もっと早く住民の意向に気付ければ… 長野市の青木島遊園地 土地所有者、当初は廃止に反対

荻原市長が廃止を表明した青木島遊園地=1日、長野市青木島町大塚

 長野市の青木島遊園地について、荻原健司市長は土地を借り続けることが難しいことを廃止理由に挙げた。所有者が返還後の土地利用を計画しているためとするが、市が当初から地域住民を交えて存廃を検討していれば、こうした事態は避けられた。

 「遊園地で遊ぶ子どもの声がうるさい」。こんな苦情が遊園地に隣接する児童センターに寄せられたのは2021年3月。児童センターは以後、子どもたちを遊園地で遊ばせることを見合わせた。市は22年2月、苦情によって遊園地が実質的に利用困難として廃止を決定。同月、土地所有者に対し、遊園地を廃止して土地を返還する意向を伝えた。

 市の内部文書によると、土地所有者は当初、遊園地廃止に反対していた。市公園緑地課の担当者に「公園はみんなのものではないのか」「廃止してもよいのか」と反論したが、担当者は苦情などが理由で利用が困難だと説得。その後、所有者は返還後の後利用の検討を始めたとみられる。

 廃止決定から8カ月後の22年10月、市は地域住民に回覧板で一方的に廃止を伝えた。突然の知らせに住民は反発。今年2月に市が初めて開いた住民説明会では廃止方針に疑問の声が噴出した。荻原市長は、いったんは存廃の再検討を表明。遊園地存続を模索したが、既に土地所有者は返還後の利用計画を進めていた。

 「これは地区住民の問題。検討を地域に戻してもらえないか」。住民説明会ではこんな声も出た。もっと早く住民の意向に気付ければ、共に考え、立ち止まることもできた。

(牧野容光)

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■青木島遊園地 長野市長が廃止表明 「借地の継続困難」

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023030101172

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