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中小企業の「賃上げしない」宣言 “踏み切らない”のには2つのワケがあった

ITmedia ビジネスオンライン / 2023年2月27日 11時30分

 社長が昇給額を決める会社の場合、社員全員が一気に昇給することもあれば、いつまでも昇給しないこともあり得てしまいます。一方、明文化された昇給制度がある会社は多少業績や景気が悪かったりしても、いきなり全員の昇給を見送るということにはならないでしょう。社長の一存で決まるのか、明文化された制度があるのかは給与の変動に大きく影響してくると考えられます。

●大手と中小の課長職で開く格差

 ここまで中小企業は賃金が上がりにくいと話してきましたが、資金繰りが苦しいとしても従業員を確保するために少しでも賃金を上げようと努力している経営者は少なくありません。

 ただし、その中でも元からいる社員、それもある程度の経験を積んだ40歳以降のベテラン社員は後回しにされている印象があります。筆者の経験からすると、中小企業の課長職は年収500万円台の方が多かったです。その一方で一部上場企業の課長の年収は800万円台(労政時報2022年度調査)に達しているので大きな差があります。

 大企業と中小企業とでは元から賃金格差はあるものの、その中でも課長職の賃金格差は特に大きいです。企業の規模が違えども、課長職というのは企業の柱です。責任と実務の負荷が最も重い職位でしょう。

 筆者は会社員および社会保険労務士として一部上場企業から中小企業までさまざまな規模の課長職と仕事をしてきた経験がありますが、仕事ができるかどうかは企業規模に関係がなく人によるという印象が強いです。なんなら中小企業の課長の方がプレイングマネジャーとして働いている人が多いため、大企業の課長よりも実務に精通している人もいました。

 資本主義の原理でいえば、優秀な人材を確保するため、中小企業といえども大企業に匹敵する給料を支給するのがあるべき姿なのですが、現実は異なります。

●中小企業から大企業への転職は難しい

 中小企業の課長職の方が忙しい可能性まであるのにもかかわらず、給与が大企業に比べて低いのはなぜなのでしょうか? 筆者はその理由の一つとして、中小企業から大企業への転職が難しいことがあると考えています。

 最近では、中途採用を増やす大企業も増えてきておりますが、それでも20~30代の若手社員が中心です。40代以上になるとその門は狭くなってしまいます。「令和2年転職者実態調査」によると、30~34歳では約半数の48.6%が転職によって給与が上がったと回答しています。しかし45歳を超えると上がった人は、40%を割り、50代を超えると給料が下がった人の割合が上がった人を上回ります。

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