最近『少年ジャンプ+』で連載が始まった、ザ・なろう系とでも言うべき漫画『僕の武器は攻撃力1の針しかない』。1話目からコメント欄が大荒れしていたが、それから約1カ月が経っても状況は変わらず、読者たちの“差別意識”がむき出しになっている。
鳴り物入りで移籍したハズが…
「僕の武器は攻撃力1の針しかない」は、『ジャンプルーキー』で人気を獲得し、今年9月より「ジャンプ+」に移籍した作品。理不尽な理由で勇者パーティーを追放された薬師の主人公が、呪われた「攻撃力1の針」を手に、魔物と戦うファンタジー漫画だ。
いわゆる「なろう系」ではよくあることだが、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界を舞台としながら、“ゲーム”的な表現が次々と出てくるのが特徴。さらに、パーティーを追放された主人公が元の仲間を見返すという、最近流行りの「追放系」にそっくりな展開もある。
「ジャンプ+」の読者には、「なろう系」を敵視している人も多く、1話目から《なろう系はジャンプに来るべきじゃない》といった批判が続出していた。
その騒ぎはやがて落ち着くかと思いきや、数話分が掲載された後でも、コメント欄は大荒れ。SNSなども含めて、《おもしろさがさっぱりわからんかった》《これジャンプじゃなくてガンガンでしょ、連載する場所》《サンデーに行け》などの声が上がっている。
実際には人気の「なろう系」
批判的な声によく見られるのは、「ジャンプ+」に「なろう系」はふさわしくないという意識。しかし実際に作品がウケていないかというと、そんなことはない。
「僕の武器は攻撃力1の針しかない」はアプリ内で公開されている曜日別ランキングで上位を獲得することも多く、10月2日に公開された第4話は60万PVを突破。すでに総PV数は300万回を超えている。
ちなみに、「ジャンプ+」では他にも『劣等眼の転生魔術師 ~虐げられた元勇者は未来の世界を余裕で生き抜く~』という、ラノベ原作の漫画が連載されている。こちらも“なろう系”原作ながら、単行本が10巻以上続く人気作品だ。
しかしながら最新話更新のたびに、コメント欄では批判的な意見が投稿されている模様。いくら人気があっても、「ジャンプ」ブランドにこだわりのある少年漫画ファンは難癖をつけたくなるということだろうか。
このままいけば、近い将来、「ジャンプ+」の主戦力が「なろう系」になる可能性も十分ありえる。むしろ変わるべきは、いつまでも拒絶反応をむき出しにしている“一部の層”なのかもしれない。
文=Tら
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