きポイント。Ⅱのように沙希のメイド接待を沙希と気づかず褒めるより、沙希と認知していて『笑ってはいけないメイドカフェ』をする方が”らしい”のかなと判断しました。

それじゃ、次話の予告編いきます。


〇次回予告:JDと非きこもり、薄氷を踏む。

ある日の午前、八幡のスマホが鳴る。バイト先の人間かなと呑気に考え電話に出ると、彼の背筋に悪寒が走った。
高校卒業後、偶に連絡は取っていたものの未だ会うことがなかった雪ノ下と由比ヶ浜。彼女たちがこのアパートのすぐ傍まで迫っている。
「川崎起きろ、起きてくれ!」
ロフトに登り、気持ち良く微睡んでいた沙希を揺する。
インターホンが鳴り、八幡の声はもはや悲鳴に近いものであった……。


はい、こんな感じです。ホラーかな?

非きこもりシリーズを立ち上げる時、最初に用意したプロットが実は1,2話とこれだったりします。
この話をやりたいがために始めたといっても過言ではない!
というわけで気合入れて書きます。
オチとか流れも大体決まってるから迷わないとは思いますが、小ネタで苦しむかもしれませんね。


◆魔界の憩い◆
魔界をコンセプトにしたカフェ。

◆値段設定◆
一時間ごとのワンドリンクオーダー制で自動延長。時間とご自身の魔力素子をご管理の上、ご利用ください。

◆入界料◆
♡男性          1200マナ/時間
♡女性           600マナ/時間

◆飲み放題プラン◆
♡ソフトドリンク飲み放題 1200マナ/時間
♡アルコール飲み放題   2500マナ/時間

※当店では1円=1マナとしてご利用いただけます。


◆メイドコンセプト◆
魔界に住む小悪魔。地上の世界征服を目論む魔王が休息のため、魔界へと戻る。その魔王に奉仕して癒し、代わりにマナを搾取することでその身を維持する。

小悪魔セラ (川崎沙希)
大悪魔長アン(メイド兼店長)※未登場(6話時点)


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